確定保険料は、概算保険料に対する精算のような位置付けです。
継続事業のように事業の切れ目がない場合は毎年決まった時期に確定保険料を支払う形になり、有期事業は事業が終わって保険関係が消滅してから払うことになります。
で、もし途中で保険関係が消滅した場合は◯日以内に精算してね、という形になりますね。
では、それらの規定について、社労士試験の過去問を見ていくことにしましょう。
継続事業の第1種特別加入の承認が取り消された場合の確定保険料の納期限は?
(令和元年労災問9B)
継続事業(一括有期事業を含む。)の事業主は、保険年度の中途に労災保険法第34条第1項の承認が取り消された事業に係る第1種特別加入保険料に関して、当該承認が取り消された日から50日以内に確定保険料申告書を提出しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおり、確定保険料の申告書は「50日以内」に提出することになります。
第34条というのは、中小企業主の特別加入のことです。
継続事業が確定保険料申告書を提出するのは、次のタイミングになります。
- 保険年度ごとに、次の保険年度の6月1日から40日以内
- 保険年度の中途に保険関係が消滅したものについては、当該保険関係が消滅した日から50日以内
- 第1種、第3種の特別加入保険料が保険年度の中途に承認が取り消された日から50日以内
今回の問題文のケースは「3」にあたりますね。
次は、有期事業の確定保険料申告書の提出に関する規定をチェックしましょう。
有期事業の確定保険料の支払期限はいつ?
(平成27年労災問9C)
建設の有期事業を行う事業主は、当該事業に係る労災保険の保険関係が消滅した場合であって、納付した概算保険料の額が確定保険料の額として申告した額に足りないときは、当該保険関係が消滅した日から起算して50日以内にその不足額を、確定保険料申告書に添えて、申告・納付しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、労災保険の保険関係が消滅した日から起算して「50日以内」となります。
「50日以内」というのは、継続事業の保険関係が消滅した時と同じタイミングですね。
ちなみに、有期事業にくっついている第1種特別加入保険料の承認が取り消された時も50日以内となります。
さて、無事に確定保険料申告書と保険料の納付を済ませたはいいですが、もし金額が間違っていたらどうするんでしょう。
政府の方から「金額違うよ。足りないよ。」と言ってくるのは必至ですね。笑
これを「確定保険料の認定決定」とよびますが、その規定について確認しておきましょう。
確定保険料の金額が足りなかったときは?
(令和元年労災問9E)
事業主が提出した確定保険料申告書の記載に誤りがあり、労働保険料の額が不足していた場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。このとき事業主は、通知を受けた日の翌日から起算して30日以内にその不足額を納付しなければならない。
解説
解答:誤
確定保険料の認定決定があった場合、不足分の労働保険料は、通知を受けた日の翌日から起算して「30日以内」ではなく、「15日以内」に納付する必要があります。
たしか、概算保険料の認定決定も「15日以内」でしたね。
ちなみに、「30日以内」というのは追加徴収にありました。
追加徴収は、通知を発する日から起算して30日以内でしたね。
では話を戻しますが、確定保険料の認定決定は何の書式で送ってくるんでしょうか?
納付書?納入通知書?
確定保険料の認定決定は納付書?納入告知書?
(平成25年問9B)
事業主が所定の納期限までに確定保険料申告書を提出しなかったことにより、所轄都道府県労働局歳入徴収官が行う認定決定の通知は、納入告知書によって行われる。
解説
解答:正
問題文のとおり、確定保険料の認定決定の通知は、「納入告知書」によって行われます。
ちなみに、先ほどの概算保険料の認定決定や追加徴収は「納付書」で行われます。
今回のポイント
- 継続事業が確定保険料申告書を提出するのは、次のタイミングになります。
- 保険年度ごとに、次の保険年度の6月1日から40日以内
- 保険年度の中途に保険関係が消滅したものについては、当該保険関係が消滅した日から50日以内
- 第1種、第3種の特別加入保険料が保険年度の中途に承認が取り消された日から50日以内
- 有期事業の労災保険の保険関係が消滅した場合、労災保険の保険関係が消滅した日から起算して「50日以内」となります。
- 確定保険料の認定決定があった場合、不足分の労働保険料は、通知を受けた日の翌日から起算して「30日以内」ではなく、「15日以内」に納付する必要があります。
- 確定保険料の認定決定の通知は、「納入告知書」によって行われます。
令和2年の法改正情報
このブログでは、法改正情報を時々配信させていただきますので、これを機会にお手持ちのテキストで確認してみてくださいね。
健康保険法 被扶養者の国内居住要件
令和2年4月1日から、健康保険の被扶養者の認定要件に国内居住要件が追加されることになりました。
住所は、住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、日本国内に住民票がある人は原則として、国内居住要件を満たします。
なので、被扶養者が一定期間を海外で生活しているとしても、日本に住民票がある以上は、国内居住要件を満たすこととなります。
ただ、日本国内に住所がないとしても、一時的に外国留学をする学生さん、外国に赴任する被保険者に同行する家族などが一時的に海外渡航をする人などは、日本国内に生活の基礎があると認められて、国内居住要件の例外となり、被扶養者となることがあります。
たとえば、下記の人が国内居住要件の例外として認められます。
① 外国において留学をする学生
② 外国に赴任する被保険者に同行する者
③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的での一時的な海外渡航者
④ 被保険者の海外赴任期間に当該被保険者との身分関係が生じた者で、②と同等と認められるもの
⑤ ①から④までに掲げられるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
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