今回は、脱退一時金についての過去問を集めてみました。
脱退一時金といえば、厚生年金にもありますので比較しながら見ていくと記憶に残りやすいですね。
よろしければ、厚生年金の脱退一時金について取り扱った記事がありますので、ご覧になってみてください。
参考記事:「厚生年金法 なじみのない脱退一時金の要件が5分で分かります!」過去問・厚-41
それでは最初の問題から見てみましょう。
この問題は支給要件が論点になっていますので、脱退一時金がどんな場合に支給されるのか確認しましょう。
脱退一時金の支給要件は?
(平成22年問2A)
脱退一時金の支給について、請求の日の属する月の前日までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間を3か月及び保険料4分の3免除期間を4か月有する者であって、法所定の要件を満たすものは、その請求をすることができる。
解説
解答:誤
この問題文には間違いが2つあります。
ひとつ目は、「請求の日の属する月の前日まで」ではなく、「請求の日の前日において請求の日の属する月の前月まで」が正解です。
ふたつ目は脱退一時金の支給を受けるための第1号被保険者の被保険者数についてです。
必要な月数は「6か月」なのですが、「4分の3免除期間」については1か月は「1/4か月」に換算されます。
1月に必要な保険料の4分の3を免除されているということは、納付する保険料は4分の1となりますので「1/4か月」になるのですね。
なので、問題文のケースですと、
3か月 +( 4か月 × 1/4) = 4か月
となり、必要な6か月に足りませんので脱退一時金は支給されません。
ここで規定を確認しますと、脱退一時金の支給については、
- 請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数が6月以上である日本国籍を有しないもの
- 保険料免除期間の計算については、①保険料4分の1免除期間の月数×4分の3、②保険料半額免除期間の月数×2分の1、③保険料4分の3免除期間の月数×4分の1 で計算して合算
となっています。
では、こんな場合には「脱退一時金は支給されません」という不支給要件について確認しましょう。
脱退一時金が支給されない要件、というのはどんなケースがあるのでしょう。
脱退一時金が支給されないのはどんなとき
(平成24年問6E)
障害基礎年金の受給権を有したことがあるときは支給されない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
障害基礎年金の受給権を有したことがある場合は脱退一時金は支給されません。
ここで、「脱退一時金が支給されないケース」を挙げてみましょう。
- 日本国内に住所を有するとき
- 障害基礎年金等の受給権を有したことがあるとき
- 最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた場合は、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき
です。
ここで気になるのは2番目の「障害基礎年金等」の「等」ですね。
他にどんな年金の受給権があると脱退一時金が支給されないのでしょう。
まさか、障害厚生年金も??
次の過去問でチェックしましょう。
厚生年金の脱退一時金の支給を受けることができる場合でも大丈夫?
(平成23年問2C)
厚生年金保険法に規定する脱退一時金の支給を受けることができる者であっても、所定の要件を満たしていれば、国民年金法に規定する脱退一時金の支給を請求することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりで、(国民年金の)脱退一時金は、厚生年金の脱退一時金を支給を受けることができる人でも大丈夫です。
つまり、国民年金の脱退一時金と厚生年金の脱退一時金は「別々のもの」ということになります。
では国民年金の脱退一時金の支給が受けられない年金というのはどれのことでしょう。
規定で確認しましょう。
(法附則第9条の3の2第1項第2号の政令で定める給付)
令14条の3
法附則第9条の3の2第1項第2号に規定する政令で定める給付は、次のとおりとする。
一 法附則第9条の3第1項の規定による老齢年金
二 昭和60年改正法附則第28条の規定により支給される遺族基礎年金
三 旧法による障害年金、母子年金、準母子年金及び老齢福祉年金(老齢特別給付金を含む。)
と定められています。
ただ、ここでは国民年金と厚生年金は別々なんだ、ということがまず押さえられていれば良いかと思います。
さて、次は脱退一時金の支給額についてみてみましょう。
第1号被保険者の被保険者数によって支給額が決まっているようですがどのような仕組みになっているのでしょう。
脱退一時金の支給額
(平成24年問6B)
支給額は、第1号被保険者としての保険料納付済期間等に応じて、6段階に区分されている。
解説
解答:正
問題文のとおりで6段階に分かれています。
金額については、令和元年度で約5万円から30万円くらいですが、最後に保険料を納付した年度に応じて金額は変動するので、金額を覚える必要はないです。
次は、脱退一時金の要件についてのひっかけ問題を見ておきましょう。
下の過去問では、キーワードとして「2年」の数字が出てくるのですが、さてこの数字はどんな要件に使われていたでしょうか。。。
「2年」で規定されている要件とは、、、?
(平成23年問1C)
脱退一時金の支給要件の1つとして、最後に被保険者の資格を喪失した日(同日に日本国内に住所を有していた者にあっては、その後初めて日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過していることが必要である。
解説
解答:誤
問題文では「2年」という数字は支給要件として使われていますが間違いです。
「2年」で正しい要件は、
最後に被保険者の資格を喪失した日から起算して2年を経過しているときは、脱退一時金を請求できない。
ということなんです。
先に述べた、「脱退一時金が支給されないケース」にも挙げさせていただいておりました。
気をつけなければならないのは、「2年」という数字だけに反応して、問題文をよく読まずに判断してしまうことです。
本試験上では緊張状態で問題を解きますので、落ち着いて問題文を読むようにしましょう。
脱退一時金の支給を受けた後の取扱い
(平成24年問6C)
支給を受けたときは、その額の計算の基礎となった第1号被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなされる。
解説
解答:正
問題文のとおりで、脱退一時金の支給を受けたときは、その額の計算の基礎となった第1号被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなされます。
つまり、リセットされてしまう、ということですね。
今回のポイント
-
脱退一時金の支給については、
- 請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数が6月以上である日本国籍を有しないもの
- 保険料免除期間の計算については、①保険料4分の1免除期間の月数×4分の3、②保険料半額免除期間の月数×2分の1、③保険料4分の3免除期間の月数×4分の1 で計算して合算
となっています。
-
「脱退一時金が支給されないケース」は、
- 日本国内に住所を有するとき
- 障害基礎年金等の受給権を有したことがあるとき
- 最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた場合は、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき
です。
- 国民年金の脱退一時金は、厚生年金の脱退一時金を支給を受けることができる人でも大丈夫です。
- 脱退一時金の支給額は、第1号被保険者としての保険料納付済期間等に応じて、6段階に区分されています。
- 脱退一時金の支給を受けたときは、その額の計算の基礎となった第1号被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなされます。
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