労働契約法は、労働一般で必ずと言っていいほど出題される法律です。
過去問を数多くこなし、どんな知識が問われているのかを確認しておきましょう。
今回は、就業規則を変更したときの、使用者側が負う責任について見ていきます。
就業規則を変更したあと、使用者が労働者の労働条件を変更する時にすべきことは?
就業規則の変更による労働条件の変更が労働者の不利益となるため、労働者が、当該変更によって労働契約の内容である労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとはされないことを主張した場合、就業規則の変更が労働契約法第10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負う。(平成30年問3ウ)
解説
解答:正
問題文にある労働契約法第10条は以下のとおりです。
法10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。
就業規則を作るのは基本的には使用者側ですよね?
労働者が就業規則を作ることは、世間一般的にはないと見ていいでしょう。
使用者が、何らかの理由で就業規則を変更する場合は、原則として、労働者の労働条件が不利益になるようなこと(不利益変更)があってはいけません。
ということは、使用者が変更した「就業規則が合理的である」、ということを証明するのも、もちろん使用者側でないと筋が通りません。
そのように考えていくと、上記の問題は解けるかと思います。
ちなみに、「平成24年8月10日基発0810第2号」の通達にも、
「就業規則の変更が法第10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、従来どおり、使用者側が負うものである」と書かれています。
今日のポイント
変更した就業規則が、労働契約法第10条本文にある「合理的」であることの立証は使用者が行います。
法律の条文は、単に暗記をするだけではなく、どうしてそのような条文が作られたのかもイメージしておくと、はじめての問題文でも正解にたどり着ける可能性が飛躍的に高くなりますので、ある程度学習が進んだら、そういったイメージもしてみてくださいね。
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