あなたは、「傷病手当金」は得意ですか?それとも苦手ですか?
傷病手当金はよく出題されるので、もし苦手な場合でしたら一度、時間を取って「傷病手当金まつり」をするのも良いと思います。
2時間ほど時間を取って、その間、ひたすら傷病手当金についての問題を繰り返し解き、テキストを読み返すのです。
苦手意識を持つものの理由には、その分野の知識について「あまり馴染みがない」ことが挙げられます。
なので、集中的に「濃い」勉強をしておくと知識に馴染みができて理解が深まるので、苦手意識がなくなりなりますよ。
これは他の科目でも同じなので一度お試しになってみてはいかがでしょうか。
それでは最初の過去問です。
傷病手当金は、当然のことながら被保険者に対して適用されますが、被保険者になる前の傷病でも傷病手当金を受けることができるのでしょうか。
被保険者になる前の傷病では傷病手当金は受けられない?
(令和2年問2E)
被保険者資格を取得する前に初診日がある傷病のため労務に服することができず休職したとき、療養の給付は受けられるが、傷病手当金は支給されない。
解説
解答:誤
被保険者資格を取得する前に初診日がある傷病のため労務に服することができなくなった時でも、傷病手当金は支給されます。
もちろん療養の給付も受けられます。
これは通達にあるのですが、
「被保険者の資格取得前に疾病に罹りその後事業の拡張により数名を同時に採用したるため、法の強制適用事業所となりました場合に於て、療養の給付並びに傷病手当金の支給は受けられるかどうか。」という質問に対して、
「被保険者の資格取得前にかかつた疾病又は受けた負傷についても療養の給付及び傷病手当金は支給される。」と回答しています。(昭和二六年五月一日 保文発一三四六号)
では、療養の給付を受けないで、自費診療で療養している場合、傷病手当金はもらえるのでしょうか。
自費診療での療養でも傷病手当金の対象になる?
(平成29年問8A)
傷病手当金は被保険者が療養のため労務に服することができないときに支給されるが、この療養については、療養の給付に係る保険医の意見書を必要とするため、自費診療で療養を受けた場合は、傷病手当金が支給されない。
解説
解答:誤
問題文の場合、傷病手当金は支給されます。
傷病手当金を受給する原因になっている療養は、保険給付の療養だけではなく、自費診療の場合でも大丈夫です。
つまり、「療養のために労務に服することができない」ということの証明があれば傷病手当金の対象となります。
治療項目によっては健康保険が効かないものもあるでしょうからね。
で、先ほど述べたように、傷病手当金は「療養のために労務に服することができない」ことが要件なわけですが、
傷病手当金以外に副業などで収入を得るようなことがあった場合、傷病手当金の取り扱いがどうなるのか、次の過去問で見てみましょう。
副業してたら傷病手当金はアウト?
(令和元年問8E)
傷病手当金は、労務不能でなければ支給要件を満たすものではないが、被保険者がその本来の職場における労務に就くことが不可能な場合であっても、現に職場転換その他の措置により就労可能な程度の他の比較的軽微な労務に服し、これによって相当額の報酬を得ているような場合は、労務不能には該当しない。また、本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない副業ないし内職等の労務に従事したり、あるいは傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合その他これらに準ずる場合も同様に労務不能には該当しない。
解説
解答:誤
問題文のような、本職の労務とはいえない副業や一時的に軽微な他の労務をして収入を得ても、それは「労務」とは言えず、「労務不能」に該当します。
なので、副業などで収入を得ているからといって、「あ、働けますやん」ということで「労務不能じゃないよね」とすぐに判断するのではなく、ちゃんと検討してくださいね、と通達では言っています。
ちなみに、問題文前半にあるように、本職の仕事をすることができなくても、他の部署などの仕事ができるのであれば、働くことができているわけで、これは「労務不能」にはなりません。
とりあえずは職場に出勤できているようですしね。
この通達については下にリンクを貼っておきますので、ご自由にご参考になさってくださいね。
参考記事:資格喪失後の継続給付に係る関係通知の廃止及び「健康保険法第98条第1項及び第99条第1項の規定の解釈運用」について 平成15年2月25日 /保保発第0225007号/庁保険発第4号/
さて、傷病手当金を受けるには、待期期間が3日必要なわけですが、その待期の起算日について確認しましょう。
つまり、ケガや病気を発症した時間帯によって起算日が変わるらしいのです。。。
待期期間の起算日とは
(平成25年問10ア)
傷病手当金の支給に関して、労務に服することができない期間は、労務に服することができない状態になった日から起算するが、その状態になったときが業務終了後である場合は、その翌日から起算する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
待期期間の起算日は、問題文にあるように「労務に服することができない状態になった日」になるわけですが、もし業務終了後に労務に服することができない状態になった時は、その翌日が起算日になります。
これについては、次の問題で具体的に見てみましょう。
待期期間の起算日とは その2
(平成28年問3C)
被保険者が就業中の午後4時頃になって虫垂炎を発症し、そのまま入院した場合、その翌日が傷病手当金の待期期間の起算日となり、当該起算日以後の3日間連続して労務不能であれば待期期間を満たすことになる。
解説
解答:誤
問題文の場合は、傷病手当金の待期期間の起算日は入院した日となり、「翌日」ではありません。
要するに、「就業中」に発症してそのまま病院に担ぎ込まれて入院した場合は、その就業日が起算日になりますが、
就業後、たとえば仕事が終わって帰宅した時に発症して病院に担ぎ込まれたら、起算日は「その翌日」になる、というわけです。
なので、たとえ就業中に「お腹痛い!」となっても、そのまま終業時間まで仕事していたら、就業後の発症ということになり、傷病手当金の起算日はその翌日なるということですね。
ですから、お腹が痛くなったらガマンしない方がいいかもしれませんね。笑
今回のポイント
- 被保険者資格を取得する前に初診日がある傷病のため労務に服することができなくなった時でも、傷病手当金は支給されます。
- 傷病手当金を受給する原因になっている療養は、保険給付の療養だけではなく、自費診療の場合でも大丈夫です。
- 問題文のような、本職の労務とはいえない副業や一時的に軽微な他の労務をして収入を得ても、それは「労務」とは言えず、「労務不能」に該当します。
- 待期期間の起算日は、問題文にあるように「労務に服することができない状態になった日」になるわけですが、もし業務終了後に労務に服することができない状態になった時は、その翌日が起算日になります。
- 「就業中」に発症してそのまま病院に担ぎ込まれて入院した場合は、その就業日が起算日になりますが、就業後、たとえば仕事が終わって帰宅した時に発症して病院に担ぎ込まれたら、起算日は「その翌日」になる、というわけです。
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