有期事業の一括は、建設や立木の伐採の事業ができるのですが、そもそもなんで有期事業を一括するのかというと、
「事務手続きの量を減らす」ことにあります。
たとえば、建設屋さんで、「今日は〇〇さんの家の外壁補修工事」、「明日は△△さんとこの屋根の工事」なんて感じでボンボン工事の予定があるわけです。
その工事の一つ一つに保険関係の成立届の提出や保険料の納付なんてことをやってると、書類を作る方も、書類を受け取って処理する役所も大変ですよね。
そういう理由で、有期事業の一括があるんだ、とイメージしておくと問題を解く時のヒントにもなったりするわけです。
では実際に過去問で確認してみましょう。
有期事業の一括は届出ないとダメ?
(平成28年労災問8C)
労働保険徴収法第7条に定める有期事業の一括の要件を満たす事業は、 事業主が一括有期事業開始届を所轄労働基準監督署長に届け出ることにより有期事業の一括が行われ、その届出は、それぞれの事業が開始された日の属する月の翌月 10日までにしなければならないとされている。
解説
解答:誤
有期事業の一括は、法律上当然に行われるので、「事業主が〜届け出ることにより有期事業の一括が行われ」の箇所が間違っています。
法律上当然に行われる、ということは、役所が承認しなくても勝手に保険関係が成立している、ということになりますし、事務作業も減って一石二鳥ですよね。
なので、事業主の方でちゃんと管理しておかないと、後で「知らぬ存ぜぬは通用しませんよ」ということですね。
さて、有期事業が一括されたら、実際の手続きなどの手間はどうなるんでしょう。
有期事業が一括されたら継続事業レベルに格上げ?
(平成30年労災問8D)
2以上の有期事業が労働保険徴収法による有期事業の一括の対象になると、それらの事業が一括されて一の事業として労働保険徴収法が適用され、原則としてその全体が継続事業として取り扱われることになる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
有期事業が一括されると、一括された事業は「継続事業」と同じ扱いになり、保険料の納付などの手続きも保険年度単位になります。
保険料の納付などが年度単位になると、これも事務作業量が減って嬉しいわけです。
ですが、実際に事業をしていると、事業の規模などが変更になったりすることもあります。
そんな時に有期事業の一括にも影響があるんでしょうか。
事業が縮小になったら有期事業の一括はできる?
(平成28年労災問8D)
当初、独立の有期事業として保険関係が成立した事業が、その後、事業の規模が変動し有期事業の一括のための要件を満たすに至った場合は、その時点から有期事業の一括の対象事業とされる。
解説
解答:誤
事業の規模が変動して、有期事業の一括のための要件を満たしたとしても、有期事業の一括の対象事業とはなりません。
たとえば、建設の事業で請負金額が当初2億円だったのが、規模が縮小して1億8千万円未満になったとしても、有期事業の一括はできない、ということですね。
まあ、あまりちょくちょく変更になってもかえって事務作業が増えてややこしくなる、ということなんでしょかね。
お役所としても、作業量が増えて欲しくないですもんね。
今回のポイント
- 有期事業の一括は、法律上当然に行われます。
- 有期事業が一括されると、一括された事業は「継続事業」と同じ扱いになり、保険料の納付などの手続きも保険年度単位になります。
- 事業の規模が変動して、有期事業の一括のための要件を満たしたとしても、有期事業の一括の対象事業とはなりません。
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