「労災保険法 遺族(補償)年金の遺族になる人の法則」過去問・労災-32

業務災害や通勤災害で労働者が亡くなった場合は、その労働者の遺族に対して遺族(補償)年金(一時金もありますが)が支給されます。

この遺族(補償)年金では、遺族の要件がややこしいですよね。

今回の過去問は、どういった人が遺族になることができて、どんなことをすると遺族になれないのか、といったものを集めてみました。

最初の過去問は、傷病補償年金の受給者が亡くなった場合でも遺族補償年金が支給されるのか、という論点になります。

 

傷病補償年金の受給者が亡くなっても遺族補償年金は支給される?

(平成28年問6ア)

傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合には、その死亡の当時その収入によって生計を維持していた妻は、遺族補償年金を受けることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合でも、一定の要件を満たせば遺族補償年金は支給されます。

元はといえば、業務上の事由で傷病にかかったわけで、その傷病が原因で亡くなっているわけですから、当然、遺族補償給付の対象になりますよね。

ちなみに、問題文にある「労働者の死亡の当時の収入」については、賃金による収入はもちろんですが、休業補償給付などの各種保険の現金給付、その他のすべての収入が含まれます。

なので、今回の傷病補償年金による収入も労働者の死亡当時の収入になるわけですね。

で、次は先ほどの問題文にもあった、「生計の維持」についての問題を見てみましょう。

共働きの場合で、亡くなった旦那さんの奥さんにも収入があった場合でも「生計維持」の要件は満たすのでしょうか?

 

亡くなった労働者と同程度の収入がある妻には遺族補償年金は支給されない?

(平成28年問6イ)

労働者が業務災害により死亡した場合、当該労働者と同程度の収入があり、生活費を分担して通常の生活を維持していた妻は、一般に「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」ものにあたらないので、遺族補償年金を受けることはできない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、死亡した労働者と同程度の収入が妻にあっても、「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」ものにあたるので、その他の要件を満たしていれば、遺族補償年金は支給されます。

これは通達からの出題(昭和四一年一月三一日 基発第七三号)からの出題なのですが、それによると

「もっぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる。したがって、いわゆる共稼ぎもこれに含まれる

となっています。

なので、問題文の妻は、「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ものになり、遺族補償年金を受給できます。

この通達については、下にリンクを貼っておきますので、気になる方はご覧になってくださいね。

先ほどの、労働者の収入についての記載もあります。

該当箇所はちょっと探しにくいのですが、「第三 保険給付の内容及び手続」の「四 遺族補償年金」に記載があります。

 

参考記事:昭和四一年一月三一日 基発第七三号 第三 保険給付の内容及び手続 四 遺族補償年金

 

さて、次は遺族(補償)年金の対象となる遺族から外れる要件について確認しておきましょう。

下の過去問の論点は2つあります。

 

遺族補償年金を受けるべき遺族とならないのはどんな時?

(平成25年問1C)

労働者の死亡前に、当該労働者の死亡により遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意又は過失によって死亡させた者は、遺族補償年金を受けるべき遺族としない。

 

解説

解答:誤

「故意又は過失」ではなく、「故意」によって死亡させた場合で、また、「遺族となるべき者」は「先順位又は同順位の遺族となるべきもの」です。

つまり、

労働者の死亡前に、労働者の死亡によつて遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族になれません。

逆にいえば、自分より後の順位の人を故意に死亡させても遺族補償年金の遺族要件には影響はないということになります。

(もちろん、別の意味で刑罰を受けることになりますが)

では次は、遺族が誰になるのか確定したとして、遺族補償給付をどのように分けるのかについてチェックしましょう。

 

遺族補償給付の受給権者が同順位者が2人以上いる場合はどうする?

(平成22年問1E)

遺族補償給付を受ける権利を有する同順位者が2人以上ある場合の遺族補償給付の額は、遺族補償年金にあっては労災保険法別表第1に規定する額を、遺族補償一時金にあっては同法別表第2に規定する額を、それぞれ同順位者の人数で除して得た額となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

受給権者の同順位者が2人以上ある場合、「同順位者の人数で除して得た額」が遺族補償給付の額になります。

問題文にある、「別表第1」というのは、遺族補償年金の金額、「別表第2」は、遺族補償一時金の金額についての規定になっています。

では最後に、遺族補償年金の受給権者の所在がわからない時の規定について確認しましょう。

 

遺族補償年金の受給権者の所在がわからないときは、、、?

(平成27年問7エ)

遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、その支給を停止されるが、これにより遺族補償年金の支給を停止された遺族は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

ポイントは、「所在が1年以上明らかでない場合」、「いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる」です。

ちなみに、「1年」という数字は、遺族基礎年金や遺族厚生年金でも一緒ですが、言い回しが若干違いますので、テキストで確認してみましょう。

 

今回のポイント

  • 傷病補償年金の受給者が当該傷病が原因で死亡した場合でも、一定の要件を満たせば遺族補償年金は支給されます。
  • 死亡した労働者と同程度の収入が妻にあっても、「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた」ものにあたるので、その他の要件を満たしていれば、遺族補償年金は支給されます。
  • 労働者の死亡前に、労働者の死亡によつて遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族になれません。
  • 受給権者の同順位者が2人以上ある場合、「同順位者の人数で除して得た額」が遺族補償給付の額になります。
  • 遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、その所在が明らかでない間、その支給を停止されるが、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができます。

 

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