いつでも決まった時に決まった額の労働保険料を納めていれば何の問題もないのですが、労働保険料が値上がりしたり、払い忘れたりいろいろなことが起こるのが世の常というものです。
そんなことが起きても大丈夫なように徴収法はちゃんと規定をしているんですね。
時には納付書やら納入告知書を送って催促するんです。
まずは追加徴収の場合、納付書が使われるのでしょうか。それとも、、、?
追加徴収の場合は納付書でOK?
(平成30年労災問9ウ)
追加徴収される概算保険料については、所轄都道府県労働局歳入徴収官が当該概算保険料の額の通知を行うが、その納付は納付書により行われる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
そもそも「追加徴収」とは、政府が、一般保険料率、第1種特別加入保険料率、第2種特別加入保険料率又は第3種特別加入保険料率の引上げを行ったときに、追加分の労働保険料を徴収する仕組みです。
で、所轄都道府県労働局歳入徴収官が、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、「納付書」で通知することになっています。
さて、次は追加徴収と認定決定の両方が論点に入っている過去問を見てみましょう。
一つ一つ論点を確認していきましょうね。
増加概算保険料に追加徴収と認定決定はあった??
(平成30年労災問9オ)
追加徴収される増加概算保険料については、事業主が増加概算保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認められるときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は増加概算保険料の額を決定し、これを当該事業主に通知しなければならない。
解説
解答:誤
まず、問題文に「追加徴収される増加概算保険料については」とありますが、増加概算保険料に追加徴収はありません。
また、増加概算保険料が認定決定されることもありません。
認定決定については、事業主が概算保険料の申告書を提出しないとき、またはその申告書の記載に誤りがあるときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は概算保険料の額を決定し、事業主に通知するのですが、
増加概算保険料が認定決定されないのは、たとえば従業員の数が増えて労働保険料がアップしたとしても、お役所がそこまで追跡して認定決定するのも骨が折れそう、というのがあるのかもしれませんね。
であれば、確定保険料で精算してね、とする方がお互いラクだと思います。
では、先述した概算保険料の認定決定について延納ができるかどうかについても確認しておきましょうか。
認定決定された概算保険料を延納することはできる?
(平成22年労災問8A)
納付すべき概算保険料の額が40万円以上であり、当該保険年度の9月30日までに保険関係が成立している継続事業の事業主は、認定決定を受けたときは、認定決定された当該概算保険料の額について、延納の申請をすることができない。
解説
解答:誤
認定決定された概算保険料について延納の申請をすることができます。
ここで、継続事業の延納の要件についてチェックしておきましょう。
- 納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、20万円)以上
- または、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの
- 当該保険年度において9月30日までに保険関係が成立したものであること
となります。
そして、概算保険料を納付する際に延納の申請をしていた場合は、認定決定や追加徴収による概算保険料、増加概算保険料についても延納をすることができます。
次は、「納付書」と「納入告知書」の使い分けについてみていくことにしましょう。
納入告知書が使われるのはどれ?
(平成29年雇用問8ウ)
都道府県労働局歳入徴収官により認定決定された概算保険料の額及び確定保険料の額の通知は、納入告知書によって行われる。
解説
解答:誤
認定決定された確定保険料の額の通知については「納入告知書」を使いますが、
認定決定された概算保険料の額の通知は、「納付書」によって行われます。
では、「納入告知書」によって通知されるものを挙げておきましょう。
- 認定決定された確定保険料と追徴金
- 認定決定された印紙保険料と追徴金
- 特例納付保険料
- 有期事業のメリット制における確定保険料の差額(徴収される方)
こうしてみてみると、納入告知書の場合は、悪い表現になってしまいますが、厳し目の取り立ての場合に使われるイメージですね。
認定決定された「概算保険料」の場合は、「あ〜、忘れてたのね」くらいのノリで、「じゃあ納付書で納めてね」という感じなのに、
認定決定された「確定保険料」となると、「保険料が確定したのに払わないなら、追徴金と一緒に納入告知書で通知しとくので払いなさい」と態度が厳しくなっている気がしません??
今回のポイント
- 追加徴収される概算保険料については、納付書により行われる。
- 増加概算保険料に追加徴収はありませんし、認定決定されることもありません。
- 認定決定された概算保険料について延納の申請をすることができます。
- 「納入告知書」によって通知されるものは
- 認定決定された確定保険料と追徴金
- 認定決定された印紙保険料と追徴金
- 特例納付保険料
- 有期事業のメリット制における確定保険料の差額(徴収される方)
令和2年の法改正情報
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労働基準法
「賃金請求権の消滅時効について」
令和2年(2020年)4月施行の改正民法と同様に5年に延長されました。また、消滅時効の起算点が客観的起算点(賃金支払日)であることが明確化されました。
ただ、退職手当(5年)、災害補償、年次有給休暇等(2年)の請求権は、現行の消滅時効期間を維持することになっています。
また、経過措置が設けられており、賃金請求権の消滅時効について当分の間は3年となっています。
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