健康保険法で、故意の犯罪行為、又は故意に給付事由を生じさせた場合、給付制限がかかります。
ただ、ある事由については給付制限が適用されません。
それでは、どのようなケースなのか見ていきましょう。
給付制限がかからないことがある?
被保険者が道路交通法規違反によって処罰されるべき行為中に起した事故により死亡した場合、健康保険法第116条に定める給付制限事由に該当するものとして、埋葬料は支給されない。(平成25年問8A)
解説
解答:誤
設問の場合は、埋葬料を支給して差し支えないものとされています。
たしかに、健康保険法第116条では、
「被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わない。」
と規定されています。
今回のケースは、道路交通法違反を犯しているわけですから、「故意の犯罪行為」となります。
ただ、道路交通法違反をした被保険者はすでに亡くなっています。
死亡は最終的1回限りの絶対的な事故で、埋葬料が支給されるのは、被保険者であった者に生計を依存していた者になるので支給しましょう、と通達が出ています。(昭和36年7月5日保険発第63-2号)
給付制限の趣旨は、故意の犯罪行為をした被保険者に対して給付制限をすることで、「戒める」ことにあると考えると、上記の通達の意味は理解できそうです。
戒めようにも、被保険者の方は亡くなっているわけですし、埋葬料を受け取るのは被保険者の方でなく、埋葬を行う者に対して給付制限をかけるのは、いささか酷であると考えることができますね。
今日のポイント
自己の故意の犯罪行為であっても、交通事故などですでに亡くなっている場合は、埋葬料の給付制限は行われません。
これは、自殺の場合でも同様ですので覚えておくようにしましょう。
この記事へのコメントはありません。