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【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 労災保険法 業務災害」過去問・労災-79

このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。

なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。

なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。

今回は、労災保険法から業務災害について見てみたいと思います。

業務災害として認められるには、業務遂行性業務起因性の二つが認められる必要があります。

業務遂行性というのは、事業主の支配下にある状態で、一言でいえば仕事中かどうかということです。

業務起因性は、普通に仕事をしていれば起こりうる危険が現実化することを指します。

なので、普通に仕事をしていて、その仕事をしていれば起こりうる危険によって災害が起きれば業務災害というわけです。

それでは過去問で確かめていくことにしましょう。

最初の問題は、派遣労働者について問われています。

派遣労働者の業務遂行性がテーマになっていますので見てみましょう。

 

派遣労働者の業務遂行性

(令和元年問4A)

派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある場合及び派遣元事業と派遣先事業との間の労働者派遣契約に基づき派遣先事業主の支配下にある場合には、一般に業務遂行性があるものとして取り扱うこととされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

一般的に、派遣事業主の支配下にある場合と、派遣の支配下にある場合は、

どちらも業務遂行性があるものとして取り扱われますが、

派遣元と派遣先の往復の移動も業務命令であれば、こちらも業務遂行性が認められます。

では、自宅からの移動の場合はどうでしょう。

通常、自宅から就業場所へ通勤で移動しているときは、通勤として扱われますが、

次の問題のように、直行での移動の場合はどうなるのでしょうか。

 

自宅から直行で出発した場合に災害に遭ったら

(平成26年問1D)

上司の命により従業員の無届欠勤者の事情を調査するため、通常より約30分早く「自宅公用外出」として自宅を出発、自転車で欠勤者宅に向かう途中電車にはねられ死亡した災害は業務上とされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

上司の命令で自宅から目的の場所へ直行しているときに災害に遭った場合は、通勤災害ではなく、業務遂行性が認められることになり、業務災害となります。

なので、出張時の災害の場合も業務災害となり得ます。

さて、次は人災ではなく、動物によって負傷した場合を見てみましょう。

下の問題では蛇にかまれてケガをしたのですが、そのような場合でも業務災害に該当するのでしょうか。

 

草むらで蛇にかまれても業務災害?

(平成27年問3C)

配管工が、早朝に、前夜運搬されてきた小型パイプが事業場の資材置場に乱雑に荷下ろしされていたためそれを整理していた際、材料が小型のため付近の草むらに投げ込まれていないかと草むらに探しに入ったところ、その草むらの中に棲息していた毒蛇に足を咬まれて負傷した場合、業務上の負傷に該当する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

蛇にかまれたのは、作業中であり、材料を探しに行ったためなので、業務遂行性もあり業務起因性も認められるので業務上の負傷と認められます。

ただ、たとえば休憩中に蛇をからかって遊んでいたために蛇にかまれた、ということであれば話は変わってくるかもしれませんね。

さて、次は食事のために業務から離れたときに災害に遭ったとしたら、業務災害として認められるのでしょうか。

下の問題で確認しましょう。

 

食堂に向かう時に起きた災害はどうなる?

(平成26年問1A)

自動車運転手が、長距離定期貨物便の運送業務の途上、会社が利用を認めている食堂前に至ったので、食事のために停車し食堂へ向かおうとして道路を横断中に、折から進行してきた自動車にはねられて死亡した災害は業務上とされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

食事やトイレなど生理的行為に伴う災害の場合は、業務に付随した行為と認められるため、業務災害となります。

では最後に、運転中の事故ではあるものの、業務に関連していない行為で災害にあった場合の取り扱いについて、次の問題で見てみましょう。

 

業務とは関係のない運転時に起きた事故

(平成26年問1B)

自動車運転手Aは、道路工事現場に砂利を運搬するよう命ぜられ、その作業に従事していた。砂利を敷き終わり、Aが立ち話をしていたところ、顔見知りのBが来て、ちょっと運転をやらせてくれと頼んで運転台に乗り、運転を続けたが、Aは黙認していた。Bが運転している際、Aは車のステップ台に乗っていたが、Bの不熟練のために電柱に衝突しそうになったので、とっさにAは飛び降りようとしたが、そのまま道路の外側にはね飛ばされて負傷した。このAの災害はAの職務逸脱によって発生したものであるため、業務外とされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

たしかに自動車の運転中に巻き込まれた事故ではありますが、作業が終わった後で業務とは関係のない運転時の事故となるので、業務遂行性は認められず、業務災害とはなりません

 

今回のポイント

  • 一般的に、派遣事業主の支配下にある場合と、派遣の支配下にある場合は、どちらも業務遂行性があるものとして取り扱われますが、派遣元と派遣先の往復の移動も業務命令であれば、こちらも業務遂行性が認められます。
  • 上司の命令で自宅から目的の場所へ直行しているときに災害に遭った場合は、通勤災害ではなく、業務遂行性が認められることになり、業務災害となります。
  • 蛇にかまれた場合、作業中で、材料を探しに行ったためなどであれば、業務遂行性もあり業務起因性も認められるので業務上の負傷と認められます。
  • 食事やトイレなど生理的行為に伴う災害の場合は、業務に付随した行為と認められるため、業務災害となります。
  • 自動車の運転中に巻き込まれた事故であっても、業務とは関係のない運転時の事故の場合は、業務遂行性は認められず、業務災害とはなりません

 

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