被保険者については、たとえば雇用保険法での規定や、はたまた労働基準法においての労働者の定義と混同しやすいですよね。
また、いつ被保険者としての資格を取得したり喪失するのか「日」に関する規定についても、他の法律でもルールがあるのでややこしいです。
一番いいのは、一通り学習したら一度、横断的に見てみて、違うところをあぶり出すと覚えるべきポイントが見えてきたりしますのでお試しになるといいと思います。
今回は、被保険者に関する過去問の中で、よく出題される論点の問題を集めてみました。
それでは、最初の過去問を見ていくことにしましょう。
70歳になったときに資格を喪失するのはどの日??
(令和元年問5ウ)
適用事業所に使用される70歳未満の被保険者が70歳に達したときは、それに該当するに至った日の翌日に被保険者の資格を喪失する。
解説
解答:誤
「翌日」ではなく、70歳に達したときは「その日」に被保険者の資格を喪失します。
資格喪失のパターンには、たとえば「死亡したとき」や「事業所に使用されなくなったとき」などがあるわけですが、それらの資格喪失は該当した日の「翌日」です。
ですが、「70歳に達したとき」は「その日」に資格を喪失します。
この違いは、年齢の場合は、誰が見てもその日が来れば70歳になるのでその日に喪失させてしまうのです。
たとえば、「死亡」って何時何分に亡くなるか分からないですよね。
午前中に亡くなることもあれば、23時50分に亡くなることもあるでしょう。
なので、時間が不確かな事柄は、その事実があった日の「翌日」に資格喪失することにすれば時間的な不公平感はなくなりますよね。
私は試験勉強をしているときはそのように理解するようにしていましたね。(合っているかどうかはともかく)
さて、次は船員さんの被保険者についての規定を確認しましょう。
船員さんは優遇されている?
(平成30年問1B)
船員法に規定する船員として船舶所有者に2か月以内の期間を定めて臨時に使用される70歳未満の者は、当該期間を超えて使用されないときは、厚生年金保険の被保険者とならない。
解説
解答:誤
臨時に使用される者でも、「船舶所有者に使用される船員」は使用される当初から被保険者となります。
「日々雇い入れられる者」や、「2月以内の期間を定めて使用される者」のように臨時に使用される者は原則的には適用除外になっていますが、「船舶所有者に使用される船員」については、はじめからこの適用除外に入っていません。
他の職種に比べて、船員さんの場合は優遇されていますね。
ちなみに、
- 「日々雇い入れられる者」は1月を超えて引き続き使用されることになったとき
- 「2月以内の期間を定めて使用される者」は所定の期間を超えて引き続き使用されることになったとき
は、その引き続き使用されることになった時から被保険者になります。
さて、「臨時」といえば「臨時的事業」も被保険者の適用除外に出てくるワードになります。
「臨時的事業」の場合は、どのような形で出題されているのでしょうか。
次の過去問でチェックしましょう。
臨時的事業の場合、基準となる期間は?
(平成25年問1オ)
臨時的事業の事業所に使用される者であって、その者が継続して6か月を超えない期間使用される場合は、厚生年金保険の被保険者にならない。
解説
解答:正
問題文のとおり、臨時的事業の事業所に使用される者は、適用除外となり被保険者になることはないですが、
継続して6月を超えて使用されるべき場合は、はじめから被保険者となります。
臨時的事業の場合、たとえばサーカス団などは全国を転々と回って興行を行いますので、一般の企業と違い、所在地がころころ変わってしまうので適用除外となっているのです。
ただ、半年以上使用されるのであれば被保険者になる、というわけです。
では最後に、学生さんを扱った過去問です。
次の問題を見てみましょう。
学生さんは被保険者にならない?
(平成29年問4B)
1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、ともに同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上であっても大学の学生であれば、厚生年金保険の被保険者とならない。
解説
解答:誤
1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上であれば、大学生も、被保険者となります。
つまり、大学生だから被保険者にしない、という規定はありません。
たとえば雇用保険法の場合は、学校教育法に規定する学校の学生は適用除外になっていますので、そちらとの引っかけ問題かもしれませんね。
今回のポイント
- 70歳に達したときは「その日」に被保険者の資格を喪失します。
- 臨時に使用される者でも、「船舶所有者に使用される船員」は使用される当初から被保険者となります。
- 臨時的事業の事業所に使用される者は、適用除外となり被保険者になることはないですが、継続して6月を超えて使用されるべき場合は、はじめから被保険者となります。
- 1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上であれば、大学生も、被保険者となります。
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