「届出」と聞くと、新規に事業所を立ち上げたら「◯◯日以内に書類出してね」という単純なお話なのですが、数字そのものは無機質なので、覚えにくいといえば覚えにくいですよね。
しかも、雇用保険法やら徴収法なども同じような要件があるのでごちゃごちゃになりやすいです。
私はどう対策したかというと、横断整理本を買ってきて、自分がよく間違える箇所を重点的に潰していました。
それも「本試験直前に」。
ただ、数字の暗記は、通常の勉強で覚えられるならそこで覚えた方がストレスがかからなくていいです。
そこでは、「自分の感情」を利用することで記憶のフックをかけておくやり方がオススメです。
丸暗記は、最後に残ったものだけです。
その方が丸暗記する数も減らすことができますからね。
さて、最初の過去問ですが、新規適用届についての問題です。
ここでは「船舶」がクセモノです。
「船舶」は優遇されている?
(令和元年問4D)
初めて適用事業所(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る。)となった事業所の事業主は、当該事実があった日から5日以内に日本年金機構に所定の事項を記載した届書を提出しなければならないが、それが船舶所有者の場合は10日以内に提出しなければならないとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりで、船舶の場合は10日で、船舶以外の事業主は5日以内に新規適用届を提出する必要があります。
どうして船舶の場合は10日なのでしょうね。
理由はわかりませんが、そういった「なんでだろう?」という疑問を持つだけで記憶のフックになりますので、自分の感想を持つことはいいですよ。
ちなみに、問題文にあった①新規適用届、②適用事業所全喪届、③資格取得届、④資格喪失届については、統一様式を用いる場合、ワンストップでの届出が可能になりました。
次の問題は住所変更に関する届出についてです。
ここでも船舶に注目してみましょう。
この場合、「船舶」はどうなる?
(令和元年問4E)
住所に変更があった事業主は、5日以内に日本年金機構に所定の事項を記載した届書を提出しなければならないが、それが船舶所有者の場合は10日以内に提出しなければならないとされている。
解説
解答:誤
船舶所有者の場合は、「10日以内」ではなく、「速やかに」提出しなければなりません。
船舶以外の事業主の「5日以内」は正しいです。
船舶以外の「5日」は新規適用の時と変わらないのに、船舶は住所変更となると「速やかに」となっていますね。
記憶のフックを働かせるために、ここでも「え?なんで?」という自分の感想を動員しておきましょうね。
3問目は「所在不明」に関する過去問です。
船舶は出てきませんが、問題文を読んだときにまず、「どう思ったか」にも意識を向けてみてください。
「3か月」は妥当だと思いますか?
(令和元年問6B)
老齢厚生年金の受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、当該受給権者の所在が3か月以上明らかでないときは、速やかに、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。
解説
解答:誤
「3か月以上」ではなく、「1か月以上」所在が明らかでないときは速やかに機構へ届出しなければなりません。
所在不明というのは、ただならない事態ですから3ヶ月も待っているヒマはないですよね。
というのが私の印象です。笑
最後に「特定適用事業所」についての問題を2問見ておきましょう。
私は1問目の問題を読んだ時「あれ?」と思いました。
あなたはどう思うでしょうか?
特定適用事業所になった時の届出は、いつも通り「◯日以内」
(令和元年問8C)
事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所のことを特定適用事業所というが、初めて特定適用事業所となった適用事業所(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る。)の事業主は、当該事実があった日から5日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、特定適用事業所となった場合も、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければなりません。
厚生年金法って「5日以内」が多いですね。
事業主による届出で、「10日以内」って出てくるのは「船舶」が多くて、一般の場合で10日以内が出てくるのは
「高齢任意加入被保険者にかかる同意の届出、同意撤回の届出」
だけです。
(年金に関する受給権者による届出は「10日以内」が多いです)
そうやって区別しながら覚えていくと忘れにくいですね。
ご自分に合った覚え方をどんどん取り入れてみましょう。
最後の問題は、日数ではないですが、数字がキーワードになります。
私が問題文を読んだときは「え?ここも?」ですね。
4分の3以上って??
(令和元年問8D)
厚生年金保険法施行規則第14条の4の規定による特定適用事業所の不該当の申出は、特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者及び70歳以上の使用される者(被保険者であった70歳以上の者であって当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するものをいう。)の4分の3以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意を得たことを証する書類を添えて行わなければならない。
解説
解答:正
特定適用事業所の不該当の申出の場合、被保険者及び70歳以上の使用される者の4分の3以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意を得たことを証する書類を添えて行わなければなりません。
何かをやめる時の「4分の3以上」って他でもありませんでした?
任意適用の取消とか、、、
そういった「共通点」でまとめ覚えていくのもテですね。
今回のポイント
- 新規適用届は、船舶の場合は10日で、船舶以外の事業主は5日以内に提出する必要があります。
- 住所変更の場合、一般は5日以内で、船舶所有者は、「速やかに」提出しなければなりません。
- 「1か月以上」所在が明らかでないときは、速やかに機構へ届出をする必要があります。
- 特定適用事業所となった場合も、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければなりません。
- 特定適用事業所の不該当の申出の場合、被保険者及び70歳以上の使用される者の4分の3以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意を得たことを証する書類を添えて行わなければなりません。
令和2年の法改正情報
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労働一般常識
「パートタイム労働法が改正されて「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)」になりました。」
同一企業内における正社員と非正規社員の間にある、基本給や各種手当、賞与などの不合理な待遇差をなくすために、パートタイム労働法に有期雇用労働者も含まれることになり、いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」になりました。
参考記事:厚生労働省リーフレット
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