このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、労基法の「損害賠償」に関する過去問を取り上げたいと思います。
損害賠償について労基法がどのような趣旨で規定しているのかなどについて確認してみましょう。
「違約金の定め」や「損害賠償の予定」を禁止する趣旨
(平成25年問6D)
労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定する契約をすることを使用者に禁止しているが、その趣旨は、このような違約金制度や損害賠償額予定の制度が、ともすると労働の強制にわたり、あるいは労働者の自由意思を不当に拘束し、労働者を使用者に隷属させることとなるので、これらの弊害を防止しようとする点にある。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
労基法第16条では、
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」
としています。
これは、たとえば労働者が仕事上のミスをしたために違約金を課せられ、
それを全額支払わないと会社を退職できないようなことになれば、
労働者の退職の自由が奪われて使用者に隷属することになってしまうことが挙げられます。
そのようなことがないよう、違約金を定めたり、損害賠償を予定する契約を労基法では禁止しているのですね。
では使用者は、現実に起きた損害についても労働者に請求をすることはできないのでしょうか。
下の過去問を読んでみましょう。
実際に生じた損害も請求できない?
(平成30年問5B)
債務不履行によって使用者が損害を被った場合、現実に生じた損害について賠償を請求する旨を労働契約の締結に当たり約定することは、労働基準法第16条により禁止されている。
解説
解答:誤り
現実に生じた損害を労働者に請求することは、労基法第16条で禁止していません。
ただ、生じた損害の全額を労働者に請求できるかは別問題となります。
使用者は、労働者を使用することで利益を得ていますし、使用者責任がありますので、損害の全額を労働者に課すのは難しいかもしれません。
さて、労基法第17条では、「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。」と規定しています。
これは、使用者からお金を借りて働きながら借金を返済する場合に、お給料と借金の相殺を禁じたものです。
そのことを踏まえたうえで下の過去問を読んでみましょう。
賃金と借金の相殺は絶対ダメ?
(平成28年問2D)
労働者が、実質的にみて使用者の強制はなく、真意から相殺の意思表示をした場合でも、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
解説
解答:誤り
労働者が、自己の意思で前借金と賃金の相殺について同意している場合は、労基法第17条に抵触するものではありません。
支払われた賃金から借金を返すよりも、最初から相殺してもらったほうが手間が省けるわけなので、使用者からの強制がなく、労働者が自由な意思で相殺を希望しているのであれば大丈夫ということですね。
今回のポイント
- 労働者の自由意思を不当に拘束しなよう、労基法第16条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」としています。
- 現実に生じた損害を労働者に請求することは、労基法第16条で禁止していません。
- 労働者が、自己の意思で前借金と賃金の相殺について同意している場合は、労基法第17条に抵触するものではありません。
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