過去問

「社労士試験 徴収法 あっという間に読める!趣旨と保険関係の成立のポイント」過去問・徴-49

今回の徴収法では、徴収法の目的条文と、事業の基本となる一元適用事業や二元適用事業について取り扱った過去問を集めてみました。

ややこしいのは、保険関係成立届をどこに提出するのか、ということですね。

丸暗記するのはなかなか大変ですので、自分なりのイメージを持っておくと良いでしょう。

それでは最初の問題に入っていきますね。

1問目は、「目的条文」が論点になっています。

徴収法がなんのためにあるのかを確認していきましょう。

 

徴収法の目的条文

(令和2年雇用問8D)

労働保険徴収法は、労働保険の事業の効率的な運営を図るため、労働保険の保険関係の成立及び消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合等に関し必要な事項を定めている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

徴収法については、選択式が出題されませんので、目的条文に登場する用語を暗記する必要はありませんが、

目的条文を理解しておくことで法律の理解につながりますので、きちんと押さえておくようにしましょう。

重要なキーワードとしては、「労働保険の事業の効率的な運営」、「保険関係の成立及び消滅」、「労働保険料の納付の手続」、「労働保険事務組合」ですね。(文章のほとんどになっていますが。苦笑)

法律の名前からして「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」ですから、

いかに確実に労働保険料を徴収するか

に特化した法律と言えるでしょうね。笑

で、徴収法上での適用事業は、建設工事のように事業の終わりが予定されている「有期事業」と、一般の会社のように廃業しない限り事業が続く「継続事業」に分かれます。

さらに、労働保険は労災保険と雇用保険の2種類がありますが、二つの保険料を一緒に徴収する事業を「一元適用事業」といい、

労災保険の適用と雇用保険の適用について、それぞれ別個の事業とみなして適用される事業を「二元適用事業」といいます。

では、この「二元適用事業」の定義について問われている過去問を見ていくことにしましょう。

 

二元適用事業の定義とは

(平成26年雇用問8B)

労働保険徴収法は、労働保険の適用徴収の一元化を目的として制定されたものであるが、都道府県及び市町村の行う事業については、労災保険と雇用保険とで適用労働者の範囲が異なるため、両保険ごとに別個の事業とみなして同法を適用することとしている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

二元適用事業には、

  • 都道府県市町村、およびこれらに準ずるものの行う事業
  • 港湾労働法に規定されている港湾運送の事業
  • 農林・畜産・養蚕・水産の事業(船員が雇用される事業は対象外)
  • 建設の事業

があります。

これらは最終的にはすべて覚えておいた方がいいでしょう。

では、二元適用事業の種類を確認する意味で、もう一問見てみましょう。

次の問題文には余計なものが入っていますよ。

 

二元適用事業の定義とは その2

(平成24年労災問8E)

労働保険徴収法第39条第1項においては、「国、都道府県及び市町村の行う事業その他厚生労働省令で定める事業については、当該事業を労災保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係ごとに別個の事業とみなしてこの法律を適用する。」とされている。

 

解説

解答:誤

二元適用事業は、都道府県及び市町村の行う事業は対象になっていますが、「国」は労災保険が適用されませんので、二元適用事業になり得ません。

国家公務員が公務中や通勤中に災害に遭った場合は、国家公務員災害補償制度が適用されますので、労災保険ではないんですね。

さて、適用事業の事業主が事業をスタートしたら、その日に労働保険の保険関係が成立します。

そのとき、「保険関係成立届」を提出することになるのですが、どこに出せばいいのでしょうか。

二元適用事業であれば、労災保険は、労働基準監督署ですし、雇用保険の場合は所轄公共職業安定所になります。

では、労災保険と雇用保険を一括した「一元適用事業」の場合、どうなるのか次の過去問で見てみましょう。

 

一元適用事業で保険関係成立届を公共職業安定所に出すケース

(平成28年雇用問8B)

一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するものに関する保険関係成立届の提出先は、所轄公共職業安定所長である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

一元適用事業で、「労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する」場合は、「所轄公共職業安定所長」へ保険関係成立届を提出することになります。

「ハローワークは事務組合と相性がいい」

とイメージしておくと便利かと思います。

となれば、一元適用事業で労働基準監督署に保険関係成立届を提出するのはどんな場合でしょうか??

 

一元適用事業で保険関係成立届を労働基準監督署に出すケース

(平成28年雇用問8A)

一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しないもの(雇用保険にかかる保険関係のみが成立している事業を除く。)に関する保険関係成立届の提出先は、所轄労働基準監督署長である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、一元適用事業で、「労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない」場合に、「所轄労働基準監督署長」へ保険関係成立届を提出します。

ただ、雇用保険だけが成立している場合は所轄公共職業安定所長へ提出します。

逆にいうと、労災保険だけが成立しているのであれば労基署ということになります。

 

今回のポイント

  • 二元適用事業には、
    • 都道府県市町村、およびこれらに準ずるものの行う事業
    • 港湾労働法に規定されている港湾運送の事業
    • 農林・畜産・養蚕・水産の事業(船員が雇用される事業は対象外)
    • 建設の事業

    があります。

  • 国の事業は労災保険が適用されませんので、一元適用事業、二元適用事業になることはありません。
  • 一元適用事業で、「労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する」場合は、「所轄公共職業安定所長」へ保険関係成立届を提出することになります。
  • 一元適用事業で、「労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない」場合に、「所轄労働基準監督署長」へ保険関係成立届を提出します。

 

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