過去問

「社労士試験 健康保険法 保険外併用療養費をおさらいしましょう」過去問・健保-65

今回は、保険外併用療養費について見ていきたいと思います。

健康保険法の考え方として、保険給付の対象外の治療などを一部でも受けた場合は、

健康保険を使う意思を放棄したものとみなされて、本来は療養の給付の対象になる治療まで健康保険が使えなくなってしまいます。

ですが、先進の医療技術を受ける場合や、大病院での初診、予約診察制での診察など、一定の要件を満たせば、

先進の医療技術などの部分については全額自己負担になりますが、

本来療養の給付の対象になる部分については保険外併用療養費が支給されるイメージです。

なので、被保険者は一部負担部分と全額自己負担部分を支払えばOKということになります。

では、保険外併用療養費について出題された過去問を見ていくことにしましょう。

1問目は、保険外併用療養費の支給方法が論点になっています。

保険外併用療養費は誰に支給されるのか、というところも注目してみましょう。

 

保険外併用療養費の支給方法は?

(平成24年問6A)

被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等から、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費が支給される。この場合、被保険者に支給すべき保険外併用療養費は、その病院若しくは診療所又は薬局に対して支払うものとする。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

保険外療養費の支給方法は、療養の給付と同じで現物給付の形で支給されます。

なので、被保険者に費用が支給されるのではなく、病院などに支払われることになります。

ちなみに、文中に「電子資格確認」とありますが、法改正でマイナンバーカードが健康保険証として使えることになりましたので、

被保険者証がなくてもマイナンバーカードで被保険者資格の確認ができるようになっています。(事前登録が必要ですが)

では、次は患者申出療養について見てみましょう。

まずは、患者申出療養の定義について確認していきますね。

 

患者申出療養の定義

(平成28年問3D)

患者申出療養とは、高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものをいい、被保険者が厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関のうち、自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、患者申出療養を受けたときは、療養の給付の対象とはならず、その療養に要した費用について保険外併用療養費が支給される。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

患者申出療養は、その名のとおり、まだ療養の給付の対象になっていない高度の医療技術を受けようとする患者の申出に基づいて、

将来的に、療養の給付の対象にするべきものか評価を行うことが必要な医療技術として厚生労働大臣が定めるものを指します。

で、患者申出療養を受けたときは、まだ療養の給付の対象になっていない医療技術については全額自己負担となり、

それ以外の基礎部分については保険外併用療養費が支給される仕組みになっています。

では、患者申出療養の申出方法はどうなっているのでしょうか。

次の過去問で見ておきましょう。

 

患者申出療養の申出方法とは

(令和2年問1C)

患者申出療養の申出は、厚生労働大臣が定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法第4条の3に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行う。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

患者申出療養を受けようとするときは、臨床研究中核病院の意見書などを添えて厚生労働大臣に申出をします。

申出を受けた厚生労働大臣は、速やかに検討をして、申出を認めた場合は速やかに申出をおこなった者に通知をすることになっています。

患者申出療養の申出をするくらいですから、難病と闘っている患者さんでしょうからスピードが勝負ということですね。

さて、次は選定療養について見ていきましょう。

選定療養は、「被保険者の選定による特別の病室の提供など厚生労働大臣が定める療養」ということになっていますが、

一定の規模以上の大病院の診察を受ける場合なども含まれています。

では、大病院が選定療養の対象になる要件を見てみましょう。

 

大病院は選定療養の対象にならない?

(平成23年問8E)

病床数200床以上の病院で紹介なしに受けた初診は、緊急その他やむを得ない場合も含めて、選定療養の対象にはならない。

 

解説

解答:誤り

緊急その他やむを得ない場合は、選定療養の対象にはなりません。

原則として、「病床数200床以上の病院」で「紹介なしに受けた初診」については選定療養の対象となり、初診時に特別料金として5000円(歯科3000円)がかかります。

しかし、緊急その他やむを得ない場合は選定療養の対象にはなりません

また、選定療養には他にも対象となるものがあります。

最後に、予約診察が選定療養の対象になるのか確認しておきましょう。

 

予約診察は選定療養?

(平成28年問7C)

被保険者が予約診察制をとっている病院で予約診察を受けた場合には、保険外併用療養費制度における選定療養の対象となり、その特別料金は、全額自己負担となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

予約診察制をとっている病院で予約診察を受けた場合は、選定療養の対象となり、療養の給付ではなく、保険外併用療養費が支給されることになります。

で、予約診察によって診察を受けた場合は、特別料金がかかるわけですが、

予約をしている以上、患者さんが予約した時刻に適切に診察を受けることができることが必要で、

予約制なのに30分以上待たせた場合は、特別料金を徴収することはできません。

 

今回のポイント

  • 保険外療養費の支給方法は、療養の給付と同じで現物給付の形で支給されます。
  • 患者申出療養は、その名のとおり、まだ療養の給付の対象になっていない高度の医療技術を受けようとする患者の申出に基づいて、将来的に、療養の給付の対象にするべきものか評価を行うことが必要な医療技術として厚生労働大臣が定めるものを指します。
  • 患者申出療養を受けようとするときは、臨床研究中核病院の意見書などを添えて厚生労働大臣に申出をし、申出を受けた厚生労働大臣は、速やかに検討をして、申出を認めた場合は速やかに申出をおこなった者に通知をすることになっています。
  • 選定療養は、原則として、「病床数200床以上の病院」で「紹介なしに受けた初診」が対象で、初診時に5000円(歯科3000円)がかかりますが、緊急その他やむを得ない場合は選定療養の対象にはなりません。
  • 予約診察制をとっている病院で予約診察を受けた場合は、選定療養の対象となり、保険外併用療養費が支給されることになります。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

他校の模試を受けるのは他流試合を申し込むようなイメージです。

問題には学校のカラーが出るので、違った角度で問われても解けるかどうか試すのにはいいですね。

ただ、他流試合はほどほどにしておかないと収集がつかなくなるので要注意ですね(^^)

 

各科目の勉強法の記事をまとめました

労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください

リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」

 

科目ごとにまとめて記事を見ることができます!

スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。

もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。

ぜひご活用ください!

関連記事

  1. 社労士試験勉強法 過去問攻略!「厚生年金保険法 特別支給の老齢厚生年金…

  2. 「社労士試験 労災保険法 業務災害」労災-152

  3. 「社労士試験 労基法 変形労働時間制で気をつけておきたいこととは」過去…

  4. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 労災保険法 療養(補償)等給付…

  5. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 社会保険に関する一般常識 船員…

  6. 「雇用保険法 これを読めば理解できる求職者給付の仕組み」過去問・雇-4…

  7. 「社労士試験 労災保険法 遺族(補償)等年金」労災-141

  8. 「社労士試験 安衛法 派遣労働者と安全衛生」安衛-128

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。