「社労士試験 厚生年金法 特別支給の老齢厚生年金を攻略する手がかりとは」過去問・厚-58

ご存知のとおり、厚生年金の老齢厚生年金には2種類あり、現在は、65歳以上の人に支給される老齢厚生年金にシフトしているところです。

特別支給の老齢厚生年金は、いわば移行措置になっていますね。

なので、支給開始年齢の引き上げなど、ややこしいものが多いのがツラいところです。

勉強の仕方としては、特別支給の老齢厚生年金は、65歳以上の老齢厚生年金へ移行するための制度という視点で見ていくと、少しは理解しやすくなるかも知れませんね。

それでは最初の問題を見てみましょう。

1問目は、特別支給の老齢厚生年金の支給要件が論点になっています。

受給するための被保険者期間は、どのくらい必要だったでしょうか。

 

特別支給の老齢厚生年金の支給要件

(令和元年問1D)

老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合であっても、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有していない場合には、特別支給の老齢厚生年金の受給権は生じない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、「1年以上」の厚生年金の被保険者期間が必要です。

ちなみに、65歳以上の本来の老齢厚生年金の場合は1ヶ月以上の被保険者期間でOKです。

で、特別支給の老齢厚生年金に話を戻しますが、1年以上の被保険者期間の他に、

  • 60歳以上であること
  • 老齢基礎年金の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上であること

が必要です。

しかし、もし厚生年金の被保険者の種類が2つ以上ある場合はどうなるのでしょう。

たとえば第1号厚生年金被保険者と第2号、第3号などの被保険者の期間がある場合ですが、

どのような処置になるのか次の問題を見てみましょう。

 

2種以上の被保険者期間があるときの取り扱い

(令和2年問10イ)

老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている60歳以上65歳未満の者であって、特別支給の老齢厚生年金の生年月日に係る要件を満たす者が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に到達した日において第1号厚生年金被保険者期間が9か月しかなかったため特別支給の老齢厚生年金を受給することができなかった。この者が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢到達後に第3号厚生年金被保険者の資格を取得し、当該第3号厚生年金被保険者期間が3か月になった場合は、特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。なお、この者は上記期間以外に被保険者期間はないものとする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

原則としては、2以上の種別の被保険者だった期間がある場合、各号の厚生年金被保険者期間にかかる被保険者期間ごとに適用されるのですが、

1年以上の被保険者期間を見る場合には、2以上の種別の被保険者期間は合算されることになります。

なので、問題文のケースであれば特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。

さて、次に定額部分の支給開始年齢の引き上げについて見ていきましょう。

下の問題では、男性と女性の違いに注意するといいでしょう。

 

定額部分の支給開始年齢

(平成24年問9B)

60歳台前半の女性の、第1号厚生年金被保険者期間についての老齢厚生年金における定額部分の支給開始年齢は、昭和16年4月2日以降に生まれた者から段階的に引き上げられ、昭和24年4月2日以降に生まれた者については、60歳から65歳に達するまでの間、定額部分が支給されなくなる。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:誤り

問題文の、

  • 昭和16年4月2日以降に生まれた者から段階的に引き上げられ、
  • 昭和24年4月2日以降に生まれた者については、60歳から65歳に達するまでの間、定額部分が支給されなくなる

というのは男性の定額部分の支給開始年齢の引き上げに関するものです。

女性は、男性よりも5年遅れの運用となりますので、

  • 昭和21年4月2日以降に生まれた者から段階的に引き上げられ、
  • 昭和29年4月2日以降に生まれた者については、60歳から65歳に達するまでの間、定額部分が支給されなくなる。

という形になります。

また、女子の場合は、第1号厚生年金被保険者の部分が対象となります。

で、定額部分の額の計算方法は、

「1628円×改定率×被保険者期間の月数」(原則)

ということになるわけですが、この被保険者期間の月数には上限があります。

その上限に関するルールがどうなっているのか次の過去問で見てみましょう。

 

定額部分における被保険者期間の月数のマックスは?

(平成25年問10E)

昭和25年4月2日生まれの女子に支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算に係る被保険者期間の月数は、456月を上限とする。

 

解説

解答:誤り

昭和21年4月2日以後に生まれた人については、定額部分の額を計算するときの被保険者期間の月数は「480月」が上限になっています。

これは、老齢基礎年金の保険料納付済期間の上限と同じですね。

では最後に、特別支給の年金額の改定について取り扱った過去問を確認しましょう。

すでに特別支給の老齢厚生年金を受給している「被保険者」が資格を喪失した場合に、いつから特別支給の老齢厚生年金の支給額が改定されるのかが、下の問題の論点になっています。

 

被保険者の資格を喪失したとき、年金額改定のルールとは

(平成23年問9B)

60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している被保険者が、その被保険者の資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日の属する月から年金の額を改定する。

 

解説

解答:誤り

60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している被保険者が、その被保険者の資格を喪失して、

そのまま被保険者となることがなく、被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、

特別支給の老齢厚生年金の額が改定されるのは、資格を喪失した日の属する月からではなく、

資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月」から改定されます。(原則)

ただし、会社を退職するなど、事業所に使用されなくなった場合は、

退職日から起算して1月を経過した日の属する月」から改定されます(退職時改定)。

たとえば、令和3年2月28日に会社を退職して被保険者の資格を喪失した場合は、

退職日(2月末日)から1月を経過した日の属する月(3月末日)から年金額が改定されるので、

3月分から特別支給の老齢厚生年金の額が改定されることになります。

 

今回のポイント

  • 特別支給の老齢厚生年金の支給要件は、「1年以上の被保険者期間」、「60歳以上である」、「老齢基礎年金の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上であること」です。
  • 2以上の種別の被保険者だった期間がある場合、原則としては、各号の厚生年金被保険者期間にかかる被保険者期間ごとに適用されるのですが、1年以上の被保険者期間を見る場合には、2以上の種別の被保険者期間は合算されることになります。
  • 男性定額部分の支給開始年齢の引き上げは、昭和16年4月2日以降に生まれた者から段階的に引き上げられ、昭和24年4月2日以降に生まれた者については、60歳から65歳に達するまでの間、定額部分が支給されなります。女性は、男性よりも5年遅れの運用となります。
  • 昭和21年4月2日以後に生まれた人については、定額部分の額を計算するときの被保険者期間の月数は「480月」が上限になっています。
  • 60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している被保険者が、その被保険者の資格を喪失して、そのまま被保険者となることがなく、被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、特別支給の老齢厚生年金の額が改定されるのは、「資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月」から改定されます。(原則)
  • ただし、会社を退職するなど、事業所に使用されなくなった場合は、退職日から起算して1月を経過した日の属する月」から改定されます(退職時改定)。

 

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