「厚生年金法 60歳台前半の在職老齢年金で押さえておきたいポイント」過去問・厚-35

在職老齢年金には60歳台前半と後半の2種類あって、計算式や要件が違うので覚えるのに苦労しますよね。

で、実際に計算しなければならない問題もあったりするので、ついつい苦手意識を持ってしまいます。

ここでは、60歳台前半の在職老齢年金についての過去問を集めてみましたので、一つ一つクリアにしていきましょう。

最初の問題は、60歳台前半と60歳台後半の在職老齢年金の計算式の違いについての確認です。

 

60歳台前半と後半では在職老齢年金の計算式は違う?

(平成24年問4A)

60歳台前半の在職老齢年金と60歳台後半の在職老齢年金については、それぞれの支給停止額の計算式だけではなく、総報酬月額相当額と基本月額の計算式も異なる。

 

解説

解答:誤

すべてが違うわけではありません。

総報酬月額相当額」の計算式については同じです。

「総報酬月額相当額」とは、「標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額」のことです。

つまり、賞与を含めた1年間の収入を1月分に直したものになりますね。

で、あとの問題でも触れるのですが、基本月額(1か月あたりの老齢厚生年金の額)については、

  • 60歳台前半の基本月額 → 「加給年金額」が除かれます
  • 60歳台後半の基本月額 → 「加給年金額、繰下げ加算額、経過的加算額」が除かれます

というように除かれるものに違いがあります。

では、60歳台前半の在職老齢年金はどのように計算されるのかを見ていきましょう。

 

60歳台前半の在職老齢年金の計算方法

(令和元年問10エ)

64歳である特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額及び特別支給の老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)を12で除して得た額との合計額が47万円を超えるときは、その月の分の当該特別支給の老齢厚生年金について、当該合計額から47万円を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額が支給停止される。

 

解説

解答:誤

問題文では、60歳台後半の在職老齢年金の計算式が入っています。

ここで、それぞれの計算式を確認しましょう。

  • 60歳台後半の在職老齢年金
    『支給停止基準額 = (総報酬月額相当額 + 基本月額 – 47万円) × 1/2 × 12月』

問題文に書いてあるのはこちらですね。

  • 60歳台前半の在職老齢年金
    基本月額が28万円以下かつ総報酬月額相当額が47万円以下の場合
    『支給停止基準額 = (総報酬月額相当額 + 基本月額 – 28万円) × 1/2 × 12月』

となっていて、60歳台前半の在職老齢年金の場合、計算式は全部で4つあります。

もし全部覚えるのが大変なら、上記の、「基本月額が28万円以下かつ総報酬月額相当額が47万円以下の場合」の計算式を最初に覚えましょう。

一般的に当てはまるのは上記の金額の方が一番多いと思われるからです。

では次の過去問を見てみましょう。

実は、計算をする前から解答は出ているのです。。。

 

計算をする前に気をつけたいこと

(平成24年問9A)

60歳台前半の老齢厚生年金の基本月額が150,000円であり、その者の総報酬月額相当額が360,000円の場合の在職老齢年金の支給停止額は115,000円となる。なお、この基本月額には加給年金額が加算されている老齢厚生年金の場合、加給年金額を含めたものである。

 

解説

解答:誤

基本月額に加給年金額は除かれます。

リラックスしている状態ではすぐに気がつくかもしれませんが、本試験会場で問題を解いている時であれば、計算に気をとられて、問題文の後半にまで集中して文章を読み込めないことがあります。

この問題の場合、計算するまでもなく解答できるわけですから、実際に計算する時間を短縮できますので、問題文は最後まで丁寧に読みたいですね

ちなみに、問題文の場合の支給停止額を計算してみましょう。

支給停止額  →  (36万円 + 15万円 – 28万円) × 1/2  = 11,5万円 となり、計算自体は問題文のとおりです。

(計算式が合っているだけに「正」の解答をしてしまいがちなので要注意です!)

さて、次の問題は厚生年金基金に加入していた場合に在職老齢年金の計算がどうなるのか、という論点になっています。

はたして、厚生年金基金も支給停止額の計算に入れるのでしょうか。。。

 

厚生年金基金に加入していた時の在職老齢年金の計算は?

(平成25年問2A)

60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者であって、被保険者期間のうち厚生年金基金の加入員であった期間を有する被保険者については、当該加入員であった期間を加入員でなかったものとして計算した老齢厚生年金の額に基づいて在職老齢年金の支給停止額を計算する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、厚生年金基金の加入者だったとしても、「加入員でなかったもの」として老齢厚生年金を取り扱い、在職老齢年金の支給停止額を計算します。

もし、厚生年金基金の分も支給停止額の計算に入れられて、もらえる老齢厚生年金の額が少なくなるんなら誰も基金に入ろうとはしなかったでしょうね。笑

では最後に実際に在職老齢年金の額を計算してみましょう。

 

実際に計算してみましょう

(平成27年問9A)

特別支給の老齢厚生年金(基本月額200,000円)を受給する被保険者について、標準報酬月額が240,000円であり、その月以前1年間の標準賞与額の総額が600,000円であったとき、支給停止後の年金月額は105,000円(加給年金額を除く。)となる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、支給停止後の年金の金額は、「105,000円」ではなく、「95,000円」となります。

「ん?」と思われるかもしれませんが、実際に計算してみましょう。

  1. 総報酬月額相当額 → 24万円 + 60万円 ÷ 12 =「29万円」
  2. 支給停止額 →  29万円 + 20万円 - 28万円) × 1/2 = 10,5万円
  3. 支給停止後の年金の月額 → 20万円 - 10,5万円  = 9,5万円  ということになります。

テキストなどで紹介されている計算式は、あくまで、「支給停止額」になりますので、実際に支給される年金額を出すには、基本月額から支給停止額を引いてあげる必要があるのですね。

 

今回のポイント

  • 総報酬月額相当額は、「標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額」のことですが、これは60歳台前半も後半も同じです。
  • 基本月額(1か月あたりの老齢厚生年金の額)については、
    • 60歳台前半の基本月額 → 「加給年金額」が除かれます
    • 60歳台後半の基本月額 → 「加給年金額、繰下げ加算額、経過的加算額」が除かれます

    というように除かれるものに違いがあります。

  • 60歳台前半の在職老齢年金
    基本月額が28万円以下かつ総報酬月額相当額が47万円以下の場合(全部で4パターンあります)
    『支給停止基準額 = (総報酬月額相当額 + 基本月額 – 28万円) × 1/2 × 12月』
  • 60歳台後半の在職老齢年金
    『支給停止基準額 = (総報酬月額相当額 + 基本月額 – 47万円) × 1/2 × 12月』
  • 厚生年金基金の加入者だったとしても、「加入員でなかったもの」として老齢厚生年金を取り扱い、在職老齢年金の支給停止額を計算します。
  • テキストなどで紹介されている計算式は、支給停止額になりますので、実際に支給される年金額を出すには、基本月額から支給停止額を引いてあげる必要があります。

 

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