今回は、障害厚生年金の額に関係する過去問を集めて見ました。
過去問で論点になっているのは、1級から3級の違いや最低保障額、加給年金額についてなどですが、一つ一つの問題はシンプルに作られていますので、丁寧に押さえていけば大丈夫です。
「障害厚生年金」と聞くだけで二の足を踏んでしまいそうになりますが食らいついていきましょう!
最初の問題は、障害厚生年金の額を計算する時の被保険者期間についての過去問です。
障害厚生年金と被保険者期間の関係
(平成22年問5C)
障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月に満たないときは、これを240か月とする。
解説
解答:誤
「240か月」ではなく、障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300か月に満たないときは、これを300か月とします。
300か月は25年ということですから、それに満たない若い人が障害を負った場合でも最低ラインを確保してくれるということですね。
では障害厚生年金の額を扱った問題を見て見ましょう。
下の問題は3級の障害厚生年金の額が論点になっていますが、2級や1級との違いはどこにあるのでしょうか。
3級の障害厚生年金の額は?
(平成22年問5D)
障害の程度が障害等級の3級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、2級に該当する者に支給する額の100分の50に相当する額とする。
解説
解答:誤
3級の障害厚生年金の額は「2級の100分の50」ではなく、老齢厚生年金の額の計算の例により計算した額となります。
2級との違いは、配偶者の加給年金額が加算されるかどうかにあります。
ちなみに1級は、上記の計算した額を1.25倍した金額になり、配偶者の加給年金額も加算されます。
まとめると、障害厚生年金の額は、
- 1級 → 老齢厚生年金相当額 × 1.25 + 配偶者の加給年金額
- 2級 → 老齢厚生年金相当額 + 配偶者の加給年金額
- 3級 → 老齢厚生年金相当額
で、先述したように被保険者期間が300月に満たない場合は300月として計算されます。
しかし、それでも障害厚生年金の支給額が少なくなることも考えられます。
そのような時のために、最低保障額が設定されているのですが、どのようになっているのか次の問題で確認しましょう。
障害厚生年金の最低保障額とは
(平成29年問2E)
障害の程度が障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額は、障害等級2級に該当する者に支給される障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)に満たないときは、当該額とされる。
解説
解答:正
問題文のとおりで、障害基礎年金「2級の3/4」の額が最低保障額となります。
障害厚生年金の3級は、障害基礎年金が支給されません。
その場合に、2級の障害基礎年金の額に4分の3を掛けた額に障害厚生年金の額が満たない場合は、
「2級の障害基礎年金額×3/4」
が障害厚生年金の額となります。
さて、2級と1級の障害厚生年金には、配偶者の加給年金額が加算されますが、加算されるタイミングについて次の問題で確認しましょう。
障害厚生年金の受給権取得後でも加給年金額の加算はできる?
(平成29年問5C)
障害等級1級に該当する障害厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
たとえ障害厚生年金1級(2級)の受給権を得た時に65歳未満の配偶者がいなかったとしても、
その後65歳未満の配偶者を有することになった時には、その翌月から加給年金額が加算されます。
ちなみに、加給年金額の金額は、「224,700円×改定率」です。
ただ、障害厚生年金の加給年金額の対象になるのは配偶者のみで、子にかかる加給年金額は障害基礎年金の方にありますので注意が必要ですね。
ではその配偶者が65歳になったら加給年金額の取り扱いはどうなるのでしょうか。
下の過去問で確認しましょう。
配偶者が65歳になった時の加給年金額の取り扱いは?
(令和元年問8E)
加給年金額が加算された障害厚生年金の額について、当該加給年金額の対象になっている配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。)が65歳に達した場合は、当該加給年金額を加算しないものとし、その該当するに至った月の翌月から当該障害厚生年金の額を改定する。
解説
解答:正
問題文のとおりで、配偶者が65歳に達した場合は加給年金額は加算されないようになり、翌月から障害厚生年金の額が改定されます。
ただし、配偶者が大正15年4月1日以前に生まれた者の場合は対象外です。
ここで配偶者の加給年金額が加算されなくなるケースにはどんなものがあるのか見ておきましょう。
- 死亡したとき
- 受給権者による生計維持の状態がやんだとき
- 離婚又は婚姻の取消しをしたとき
- 65歳に達したとき(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く)
今回のポイント
- 障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300か月に満たないときは、これを300か月とします。
- 障害厚生年金の額は、
- 1級 → 老齢厚生年金相当額 × 1.25 + 配偶者の加給年金額
- 2級 → 老齢厚生年金相当額 + 配偶者の加給年金額
- 3級 → 老齢厚生年金相当額 となっています。
- 障害厚生年金の最低保障額は、障害基礎年金「2級の3/4」の額となります。
- たとえ障害厚生年金1級(2級)の受給権を得た時に65歳未満の配偶者がいなかったとしても、その後65歳未満の配偶者を有することになった時には、その翌月から加給年金額が加算されます。
- 問題文のとおりで、配偶者が65歳に達した場合は加給年金額は加算されないようになり、翌月から障害厚生年金の額が改定されます。
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