過去問

「健康保険法 標準賞与額の要件のツボはこれ!」過去問・健保-35

標準賞与額に関する要件について社労士試験では、標準賞与額を決定する時の基本的なルールや、転職したときに標準賞与額がどうなるか、などについて出題されています。

気をつけなければならないのは、厚生年金法の標準賞与額の上限のカウントの仕方と区別をしておかなければならない点ですね。

では早速、標準賞与額を決める時の手順についての過去問を見てみましょう。

 

標準賞与額を決めるためのルールとは?

(平成28年問4C)

保険者等は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。ただし、その月に当該被保険者が受けた賞与によりその年度における標準賞与額の累計額が540万円(健康保険法第40条第2項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額。)を超えることとなる場合には、当該累計額が540万円となるようその月の標準賞与額を決定し、その年度においてその月の翌月以降に受ける賞与の標準賞与額は零とする。

 

解説

解答:誤

問題文に「540万円」とありますが、540万円ではなく、「573万円」が正解です。

その年度における標準賞与額の累計額が573万円を超えるときは、当該累計額が573万円となるようその月の標準賞与額を決定して、それ以後に賞与が支給されてもカウントしません。

つまり、標準賞与額の上限は「573万円」ということになりますね。

もう一つ気をつけなければならないのは、標準賞与額の累計は年度ごと(毎年4月1日から翌年3月31日まで)でカウントするという点です。

で、冒頭に述べました厚生年金法で標準賞与額の上限がどうなっているのかというと、「1か月あたり150万円」が上限になっています。

どうして健康保険と厚生年金で差があるのかというと、健康保険は、標準賞与額が上がればそれだけ保険料を納めてくれるのでいいのですが、

厚生年金は保険料が上がっても、将来支給する年金額も高くなるから、、、?という理由があるのかないのかは定かではありません。笑

さて、次は2以上の事業所で賞与をもらった時の標準賞与額の取り扱いについてです。

最近は副業を認めている会社も増えてきているという話を聞きますので、2つ以上の会社から賞与がもらえる、なんてことも不思議ではなくなっているでしょうね。

 

2以上の事業所で賞与をもらったときはどうなる?

(平成28年問10B)

同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者について、それぞれの事業所において同一月に賞与が支給された場合、その合算額をもって標準賞与額が決定される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者が、各事業所で同じ月に賞与が支給された場合には、その合算額を標準賞与額とします。

では、同時に報酬を受けるのではなく、転職して会社が変わったときはどうなるのでしょうか。

たとえば、協会けんぽに加入している会社から健康保険組合を運営している会社へ転職した場合に、標準賞与額の累計はどのように計算するのか確認しましょう。

 

転職で協会けんぽから健康保険組合へ保険者が変わったらどうなる?

(令和元年問10D)

全国健康保険協会管掌健康保険における同一の事業所において、賞与が7月150万円、12月250万円、翌年3月200万円であった場合の被保険者の標準賞与額は、7月150万円、12月250万円、3月173万円となる。一方、全国健康保険協会管掌健康保険の事業所において賞与が7月150万円であり、11月に健康保険組合管掌健康保険の事業所へ転職し、賞与が12月250万円、翌年3月200万円であった場合の被保険者の標準賞与額は、7月150万円、12月250万円、3月200万円となる。

 

解説

解答:正

問題文のように、協会けんぽから健康保険組合へ保険者が変わるような転職をした場合は標準賞与額の累積はされません。

なので、問題文のとおり標準賞与額は、

7月150万円、12月250万円、3月200万円となります。

逆に言うと、協会けんぽに加入している会社から同じく協会けんぽに加入している会社に転職した場合は、標準賞与額の累積をしてくれます。

では保険者が変わる転職の場合の標準賞与額の計算についてもう一問見てみましょう。

 

転職で保険者が変わった時の標準賞与額は?

(平成27年問9B)

全国健康保険協会管掌健康保険の適用事業所であるA社で、3月に200万円、6月に280万円の賞与が支給され、それぞれ標準賞与額が200万円及び280万円に決定された被保険者が、A社を同年8月31日付で退職し、その翌日に資格喪失した。その後、同年9月11日に健康保険組合管掌健康保険の適用事業所であるB社で被保険者資格を取得し、同年12月に100万円の賞与の支給を受けた。この場合、「健康保険標準賞与額累計申出書」を当該健康保険組合に提出することにより、当該被保険者の標準賞与額は60万円と決定される。

 

解説

解答:誤

問題文中の60万円は誤りで12月分の標準賞与額は「100万円」になります。

まず、標準賞与額の累積は年度単位になるので4月1日からスタートします。

なので、問題文にある3月分はカウントされません。

また、協会けんぽに加入している会社で、6月に280万円の賞与が支給されたあと、9月に健康保険組合の会社に変わっています。

この時点で標準賞与額の累積はリセットされますので、12月分の100万円はそのまま100万円として取り扱われます。

さて、賞与を支払った事業主はいつまでに「健康保険被保険者賞与支払届」を提出しなければならないのか確認しておきましょう。

 

賞与支払届の提出期限は?

(平成30年問3C)

全国健康保険協会管掌健康保険の適用事業所の事業主は、被保険者に賞与を支払った場合は、支払った日から5日以内に、健康保険被保険者賞与支払届を日本年金機構に提出しなければならないとされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

被保険者の賞与額に関する届出については、賞与を支払った日から5日以に、

日本年金機構または健康保険組合に健康保険被保険者賞与支払届を提出する必要があります。

ちなみに令和2年度の法改正で特定法人については、上記の届出は原則として電子申請で行うことが義務付けられました。

 

今回のポイント

  • その年度における標準賞与額の累計額が573万円を超えるときは、当該累計額が573万円となるようその月の標準賞与額を決定して、それ以後に賞与が支給されてもカウントしません。
  • 同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者が、各事業所で同じ月に賞与が支給された場合には、その合算額を標準賞与額とします。
  • 協会けんぽから健康保険組合へ保険者が変わるような転職をした場合は標準賞与額の累積はされません。
  • 被保険者の賞与額に関する届出については、賞与を支払った日から5日以内に、日本年金機構または健康保険組合に健康保険被保険者賞与支払届を提出する必要があります。

 

各科目の勉強法の記事をまとめました

労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください

リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」

 

科目ごとにまとめて記事を見ることができます!

スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。

もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。

ぜひご活用ください!

 

関連記事

  1. 「社労士試験 安衛法 健康診断と事業者」安衛-171

  2. 「社労士試験 社会保険に関する一般常識 児童手当法」社一-151

  3. 「社労士試験 国民年金法 基礎年金拠出金」国年-156

  4. 「社労士試験 社会保険に関する一般常識 国民健康保険法」社一-112

  5. 「社労士試験 国民年金法 国庫負担」国年-188

  6. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 厚生年金法 標準報酬月額」過去…

  7. 社労士試験勉強法 過去問攻略!「徴収法 労働保険料ってどんな種類がある…

  8. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 国民年金法 目的・定義」国年1…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。