過去問

「健康保険法 自然と身につく保険料の負担のポイント」過去問・健保-37

健康保険法の保険料について、社労士試験からの出題で多いのは保険料の負担割合や、産休や育休に関連した保険料免除などが多いですね。

理屈としては難しいものではありませんが、事例問題として出されると戸惑うかも知れませんね。

そんな時でも、要件を冷静に思い出して当てはめていけば大丈夫です。

ただし、事例問題を解くのは試験問題をひととおり解き終わってからです。

まずは解きやすい問題から取り組むのが本試験での鉄則ですからね。

では最初の問題を見てみましょう。

事業主と被保険者の保険料負担の割合について問われています。

 

健康保険組合の事業主の保険料負担を上げることは可能か

(平成30年問5オ)

健康保険組合は、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

健康保険組合は、「事業主の負担すべき」一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができます。

これは福利厚生の意味合いが強いんでしょうね。

被保険者分の保険料を事業主が肩代わりすることで、被保険者の金銭的な負担を軽くしているんですね。

では逆に、被保険者分の負担割合を上げることはできるのでしょうか。

もし、加入している健康保険組合の財政状況が思わしくないとき、保険料の値上げを被保険者にお願いしたいと思っても不思議ではありませんよね。。。?

 

被保険者の保険料負担を上げる??

(平成26年問6D)

収支が均衡しないものとして厚生労働大臣の指定を受けた健康保険組合は、規約で定める場合には、被保険者の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を5割を超えて増加することができる。

 

解説

解答:誤

指定健康保険組合であっても「被保険者負担分の保険料」の負担割合を増加することはできません。

先ほど述べたとおり、事業主負担の保険料割合を上げることはできますが、被保険者負担分を5割を超えて上げることはできないのです。

それは、財政状況の苦しい指定健康保険組合でも同じです。

さて、今度は被保険者の方に目を向けてみましょう。

元気に働いているうちはお給料もちゃんともらえるので保険料の支払いにも事欠かないでしょうが、

私傷病で仕事を休むことになり、有給休暇や傷病手当金の支給もなくなってしまった場合、収入はゼロになってしまいます。

そんな時、健康保険の保険料は免除してくれるのでしょうか。

下の過去問で確認しましょう。

 

収入がない場合、被保険者の保険料は免除してもらえる?

(平成24年問3B)

被保険者が傷病手当金の支給を受けたが、その支給期間が終わっても治癒せず、その療養のために労務に服しなかったため収入がなかった場合は、当該被保険者負担分の保険料は免除され事業主負担分のみ納付する義務を負う。

 

解説

解答:誤

療養のために労務に服しなかったため収入がなかった場合でも、被保険者負担分の保険料が免除されることはありません

これは私自身、仕事に行けず傷病手当金をもらっていた時期がありましたが、その時に会社から自分の社会保険料負担分の振込依頼が毎月来るのですが、かなり辛かったのを覚えています。

まして傷病手当金の支給期間が終わっても保険料が免除されないとなると、、、

これは通達からの出題で下にリンクを貼っておきますのでご興味のある方はご覧になってくださいね。

 

参考記事:○休職と被保険者資格について 昭和二六年二月二八日 電経総第四〇号

 

次は、産前産後休業時の保険料免除について見ていきましょう。

まずは原則を論点にした過去問をチェックします。

 

産休のときの保険料はいつからいつまで免除になる?

(平成26年問6C)

産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

  1. 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、保険者等に申出をしたとき
  2. 産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月まで
  3. 保険料が免除されます。

「開始した月から」・「終了の前月」がポイントですね。

また、保険者に申出をするのは「事業主」であることも一緒に押さえておきましょうね。

では原則を押さえたところで事例問題を見てみましょう。

ちなみに冒頭に述べたとおり、本試験では事例問題は「後回し」です。

 

保険料免除の事例問題を見ておきましょう

(令和元年問8B)

産前産後休業期間中における保険料の免除については、例えば、5月16日に出産(多胎妊娠を除く。)する予定の被保険者が3月25日から出産のため休業していた場合、当該保険料の免除対象は4月分からであるが、実際の出産日が5月10日であった場合は3月分から免除対象になる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

産前産後休業は「開始した日の属する月」から免除対象になりますので、

5月16日の42日前は4月4日になりますから保険料の免除月は4月となります。

で、実際の出産日は5月10日とのことですので、産前休業の開始日が3月30日となり、保険料の免除月は3月からとなります。

ただ、正直な話、本試験場でここまで正確に日付を出すのは、少なくとも私には至難の技です。

なので、このような事例問題に出っくわしたときは他の問題を解いた後に取り組んだ方が効率的に時間を使うことができます。

さて、最後に育休時の保険料免除についての問題を見ておきましょう。

 

育休中の保険料免除の申請方法とは

(平成28年問9ウ)

育児休業等の期間中における健康保険料の免除の申出は、被保険者が1歳に満たない子を養育するため育児休業をし、その後1歳から1歳6か月に達するまでの子を養育するため育児休業をし、またその後1歳6か月から2歳に達するまでの子を養育するための育児休業をし、更にその後3歳に達するまでの子を養育するため育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業をする場合、その都度、事業主が当該育児休業等期間中において行うものとされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、健康保険料の免除の申出は、それぞれの育児休業の制度の都度、事業主が行うことになっています。

日本年金機構によると、

(ア)1歳に満たない子を養育するための育児休業
(イ)1歳から1歳6か月に達するまでの子を養育するための育児休業
(ウ)1歳6か月から2歳に達するまでの子を養育するための育児休業
(エ)1歳(上記(イ)の場合は1歳6ヶ月、上記(ウ)の場合は2歳)から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業

を、被保険者が上記の育児休業等を取得する度に、申出にかかる休業をしている間に行わなければなりません。

 

参考記事:育児休業保険料免除制度

 

今回のポイント

  • 健康保険組合は、「事業主の負担すべき」一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができます。
  • 指定健康保険組合であっても「被保険者負担分の保険料」の負担割合を増加することはできません。
  • 産前産後休業の保険料は、
    1. 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、保険者等に申出をしたとき
    2. 産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月まで
    3. 保険料が免除されます。
  • 問題文のとおりで、健康保険料の免除の申出は、それぞれの育児休業の制度の都度、事業主が行うことになっています。

 

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