「社労士試験 厚生年金法 適用事業所の意外な落とし穴とは?」過去問・厚-73

今回は、適用事業所について見てみたいと思います。

適用事業所について社労士試験ではいろいろな角度から出題されていますが、

健康保険法とかぶっている項目でもあるので、学習は進めやすいかもしれません。

ただ、適用業種の話になってくると、労災保険や雇用保険の論点と混同しやすいので、

いざ問題文を目の前にすると「あれ?」ということになるかもしれません。

なので、きちんと整理して押さえていくようにしましょう。

それでは最初の問題を見ていきましょう。

この過去問では、強制適用事業所となるかどうかが問われています。

カギは「業種」となっていますので、適用業種となっているかどうか確認しましょう。

 

畜産業は適用業種?

(令和元年問4A)

常時5人以上の従業員を使用する個人経営の畜産業者である事業主の事業所は、強制適用事業所となるので、適用事業所となるために厚生労働大臣から任意適用事業所の認可を受ける必要はない。

 

解説

解答:誤り

畜産や、農林水産業適用業種ではないので、常時5人以上の労働者を使用していても、個人経営の場合は任意適用事業所の認可が必要です。

ちなみに、「常時5人以上」の労働者を計算する場合、被保険者とならない者も合算して算定する必要があります。

それでは、任意適用事業の認可について見ていきましょう。

任意適用事業所の認可を受けようとするときは、適用業種と常時使用する労働者の人数の要件を満たしているだけでは要件を満たすことができません。

任意適用事業所になるということは、社会保険料が発生して労働者の負担が増えるわけなので、労働者から同意が必要なのです。

では、どれだけの同意を得る必要があるのか次の問題でみてみましょう。

 

任意適用事業所の認可の手続き

(平成25年問5A)

厚生年金保険法第6条第3項に定める任意適用事業所となる認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(同法第12条の規定により適用除外となる者を除く。以下同じ。)の3分の2以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

 

解説

解答:誤り

任意適用事業所の認可を受けようとするときは、事業所に使用される者(適用除外となる者を除く)の3分の2以上ではなく、2分の1以上」の同意を得る必要があります。

で、2分の1以上の同意を得ることができれば、任意適用事業所の認可を申請することができるわけですが、

申請するときに、本当に2分の1以上の同意を得たのか証明する必要がありますね。

では、それを証明をする方法についてどのようにする規定になっているのか、下の問題を見てみましょう。

 

任意適用事業所の認可の手続き その2

(令和2年問6B)

任意適用事業所の認可を受けようとする事業主は、当該事業所に使用される者(厚生年金保険法第12条に規定する者及び特定4分の3未満短時間労働者を除く。)の3分の1以上の同意を得たことを証する書類を添えて、厚生年金保険任意適用申請書を日本年金機構に提出しなければならない。

 

解説

解答:誤り

任意適用事業所の認可は、3分の1以上の同意ではなく、「2分の1以上」の同意が必要なのですが、

同意を得たことを証する書類を申請書に添えて提出することになります。

ですので、やはり労働者の同意を得られたことを客観的に証明できる書類が必要ということですね。

ちなみに、任意適用事業所の取り消しを行う場合は、労働者の4分の3以上の同意が必要となります。

では次に、適用事業所を一つにまとめる際の手続きについて見てみたいと思います。

次の問題では、2以上の適用事業所を1つの適用事業所にする方法について問われていますので見てみましょう。

 

2以上の適用事業所を一つにまとめるには

(平成25年問5D)

2以上の適用事業所(船舶を除く。)の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣に届け出れば、当該2以上の事業所を1つの適用事業所とすることができる。

 

解説

解答:誤り

2以上の適用事業所を1つにするには、厚生労働大臣への「届出」ではなく、「承認」が必要です。

つまり、厚生労働大臣に認めてもらわなければならないということですね。

この一括の承認が得られると、全体が一つの適用事業所になるので、もし労働者が別の県に転勤したとしても、被保険者の資格の喪失や取得の手続きをしなくてよくなります。

それでは最後に2以上の「船舶」だったらどうなるのか、ということを見ておきましょう。

先ほどの適用事業所とは扱いが違うようですので、次の問題を読んでみましょう。

 

2以上の船舶の取り扱いは?

(平成25年問5E)

2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶は、1つの適用事業所とする。この場合において、当該2以上の船舶は、厚生年金保険法第6条に定める適用事業所でないものとみなす。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

2以上の船舶については、適用事業所の場合と違って承認は必要なく、「当然に」一括されて一つの適用事業所となります。

船舶の場合は、それ自体、移動する乗り物で住所がないわけなので、船舶所有者が同一であれば当然に一括されるのですね。

ちなみに、「当然に一括」と聞くと、徴収法の有期事業や請負事業の一括を思い出しませんか?

これらも「法律上当然に」一括されていましたね。

 

今回のポイント

  • 畜産や、農林水産業適用業種ではないので、常時5人以上の労働者を使用していても、個人経営の場合は任意適用事業所の認可が必要です。
  • 任意適用事業所の認可を受けようとするときは、事業所に使用される者(適用除外となる者を除く)の2分の1以上」の同意を得る必要があります。
  • 任意適用事業所の認可を受けるときは、労働者の同意を得たことを証する書類を申請書に添えて提出することになります。
  • 2以上の適用事業所を1つにするには、厚生労働大臣の「承認」が必要です。
  • 2以上の船舶については、適用事業所の場合と違って承認は必要なく、「当然に」一括されて一つの適用事業所となります。

 

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