労働契約法では、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約である労働条件を変更することができる」
と規定されています。(法8条)
つまり、労働者と使用者が「オッケー」を出せば労働条件を変えることができるわけですが、、、
条文をもう一度見てみましょう。
「労働者及び使用者は、・・・」
と、労働者が使用者よりも前に記載されていますね。
なので、この労働契約法は「労働者を守るため」の法律であることを頭の片隅に置いて過去問を見ていくことにしましょう。
就業規則を変えたらいいんでしょ?
(平成22年問5B)
使用者は、労働者との合意がなければ労働者の不利益に労働条件を変更することはできないが、事業場の労働者の過半数を代表する労働組合の意見を聴いて就業規則を変更する場合には、労働条件を労働者の不利益に変更することができる。
解説
解答:誤
就業規則を変更したからと言って、無条件に労働条件を不利に変更することができるわけではありません。
過半数を代表者する労働組合の意見を「聴いた」だけで労働条件を変えられては、いくらでも使用者に都合の良い労働条件になってしまいますからね。
でも、現状としては、どうしても労働条件を変えざるを得ないこともあると思います。
労働条件を変えるための理由がちゃんとあるんですよ
(平成23年問4C)
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、労働契約法第10条ただし書に該当する場合を除き、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとされている。
解説
解答:正
長い文章ですが、要するに、就業規則の変更内容が、
- 労働者の受ける不利益の程度
- 労働条件の変更の必要性
- 変更後の就業規則の内容の相当性
- 労働組合等との交渉の状況
が合理的なら労働条件を不利益に変更するのもやむを得ない、といったところでしょうか。
今回のポイント
- 労働条件の変更は、労働者と使用者の合意があればできます。ただ、無条件に変更できるわけではありません。
- 就業規則の変更が合理的なものであれば、労働条件が労働者にとって不利な内容も、変更された就業規則に定めている内容になります。
この記事へのコメントはありません。