過去問

「社労士試験 国民年金法 5分で読める!寡婦年金の要点とは」過去問・国-64

寡婦年金は、掛け捨て防止の制度であると言われていますが、夫が亡くなった場合に、妻へ支給される年金となっています。

ちなみに、「寡夫年金」はないので注意しましょう。笑

このようにかなり限定的要素のある年金だけに、支給要件の数もそれなりにありますので、これを機にお手持ちのテキストで確認してみましょう。

それでは最初の問題に入りたいと思います。

1問目は、妻という立場ではあるのですが、事実婚の状態の場合でも寡婦年金が支給されるのか見てみましょう。

問題文の表現では、「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった場合」となっていますので確認していきますね。

 

寡婦年金は事実婚の妻にも支給される?

(平成26年問2D)

寡婦年金の支給対象となる妻は、夫との婚姻関係が10年以上継続していなければならないが、その婚姻関係には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった場合を含まない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった場合も婚姻関係に含みます。

規定では、

「この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。」(法5条7)

となっていますので、寡婦年金の場合は事実婚の妻が該当しますね。

では、寡婦年金の額を計算するときの要件について見てみましょう。

寡婦年金の額は、平たくいうと老齢基礎年金の4分の3となるわけですが、

金額を計算するときの被保険者期間の取り扱いについて、寡婦年金の場合は注意するべき箇所があります。

それはどういうことなのか次の問題を見てみましょう。

 

寡婦年金の額に関する被保険者期間

(平成24年問4ウ)

寡婦年金の額の算定には、死亡した夫が第2号被保険者としての被保険者期間を有していたとしても、当該期間は反映されない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

寡婦年金の額を計算するときには、第1号被保険者としての被保険者期間が対象になりますので、

問題文のように第2号被保険者の期間があったとしても、寡婦年金の額に影響はありません。

ちなみに、寡婦年金の額について規定している法50条には、

「寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間及び保険料免除期間につき、第27条の規定の例によつて計算した額の4分の3に相当する額とする。」

となっています。

ちなみに、条文の中にある「第27条」というのは老齢基礎年金の額について書かれています。

ということで、寡婦年金と被保険者期間についてもう少し見てみましょう。

次の問題では、生活保護法による生活扶助を受けている期間も寡婦年金の額に反映されるのかが問われていますが、

寡婦年金の額に関係あるのでしょうか。

 

寡婦年金の額に関する被保険者期間 その2

(平成23年問3B)

寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの夫の第1号被保険者に係る保険料納付済期間及び保険料免除期間をもとに計算されるが、生活保護法による生活扶助を受けていたため保険料納付を免除されていた月もその計算の基礎に含まれる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

先ほどご紹介した法50条には、「保険料納付済期間及び保険料免除期間」とありますので、法定免除を受けていたとしても寡婦年金の算定に入ることになります。

また、法定免除は、被保険者の保険料は免除されますが、国庫負担分があるので、その分の金額が反映されるわけですね。

さて、次は寡婦年金が支給されないケースにはどういうものがあるのか次の問題で確認しておきましょう。

 

寡婦年金が支給されない時とは

(令和2年問4E)

夫が老齢基礎年金の受給権を取得した月に死亡した場合には、他の要件を満たしていても、その者の妻に寡婦年金は支給されない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合は寡婦年金は支給されます。

寡婦年金は、老齢基礎年金または障害基礎年金支給を受けたことがあるが死亡した場合には支給されません。

問題文では、受給権を取得した月に亡くなられているので、まだ老齢基礎年金は支給されていないはずですから、

不支給の条件には当てはまらず、妻への寡婦年金の支給が行われるということになります。

ちなみに、寡婦年金が不支給になる場合に、妻の方の条件として見た場合に、夫との生計維持があったか、

事実婚関係を含めた婚姻関係が10年あるか、夫の死亡当時に65歳未満だったかなど色々とありますので

丁寧に押さえていきたいですね。

では最後に、寡婦年金の不支給の事由ではなく、「支給停止」になる要件について確認しておきましょう。

 

寡婦年金が支給停止になる理由

(平成30年問6B)

寡婦年金は、夫の死亡について労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、その支給が停止される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

寡婦年金は、夫の死亡について労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間支給が停止されます。

これは遺族基礎年金も同じ規定になっていますので合わせて押さえておきましょう。

 

今回のポイント

  • 国民年金法においては、「配偶者」や「夫」、「妻」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった場合も婚姻関係に含まれます。
  • 寡婦年金の額を計算するときには、第1号被保険者としての被保険者期間が対象になりますので、問題文のように第2号被保険者の期間があったとしても、寡婦年金の額に影響はありません。
  • 寡婦年金は、老齢基礎年金または障害基礎年金支給を受けたことがあるが死亡した場合には支給されません。
  • 寡婦年金は、夫の死亡について労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間支給が停止されます。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

「テキストを読んでも頭に入らない」など今の勉強法で改善したいことをメモしておきましょう。

意識しておくと「あ、こうしてみよう!」とアイデアが浮かぶこともよくあります。

自分流の勉強法に完成形はなく、伸びしろは満載です(^ ^)

 

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