このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今回は、雇用保険法から適用事業と被保険者について取り上げたいと思います。
雇用保険法では、原則として労働者を1人でも雇用している事業については、雇用保険の適用事業となりますが、
ある要件を満たすと任意適用事業となり、厚生労働大臣に申請すれば適用事業になるという仕組みになっています。
では、任意適用事業の定義はどのようになっているのでしょうか。
任意適用事業の定義とは
(平成25年問1A)
常時5人未満の労働者を雇用する農林の事業は、法人である事業主の事業を除き、当分の間、任意適用事業とされている。
解説
解答:誤り
問題文の場合、法人だけではなく、国や都道府県、市町村なども任意適用事業の対象外となっています。
任意適用事業の要件は、
- 農林水産の事業
- 使用する労働者が常時5人未満
- 国や都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業以外
となっています。
問題文の書き方だと国の農林の事業で常時5人未満の労働者だと任意適用事業になってしまいます。
では、任意適用事業にも該当しないものにはどんなものがあるのか、次の問題で確認しましょう。
任意適用事業にもならないケース
(平成30年問7ウ)
雇用保険法の適用を受けない労働者のみを雇用する事業主の事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業を除く。)は、その労働者の数が常時5人以下であれば、任意適用事業となる。
解説
解答:誤り
問題文の場合は任意適用事業とはなりませんので誤りです。
常時使用する労働者の数をカウントするときは雇用保険法の適用を受けない労働者も対象になっているのですが、
適用を受けない労働者「のみ」を雇用している場合は、雇用保険法上の労働者がいないので、その労働者数に関わらず適用事業とはなりません。
こちらは業務取扱要領にありますので、リンクを貼っておきますね。
(「20105(5)「常時 5 人以上」の意義」の部分に記載があります。)
参考記事:業務取扱要領
さて、次は被保険者の方を見てみることにしましょう。
雇用保険法で被保険者というと、適用事業に雇用される労働者と定義されているのですが、
企業の代表者の場合はどうなのでしょうか。
企業の代表者は被保険者になれる?
(平成23年問1E)
個人事業主及び法人の代表者は原則として被保険者とならないが、労災保険法第34条第1項の規定に基づき労災保険に特別加入した中小事業の事業主は、雇用保険についても被保険者となる。
解説
解答:誤り
労災保険の特別加入者であっても、個人事業主や法人の代表者は被保険者とはなりません。
先ほども述べたように、被保険者は適用事業に雇用される「労働者」なので、経営者は基本的には被保険者とはなりません。
ちなみに、健康保険の場合は、法人の代表者は、適用事業所に使用される「者」ということで被保険者になります。
では、代表者ではなく、重役であればどうでしょうか。
取り扱いが変わってくるようですので、次の問題を読んでみましょう。
取締役でも被保険者になれる場合とは
(平成30年問2C)
株式会社の取締役であって、同時に会社の部長としての身分を有する者は、報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者であって、雇用関係があると認められる場合、他の要件を満たす限り被保険者となる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
株式会社の取締役も原則として被保険者になりませんが、
取締役であると同時に、部長や支店長などでもある場合、
労働者性が強く、雇用関係があると認められれば被保険者となります。
こちらも、先ほどご紹介した業務取扱要領の「20351(1)労働者性の判断を要する場合」にありますので、
ご自由にご参考になさってくださいね。
では最後に、複数の雇用保険の被保険者になれるのかどうかについて確認しましょう。
労災保険の場合はあり得るのですが、雇用保険でも可能なのでしょうか?
雇用保険は複数入れるの?
(平成25年問1C)
同時に2以上の雇用関係について被保険者となることはない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
同時に2以上の適用事業に雇用されている場合は、原則として「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の雇用関係についてのみ」被保険者となります。
なので、複数の雇用保険の被保険者にはなれないということですね。
今回のポイント
- 任意適用事業の要件は、
- 農林水産の事業
- 使用する労働者が常時5人未満
- 国や都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業以外
となっています。
- 雇用保険の適用を受けない労働者「のみ」を雇用している場合は、雇用保険法上の労働者がいないので、その労働者数に関わらず適用事業とはなりません。
- 、被保険者は適用事業に雇用される「労働者」なので、個人企業主や法人の代表者は基本的には被保険者とはなりません。
- 株式会社の取締役も原則として被保険者になりませんが、取締役であると同時に、部長や支店長などでもある場合、労働者性が強く、雇用関係があると認められれば被保険者となります。
- 同時に2以上の適用事業に雇用されている場合は、原則として「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の雇用関係についてのみ」被保険者となります。
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