「厚生年金法 さらば!在職老齢年金(65歳以上)恐怖症!」過去問・厚-32

「在職老齢年金なんて大っ嫌い!」

と、私も受験勉強のとき思っていました。

なんですか?あの変な計算式とややこしい要件ときたら過去問演習をするたびに嫌悪感をハンパなく感じたのを今でもよく覚えています。

なので、本試験でも「どうか出題されませんように、、、」と願ったものです。苦笑

今回の記事でもできるだけ基本的な論点の過去問を集めたつもりですので、気楽に読み進めていただければご理解の一助になると思います。笑

まずは、在職老齢年金の定義から確認していきましょう。

 

在職老齢年金の定義

(平成22年問2D)

厚生年金保険の被保険者である老齢厚生年金の受給権者について、支給される年金額を調整する仕組みは、在職老齢年金と呼ばれる。

 

解説

解答:正

老齢厚生年金の受給権者で、厚生年金の被保険者で一定以上の収入があるときは、老齢厚生年金の額が調整される仕組みになっています。

在職老齢年金には、60歳台前半、60歳台後半の2つに分かれていて、支給停止になる計算式がそれぞれあります。

今回の記事は、60歳台後半、つまり65歳以降の在職老齢年金についての過去問を集めてあります。

(60歳台前半の在職老齢年金についてはまた別の機会を設けますね。)

それにしても、なんで収入があると年金が削られなきゃならないんでしょうね。

自分が保険料を積み立ててきたのであれば、収入があるからと言って年金を止められる筋合いはないと思うのですが、

日本の年金制度は、「相互扶助」の仕組みになっているので、現役世代の保険料がそのまま年金の支給にあてられているのがネックかと思います。

つまり、現役世代のお給料から天引きされた保険料が、老齢厚生年金の原資になっていたりするわけですから、現役世代からしてみれば、

「あなた、そんなに稼いでるんなら、そこまで年金必要ないっしょ」

と言いたくなる気持ちが出てきても不思議ではありません。

なので、在職老齢年金という仕組みがあるのかな、と思っております。

さて、厚生年金は70歳になると資格を喪失するわけですが、その場合、在職老齢年金が適用されるのかどうかを確認しましょう。

 

70歳になって被保険者の資格を喪失したも在職老齢年金の適用はある?

(平成23年問9C)

老齢厚生年金を受給している被保険者であって適用事業所に使用される者が70歳に到達したときは、その日に被保険者の資格を喪失し、当該喪失日が属する月以後の保険料を納めることはないが、一定の要件に該当する場合は、老齢厚生年金の一部又は全部が支給停止される。(問題文を一部補正しています。)

 

解説

解答:正

70歳になって、被保険者の資格を喪失しても、原則として在職老齢年金の要件に該当すれば、老齢厚生年金の一部又は全部が支給停止されます。

70歳になれば、被保険者ではなくなり、保険料を納めなくてよくなるというだけで、一定の収入があればやっぱり年金がカットされる仕組みになっているんですね。

では在職老齢年金によって老齢厚生年金がどのように支給停止になっていくのかを見ていきましょう。

 

基本月額の計算に、経過的加算額や繰下げ加算額は含まれる?

(平成29年問1C)

60歳台後半の在職老齢年金の仕組みにおいて、経過的加算額及び繰下げ加算額は、支給停止される額の計算に用いる基本月額の計算の対象に含まれる。

 

解説

解答:誤

経過的加算額及び繰下げ加算額は、基本月額の計算の対象には含まれません。

まず、支給停止基準額の計算式を確認しておきましょう。

支給停止基準額は、

「支給停止基準額」=(総報酬月額相当額+基本月額–支給停止調整額)÷2×12

ですね。

問題文にも出てくる「基本月額」というのは、老齢厚生年金の額を12で割った金額、つまり老齢厚生年金の1月あたりの額ということですね。

その基本月額を計算するときは、経過的加算額繰下げ加算額、それに加給年金額は除いて計算するということになります。

なので、問題文は誤りになるんですね。

まあ、基本月額は少ない方が支給停止される年金も少なくてすみますから助かりますね。

では、計算の結果、実際に老齢厚生年金が支給停止になる場合、本体の老齢厚生年金以外のものの扱いがどうなるのかを次の過去問でチェックすることにしましょう。

 

繰下げ加算額も在職老齢年金で支給停止になる?

(平成26年問6C)

66歳で支給繰下げの申出を行った68歳の老齢厚生年金の受給権者が被保険者となった場合、当該老齢厚生年金の繰下げ加算額は在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象とならない。

 

解説

解答:正

繰下げ加算額は在職老齢年金による支給停止の対象とはなりません。

65歳以降の在職老齢年金では、繰下げ加算額経過的加算額は、老齢厚生年金の支給停止の対象にはなっていません。

なぜこの2つは支給停止の対象になっていないのでしょう。

繰下げ加算は、そもそも厚生年金の仕組みとしてあるもので、老齢厚生年金の受給権者がそれを選択しているだけですよね。

なのに、収入があるからと言って支給停止されたのでは、せっかく制度として繰下げができるのに、それを選ぶ人がいなくなってしまいますよね。

経過的加算にしても、これは特別支給の老齢厚生年金の定額部分と、65歳以降の老齢厚生年金の老齢基礎年金部分のの差額として支給されるものですから、これも厚生年金の制度として支給されているものです。

なのに、これも在職老齢年金の仕組みで支給停止されたんではたまったものではないでしょう。

というわけで、65歳以降の在職老齢年金では、繰下げ加算額経過的加算額は、老齢厚生年金の支給停止の対象になっていないのだと私は理解しています。(本当の理由をご存知の方がいらっしゃいましたらご教授頂ければ幸いです)

さて最後に、実際に事例問題として計算問題として出題された過去問をチェックしましょう。

 

実際の数字を使って計算してみよう

改正(平成29年問10D)

令和2年4月において、総報酬月額相当額が480,000円の66歳の被保険者(第1号厚生年金被保険者期間のみを有し、前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者とする。)が、基本月額が100,000円の老齢厚生年金を受給することができる場合、在職老齢年金の仕組みにより月額55,000円の老齢厚生年金が支給停止される。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

先ほどの

「支給停止基準額」=(総報酬月額相当額+基本月額–支給停止調整額)÷2×12

を使って計算してみましょう。

  • 総報酬月額相当額→48万円
  • 基本月額→10万円
  • 支給停止調整額→47万円(令和2年度)

で、今回の問題文では、月額を計算するので、最後の「12」は掛けないで計算します。

それをおさえた上で計算式にあてはめてみると、

(48万円 + 10万円 - 47万円) ÷2   = 55,000円

となります。

つまり、支給停止される月額は 55,000円になります。

 

今回のポイント

  • 在職老齢年金とは、老齢厚生年金の受給権者で、厚生年金の被保険者で一定以上の収入があるときは、老齢厚生年金の額が調整される仕組みのことです。
  • 70歳になって、被保険者の資格を喪失しても、原則として在職老齢年金の要件に該当すれば、老齢厚生年金の一部又は全部が支給停止されます。
  • 「支給停止基準額」は、(総報酬月額相当額+基本月額–支給停止調整額)÷2×12  です。
  • 基本月額を計算するときは、経過的加算額繰下げ加算額、それに加給年金額は除いて計算します。
  • 65歳以降の在職老齢年金では、繰下げ加算額経過的加算額は、老齢厚生年金の支給停止の対象になっていません。

 

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