労働基準法では、賃金について以下のように規定しています。
法11条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
とは言っても、社労士の試験問題を解いていて、「これって賃金になるのかな?」と迷うこともあります。
今回は、労働基準法での賃金についての過去問を見ていくことにしましょう。
間違い探し??
(平成23年問1E)
労働基準法に定める賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者又は顧客が労働者に支払うすべてのものをいう。
解説
解答:誤
ササっと読んでいると、先ほどの法11条と同じように見えるのですが、問題文後半にある、「顧客」が余分です。
焦って問題文を読んでいると、ついキーワードを読み飛ばしてしまうこともありますので、間違い探しをするつもりで問題文を読んでいきましょう。
さて、賃金はあくまでも「使用者が労働の対償として支払う」ものになり、顧客から支払われたものは賃金にはなりません。
たとえば、旅館の仲居さんがお客さんから直接もらうチップは賃金にならないのです。
では、もう少し掘り下げてみることにしましょう。
見舞金はさすがに賃金ではないのでは?
(平成28年問1オ)
労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確にされていても、労働者の吉凶禍福に対する使用者からの恩恵的な見舞金は、労働基準法第11条にいう「賃金」にはあたらない。
解説
解答:誤
問題文の場合は、賃金になってしまうのです。
たとえば、社長がポケットマネーで見舞金を渡す場合は賃金にはならないのですが、就業規則などで支給条件が明かになってしまっているものは賃金になってしまうのです。
なので、上司や総務部に「結婚しました!」と報告するとお祝い金が支給される、といった「仕組み」になっていると、これは賃金になりますよ、ということですね。
では、最後にこちらの過去問を解いてみましょう。
ガソリン代、就業規則で支給してもらえることになってますけど?
(平成元年問3オ)
私有自動車を社用に提供する者に対し、社用に用いた場合のガソリン代は走行距離に応じて支給される旨が就業規則等に定められている場合、当該ガソリン代は、労働基準法第11条にいう「賃金」に当たる。
解説
解答:誤
上記の場合は、いくら就業規則で支給されるといっても賃金にはなりません。
もう一度、法11条をみてみましょう。
法11条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
賃金は「労働の対償」として支払われるものです。
今回のガソリン代は、従業員の人が立て替えただけのことで、いわゆる実費弁償にあたるので賃金にはならないということです。
もらう側も、立て替えたガソリン代を「賃金」といわれても「なんで??」ってなりますよね笑
今回のポイント
賃金:使用者が労働の対償として支払うもの
です。ここさえブレなければ大丈夫です!
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