基本手当は次の就職先を探すことに専念するために生活費の保障という形で受け取るものです。
なので、基本手当を受け取っている間、きちんと就職活動をしている必要がありますし、もし失業中に仕事をしていたら失業の認定をしてもらえず、基本手当がもらえないこともあります。
今回は、基本手当を受給するための要件についての過去問を集めました。
ほとんどが業務取扱要領からの出題ですが、あまり深入りせず、ポイントをおさえていくように
基本手当をもらおうとするときに、離職票が2枚あったらどうする?
(平成27年問7B)
基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く。)が管轄公共職業安定所に出頭する場合において、その者が2枚以上の離職票を保管するときでも、直近の離職票のみを提出すれば足りる。
解説
解答:誤
2枚以上離職票を持っているときは、管轄公共職業安定所に出頭する場合、全部提出する必要があります。
どうしてかというと、今回の離職によって受給資格者になれるかどうか「被保険者であった期間」のチェックや、
「所定給付日数」の決定をするために、離職票を確認する必要があるためです。
で、求職の申込みをして受給資格者になると、いよいよ仕事探しが始まるわけですが、
基本手当をもらうためにはちゃんと求職活動をしていることが必須になります。
では、どれだけ求職活動をすればいいのでしょう。
下の過去問では自己都合退職をして最初の基本手当支給認定日までの求職活動の回数について問われていますのでチェックしましょう。
自己都合退職したら最初の認定日までに求職活動は何回必要か
(平成28年問3イ)
雇用保険法第33条に定める給付制限(給付制限期間が1か月となる場合を除く。)満了後の初回支給認定日については、当該給付制限期間と初回支給認定日に係る給付制限満了後の認定対象期間をあわせた期間に求職活動を原則3回以上行った実績を確認できた場合に、他に不認定となる事由がある日以外の各日について失業の認定を行う。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
支給認定日と次の支給認定日の間に行わなければならない求職活動の回数の原則は「2回以上」なのですが、
自己都合退職の場合、給付制限が明けて最初の支給認定日までに行わなければならない求職活動の回数は「3回以上」となっています。
給付制限の期間が通常3ヶ月なので、認定日までの期間が長いからなのか、自己都合退職をしたからなのか分かりませんが、この違いは押さえておくようにしましょう。
気になる方は業務取扱要領に出ていますので、下にリンクを貼っておきますからご自由にご参考になさってくださいね。
参考記事:業務取扱要領 P186 b 法第 33 条の給付制限を行う場合の取扱い
さて、基本手当を受給するということは、仕事がなくて収入が入らないために生活費の保障をしてもらっているわけですが、
その失業中に単発で仕事が入るなんてことも現実的にはありそうですよね。
そんなとき、失業の認定がどうなるのかについて、次の過去問を見てみましょう。
失業中に仕事をした時の取り扱いとは
(平成27年問7C)
1日の労働時間が4時間以上の請負業務に従事した日についても、失業の認定が行われる。
解説
解答:誤
問題文の場合は失業の認定は行われません。
失業の認定というのは、4週間に1回ずつ直前の28日の「各日」について行われますが、「就職した日」については失業の認定がなされません。
「就職した日」というのはどういう日なのかというと、
- 雇用関係に入る
- 請負、委任により常時労務を提供する地位にある
- 自営業を開始した場合 など
がそれに当たります。
で、原則として1日の労働時間が4時間以上の場合で、収入が実際にあったかどうかは関係ありませんし、
1日の労働が4時間未満のときであっても「被保険者」になる場合も就職した日に含まれます。
つまり、公共職業安定所の職業紹介にすぐには応じられない状態で、他に求職活動を行わない場合は、
「労働の意思及び能力がないもの」として取り扱われるので、その日については受給資格者の資格がないとみなされるわけですね。
こちらについても、業務取扱要領に記載されていますので、詳しく知りたい方はリンクを貼っておきますのでご参考になさってくださいね。
(深入りは禁物ですよ。)
参考記事:業務取扱要領 P193 51255(5)就職した日又は自己の労働による収入があったかどうかの確認
では、次は「失業の認定日」にスポットをあててみましょう。
基本手当をもらうには、「失業の認定日」に管轄公共職業安定所に出頭して、「失業認定申告書」に「受給資格者証」を添えて提出して、
職業の紹介を求めることになっていますが、失業の認定日に何らかの理由で出頭できないこともあるでしょう。
そんなときはどのようにすればいいのでしょうか。
次の過去問で確認してみましょう。
失業の認定日に出頭できない時はどうする?
(平成25年問2イ)
受給資格者は、失業の認定日に、民間の職業紹介事業者の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかったときは、その理由を記載した証明書を提出することによって、公共職業安定所に出頭しなくても、失業の認定を受けることができる。
解説
解答:誤
問題文のように、「民間の職業紹介事業者の面接」で公共職業安定所に出頭できない場合は、「証明書による失業の認定」ではなく、「失業の認定日の変更」になります。
失業の認定日に出頭できない場合の処置は、
- 「失業の認定日の変更」
- 「証明書による失業の認定」
の2種類があり、それぞれ要件が違います。
「失業の認定日の変更」の要件としては、
- 就職したとき
- 公共職業安定所の紹介ではない採用試験や、面接、資格試験を受けるとき
- 本人が病気になったりケガした場合や、結婚するとき、親族の看護や、危篤状態、死亡したとき
などがあてはまり、「2」が問題文のケースになります。
この場合は、きちんと事前に失業の認定日を変更しておかないと、失業の認定をしてもらえず、基本手当をもらい損ねる可能性があるので注意が必要です。
次に、「証明書による失業の認定」の要件は
- 疾病又は負傷で公共職業安定所に出頭できなかった場合で、その期間が継続して15日未満のとき
- 公共職業安定所の紹介で求人者に面接するために出頭することができなかったとき
- 公共職業訓練等を受けるために出頭することができなかったとき
- 天災その他やむを得ない理由のために出頭することができなかったとき
といったものになります。
「証明書による失業の認定」の場合は、失業の認定日に出頭できなくても、証明書を提出すれば失業の認定を受けることができます。(「3」は証明書はいりません)
さて、最後に基本手当を手渡しで受給している人が、公共職業安定所に出頭できない場合にどうするのかを確認しておきましょう。
代理人を立てて受け取ることができるのでしょうか。
代理人が基本手当の支給を受けることはできる?
(平成25年問2エ)
受給資格者(口座振込受給資格者を除く。)が疾病、負傷、就職その他やむを得ない理由によって、支給日に管轄公共職業安定所に出頭することができないときは、その代理人が当該受給資格者に支給されるべき基本手当の支給を受けることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりで、所定の手続きを踏めば基本手当の受け取りを代理人に託すことは可能です。
ただ、気をつけなければならないのは、基本手当の受け取りは代理人でもできますが、「失業の認定」は代理人ではできず、本人が出頭しなければならないことは押さえておきましょう。
今回のポイント
- 2枚以上離職票を持っているときは、管轄公共職業安定所に出頭する場合、全部提出する必要があります。
- 支給認定日と次の支給認定日の間に行わなければならない求職活動の回数の原則は「2回以上」なのですが、自己都合退職の場合、給付制限が明けて最初の支給認定日までに行わなければならない求職活動の回数は「3回以上」となっています。
- 失業の認定というのは、4週間に1回ずつ直前の28日の「各日」について行われますが、1日4時間以上請負の仕事をするなど「就職した日」については失業の認定がなされません。
- 失業の認定日に出頭できない場合の処置は、
- 「失業の認定日の変更」
- 「証明書による失業の認定」
の2種類があります。
- 基本手当の受け取りは代理人でもできますが、「失業の認定」は代理人ではできず、本人が出頭しなければなりません。
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