障害基礎年金の額は、被保険者期間で額が決まる老齢基礎年金と違い、障害等級で金額が固定されているのですが、
加算額や改定請求など、ちょっとクセモノの気配がする項目です。
また、厚生年金と混同してしまいそうなところもあるので、きっちりと押さえていきましょう。
それでは最初の問題を見ていきたいと思います。
1問目は、障害等級1級の金額が論点になっているのですが、知識があやふやでないかどうか確認してみましょう。
障害等級1級の障害基礎年金の額は?
(平成30年問10C)
令和2年度の障害等級1級の障害基礎年金の額は、780,900円に改定率を乗じて得た額を100円未満で端数処理した781,700円の100分の150に相当する額である。なお、子の加算額はないものとする。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:誤り
障害基礎年金で、障害等級1級の額は、「780,900円に改定率を乗じて得た額(100円未満の額を四捨五入)」の
100分の150ではなく「100分の125」に相当する額となります。
100円未満の四捨五入というのは、50円未満は切り捨て、50円以上は100円に切り上げる形です。
ちなみに、障害等級2級の年金額は、「780,900円に改定率を乗じて得た額(100円未満の額を四捨五入)」ですね。
で、生計維持している家族がある場合には加算が行われるのですが、どういう形で加算されるのかを見てみましょう。
下の問題で気をつけるべきは、厚生年金との区別です。
「子」への加算が行われるのは、、、?
(平成24年問3D)
老齢基礎年金又は障害基礎年金の受給権者がその権利を取得した当時、その者によって生計を維持している18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子がいるときには、老齢基礎年金又は障害基礎年金の額にその子の数に応じた額が加算される。
解説
解答:誤り
「子」への加算は老齢基礎年金にはなく、障害基礎年金だけです。
老齢に関する給付で「子」への加算が行われるのは、老齢厚生年金の加給年金額です。
ということで、障害基礎年金で「子」への加算が行われる要件を整理しましょう。
障害基礎年金の受給権者によって生計を維持している
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
- 20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子
ということになります。
加算される金額は、
- 1人目と2人目 → 1人につき「224,700円×改定率」
- 3人目以降 → 1人につき「74,900円×改定率」
となっています。
ちなみに、障害基礎年金で加算されるのは「子」だけで、配偶者には加算されません。
配偶者に加算されるのは、障害厚生年金の方ですので注意が必要です。
さて、子への加算が行われる要件として、タイミングはあるのでしょうか。
たとえば障害基礎年金の受給権を得た時に生計維持をしている子というイメージですが、どうなっているのか次の問題で確かめてみましょう。
「子」に対する加算が行われるタイミング
(平成23年問5B)
障害基礎年金に係る子の加算は、受給権者が当該受給権を取得した時点において、その者によって生計を維持する18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子がなければ、行われない。
解説
解答:誤り
障害基礎年金での「子」に対する加算は、受給権を取得した時点だけでなく、受給権発生後に子を持った時に生計維持要件を満たしていれば加算されます。
以前は、受給権を取得した時点で子がいないと加算されなかったそうですが、
たとえば受給権を得た後に結婚をして子ができても加算がなされないという事態になるので、
障害基礎年金の受給権を得た後でも加算されるよう改正されました。
では、次は障害基礎年金の金額の改定について見ていきましょう。
障害基礎年金は、障害認定日の時点で一定の障害等級に該当していれば支給されますが、
障害の程度についてはその後、変動があることも考えられます。
たとえば、障害基礎年金の障害等級が当初2級だったとしても、
障害の状態が重くなり1級に該当する程度になった時に改定請求をどのように行うのか確認しましょう。
障害基礎年金の額の改定請求はいつできる?
(平成26年問7E)
障害基礎年金の額の改定請求は当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。ただし、障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除く。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
障害基礎年金の改定請求は、原則として、
- 障害基礎年金の受給権を取得した日から1年 もしくは
- 厚生労働大臣の診査を受けた日から1年
を経過した日後でなければできません。
これは、あまり細かいタイミングで改定請求されては判断が大変だからですね。
ただし、障害の程度が明らかに増進している場合は1年経過するのを待たなくても、障害基礎年金の改定請求をすることができます。
ちなみに、障害基礎年金の額を改定するのは、受給権者の側だけでなく、
厚生労働大臣も障害の程度を診査したうえで、障害等級に変化があると認めるときは障害基礎年金の額を改定することができます。
それではどのように改定請求がなされるのかを次の問題で確認しましょう。
改定請求の実際
(令和2年問1エ)
障害等級2級の障害基礎年金の受給権を取得した日から起算して6か月を経過した日に人工心臓(補助人工心臓を含む。)を装着した場合には、障害の程度が増進したことが明らかな場合として年金額の改定の請求をすることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
最初は障害等級2級の障害基礎年金だったわけですが、半年して人工心臓を装着することになったということで、
「障害の程度が増進したことが明らか」になったと判断され、障害基礎年金の受給権を得てから1年を待たずして年金額の改定請求ができることになります。
今回のポイント
- 障害等級1級の額は、「780,900円に改定率を乗じて得た額(100円未満の額を四捨五入)」の「100分の125」に相当する額となります。
- 障害基礎年金の受給権者によって生計を維持している「子」への加算は、
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
- 20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子
ということになります。
- 加算される金額は、
- 1人目と2人目 → 1人につき「224,700円×改定率」
- 3人目以降 → 1人につき「74,900円×改定率」
となっています。
- 障害基礎年金での「子」に対する加算は、受給権を取得した時点だけでなく、受給権発生後に子を持った時に生計維持要件を満たしていれば加算されます。
- 障害基礎年金の改定請求は、原則として、
- 障害基礎年金の受給権を取得した日から1年 もしくは
- 厚生労働大臣の診査を受けた日から1年
を経過した日後でなければできません。
- ただし、障害の程度が明らかに増進している場合は1年経過するのを待たなくても、障害基礎年金の改定請求をすることができます。
各科目の勉強法の記事をまとめました
労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください
リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」
科目ごとにまとめて記事を見ることができます!
スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。
もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。
ぜひご活用ください!
この記事へのコメントはありません。