健康保険法で適用事業所になるには、下記の要件が必要です。
- 法定16種の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
- 国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの
これは、厚生年金法とほとんど一緒です。
(船員については船員保険に入りますので、健康保険法では対象外です。)
法定16種以外は非適用業種になります。
非適用業種がどんなものが該当するかは、下記の記事をご覧ください。
あと、被保険者になるべき従業員の方の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受ければ任意適用事業所になります。
それでは、適用事業所についての過去問を見てみることにしましょう。
うちの会社には社員いないので、適用事業所じゃないですよね?
(令和元年問4ア)
代表者が 1 人の法人の事業所であって、代表者以外に従業員を雇用していないものについては、適用事業所とはならない。
解説
解答:誤
問題文の場合は、適用事業所になり得ます。
いわゆる「ひとり社長の会社」で、従業員がいないですが、法人になります。
その場合社長は、法人に使用される者として労働の対償として報酬を受けていれば被保険者になりますので、適用事業所になることがあります。
言いかえれば、社長が法人に雇われた労働者、って解釈になるんですね。
さて、任意適用事業所で従業員の人が健康保険に加入してって頼まれたら、社長さんはどうすればいいのでしょう。
従業員から健康保険に入って欲しいと言われたんだけど、入らないとダメ?
(平成24年問8A)
従業員が15人の個人経営の理髪店で、被保険者となるべき者の2分の1以上が希望した場合には、事業主に速やかに適用事業所とするべき義務が生じる。
解説
解答:誤
従業員の方から希望があったとしても、事業主には任意適用事業所にする義務はありません。
もう一度、冒頭の要件を読んでみましょう。
「被保険者になるべき従業員の方の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受ければ任意適用事業所になります。」
あくまで、事業主側に任意適用事業所にしたい意思があって、従業員の方の2分の1以上の同意があれば申請できる、というお話であって、事業主にその意思がなければ、従業員の方だけが希望しても任意適用事業所にはなれないんですね。
ちなみに、労災保険(過半数の希望)や雇用保険(2分の1以上の希望)は労働者の希望があれば、暫定任意適用事業の申請をする義務が生じます。
今回のポイント
- ひとり社長の会社でも、法人であれば適用事業所になり得ます。
- 従業員の希望があっても、事業主に意思がなければ、任意適用事業所の申請をする義務はありません。
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