過去問

「社労士試験 厚生年金法 未支給の保険給付はこれで大丈夫!」過去問・厚-64

今回は、「未支給の保険給付」について取り扱った過去問を見ていきたいと思います。

このテーマは他の法律にもありますが、年金科目特有の論点もありますので確認していきましょう。

それでは最初の問題に入っていきたいと思います。

この過去問は、「未支給の保険給付を請求できる人」について問われています。

早速、年金科目ならではの論点になっていますので見ていきましょう。

 

未支給の保険給付を請求できる人は?

(平成23年問10D)

保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

未支給の保険給付を「自己の名」で請求できるのは、

  • 「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族」
  • その者の死亡の当時その者と「生計を同じくしていたもの」

となっています。

3親等内の親族ということは、甥っ子や姪っ子、叔父や叔母も入ってくるということですね。

ちなみに、この「3親等内の親族」が未支給の保険給付に入ってくるのは、厚生年金と国民年金だけです。

では、この未支給の保険給付の請求をして、請求が認められて給付を受けられることになった場合に、

給付を受けられる順序について、次の問題で確認しておきましょう。

 

未支給の保険給付を受ける人の順位

(平成27年問6D)

未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、死亡した者と生計を同じくしていたもののうち、死亡した者の配偶者、子(死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である夫であった場合における被保険者又は被保険者であった者の子であってその者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものを含む。)、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の三親等内の親族の順序とする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

未支給の保険給付を受けるべき順序も、

配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の3親等内の親族

となっています。

ただ、年金給付の考え方として、「子」については、「配偶者」に受給権がある場合、「子」は原則として支給停止の状態になっています。

で、配偶者の受給権がなくなったときは、「子」の支給停止は解除されます。

未支給の保険給付についても、遺族厚生年金の受給権者が夫で、その夫が亡くなって受給権がなくなったために

「子」の支給停止が解除された場合でも、上記の順序になります。

さて、もし子や父母など同じ順位の人が複数いた場合の取り扱いはどうなっているのでしょうか。

遺族それぞれがバラバラに請求してきたとしたらお役所にとっては困ることになりそうですね。。。

 

同じ順位の人が複数いたら?

 

(平成29年問9オ)

未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなされ、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなされる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

たとえば父母のように、未支給の保険給付を受けるべき順位が同じである人が2人以上いる場合、その中の1人が未支給の保険給付を請求したら、

その請求は、他の人のために未支給分の全額について請求したものとみなされて、

請求したことによって支給されたお金は、他の対象遺族全員に対してしたものとみなされるのです。

ではこの論点についてもう一問見ておきましょう。

先ほどのお話を頭に入れた上で問題文を読めば、「あ、これは違う」とわかると思います。笑

 

同じ順位の人が複数いたら? その2

(平成23年問2A)

保険給付の受給権者の死亡に係る未支給の保険給付がある場合であって、当該未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、当該同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給する。

 

解説

解答:誤り

未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、

当該同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給するのではなく、

「1人に対してした支給は対象遺族全員に対してしたものとみなされます。

では最後に、後妻と前妻の子について未支給の保険給付が論点になった問題を確認しておきましょう。

夫が亡くなり、後妻に遺族厚生年金の受給権があったのですが、不幸なことに、この後妻も亡くなってしまいます。

子の立場からしてみれば後妻とは血が繋がっていないので、後妻が亡くなっても、厚生年金法でいうところの「子」ではないため、

後妻側にある未支給の保険給付の請求ができないのでは?というのが次の問題の論点になっているのです。

 

後妻と連れ子の関係

(令和元年問9A)

夫の死亡により、前妻との間に生まれた子(以下「夫の子」という。)及び後妻に遺族厚生年金の受給権が発生した。その後、後妻が死亡した場合において、死亡した後妻に支給すべき保険給付でまだ後妻に支給しなかったものがあるときは、後妻の死亡当時、後妻と生計を同じくしていた夫の子であって、後妻の死亡によって遺族厚生年金の支給停止が解除された当該子は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

問題文にある「子」は後妻の子ではないので、本来は後妻にかかる未支給の保険給付の請求はできないのですが、

「死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であつたときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であつた者の子であつて、その者の死亡によつて遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、同項(未支給の保険給付)に規定する子とみなす。」

の規定によって、問題文の「子」は、後妻の保険給付で未支給分があるときは請求できることになっています。

 

今回のポイント

  • 未支給の保険給付を「自己の名」で請求できるのは、
    • 「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族」
    • その者の死亡の当時その者と「生計を同じくしていたもの」

    となっています。

  • 未支給の保険給付を受けるべき順序も、「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の三親等内の親族」となっています。
  • 未支給の保険給付を受けるべき順位が同じである人が2人以上いる場合、その中の1人が未支給の保険給付を請求したら、その請求は、他の人のために未支給分の全額について請求したものとみなされて、請求したことによって支給されたお金は、他の対象遺族全員に対してしたものとみなされます。
  • 死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であったときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者または被保険者であった者の子であって、その者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、同項(未支給の保険給付)に規定する子とみなされます。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

「自由時間」と「休息時間」を区別しましょう。

休息は疲れた心身の回復が目的ですので、SNSのチェックや動画の視聴は休息になりにくいです。

休息後の勉強でスタートダッシュできる休息方法を見つけられるといいですね♫

 

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