過去問

「国民年金法 被保険者要件は厚生年金が握っているという真実」過去問・国-27

今回は、国民年金の被保険者の要件についてのお話になりますが、中には厚生年金法の知識も動員して解かなければならない問題も登場します。

後述しますが、国民年金と厚生年金はセットで「年金科目」として押さえておくと理解が早くなります。

では、まずは第3号被保険者の基本的な論点から確認していきましょう。

 

外国籍の人は第3号被保険者になれない?

(平成27年問1D) 国籍要件

日本国内に住所を有しない20歳以上60歳未満の外国籍の者は、第2号被保険者の被扶養配偶者となった場合でも、第3号被保険者とはならない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は、所定の要件を満たせば、第3号被保険者になる可能性があります。

ここでのポイントは、強制被保険者(第1号〜3号)には、国籍要件はありません。

ただ、令和2年の法改正により、国内居住要件を満たす必要があります。

次は、第1号被保険者についての過去問ですが、第1号被保険者は、日本国内に住所を有していることが必要になります。

なので、たとえば、第1号被保険者の外国人の方が、日本国内に住所を有しなくなった場合は、資格を喪失します。

では、いつ資格を喪失するのか確認しましょう。

 

外国人の第1号被保険者の資格喪失日はいつ?

(平成25年問5ウ)

外国人である第1号被保険者が日本国内に住所を有しなくなったときの資格喪失年月日は、原則として、出国の日とする。

 

解説

解答:誤

外国人である第1号被保険者が日本国内に住所を有しなくなったとき、資格を喪失するのは「出国の日」ではなく、「出国の日の翌日」となります。

ちなみに、第1号被保険者の「翌日喪失」は「死亡したとき」も該当します。

また、国民年金法の適用を除外するべき特別の理由がある者として省令で定める者になったときも同様です。(令和2年改正)

これまで第1号被保険者、第3号被保険者についての過去問をチェックしました。

残りは第2号被保険者についてですが、被保険者の要件を満たしているのかがポイントになります。

 

厚生年金の高齢任意加入被保険者は国民年金の第2号被保険者になれる?

(平成25年問2イ) 改

厚生年金保険の高齢任意加入被保険者は国民年金の第2号被保険者であり、当該高齢任意加入被保険者の収入により生計を維持する配偶者のうち20歳以上60歳未満の者は、第3号被保険者となる。(国内居住要件などの要件は満たしているものとします)

 

解説

解答:正

厚生年金保険の高齢任意加入被保険者は、国民年金の第2号被保険者になります。

この問題は、厚生年金法の知識も必要になりますが、厚生年金保険の高齢任意加入被保険者は、老齢厚生年金や老齢基礎年金等の受給権がありません。

65歳以上の方が国民年金の第2号被保険者になるには、老齢基礎年金等の受給権を有していないことが条件になるので、問題文の場合は要件をクリアしていることになります。

また、第3号被保険者の要件として、第2号被保険者の配偶者(20歳以上60歳未満)で、主として第2号被保険者の収入により生計を維持するものですので、これもOKですね。

こちらの問題文で分かるように、年金科目は国民年金法と厚生年金法がお互いに影響しあっています。

当然といえば当然ですが、学習をするときはどうしても別々の科目として勉強しがちになってしまいます。

でも、別個のものとして勉強をすると、今回の問題のような横断的な知識が必要となった時に反応しづらくなります。

なので、できれば国民年金と厚生年金は「年金科目」として、最初は大まかでも構いませんので一緒に学習をすることをお勧めします。

では、第2号被保険者についてもう1問おさらいしておきましょう。

次は、「在職老齢年金」を受給している人がターゲットです。

 

在職老齢年金を受給している人は第2号被保険者になれる?

(平成27年問1E)

厚生年金保険の在職老齢年金を受給する65歳以上70歳未満の被保険者の収入によって生計を維持する20歳以上60歳未満の配偶者は、第3号被保険者とはならない。

 

解説

解答:正

問題文の場合は、第2号被保険者にならないので、配偶者の方は、第3号被保険者に該当しません。

第2号被保険者になるには、65歳以上の人の場合、老齢基礎年金等の受給権を有していないことが条件です。

問題文の場合は、その要件を満たしていないので第2号被保険者にはなれません。

なので、配偶者の方も第3号被保険者になることができず、第1号被保険者になります。

では、最後に事例問題を見ておきましょう。

老齢基礎年金を受給するには、受給資格期間が10年以上必要ですが、特例任意加入被保険者とからめた問題になっています。

 

特例任意加入被保険者が資格を喪失するのは、、、?

(令和元年問8D)

67歳の男性(昭和27年4月2日生まれ)が有している保険料納付済期間は、第2号被保険者期間としての8年間のみであり、それ以外に保険料免除期間及び合算対象期間を有していないため、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない。この男性は、67歳から70歳に達するまでの3年間についてすべての期間、国民年金に任意加入し、保険料を納付することができる。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、「67歳から70歳に達するまでの3年間」ではなく、「67歳から69歳に達するまでの2年間」となります。

特例任意加入被保険者昭和40年4月1日以前に生まれた者)は、老齢基礎年金等の受給権を取得したときは、その取得した日の翌日に被保険者の資格を喪失することになっています。

なので、問題文の場合、67歳から69歳の2年のあいだ保険料を納付することができることになります。

 

今回のポイント

  • 強制被保険者(第1号〜3号)には、国籍要件はありませんが、令和2年の法改正により、国内居住要件を満たす必要があります。
  • 外国人である第1号被保険者が日本国内に住所を有しなくなったとき、資格を喪失するのは、「出国の日の翌日」となります。
  • 厚生年金保険の高齢任意加入被保険者は、国民年金の第2号被保険者になります。
  • 第2号被保険者になるには、65歳以上の人の場合、老齢退職年金等の受給権を有していないことが条件です。
  • 特例任意加入被保険者昭和40年4月1日以前に生まれた者)は、老齢退職年金等の受給権を取得したときは、その取得した日の翌日に被保険者の資格を喪失することになっています。

 

令和2年の法改正情報

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徴収法

「労働保険・社会保険手続きのワンストップ化」

徴収法に限った話ではありませんが、保険関係成立に関係する手続きをワンストップでできるようになりました。

たとえば、保険関係成立届は、社会保険(健康保険・厚生年金)の「新規適用届」または、雇用保険の「適用事業所設置届」に併せて提出する場合においては、年金事務所、労働基準監督署又は公共職業安定所を経由して提出することができるようになりました。

 

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