本来の老齢厚生年金は、①65歳以上であること ②被保険者期間を有していること ③受給資格期間を満たしていること が要件になります。
で、老齢厚生年金の額を計算する方法について、社労士試験では退職時改定や加給年金額についての出題があります。
それでは、どのような形で出題されているのか見ていきましょう。
退職時改定の要件とは?
(令和元年問1C)
老齢厚生年金の額の計算において、受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としないこととされているが、受給権取得後の受給権者の被保険者であった期間については、被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとする。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
ポイントは、「資格を喪失した日から1か月を経過」、「資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とする」です。
次に、加給年金額の金額の要件についても確認しましょう。
加給年金額の計算の仕方とは?
(平成26年問5E)
加給年金額の対象となる子が3人いる場合は、対象となる子が1人のときに加算される加給年金額の3倍の額の加給年金額が加算される。
解説
解答:誤
子については、1人目と2人目は、それぞれ「224,700円×改定率」ですが、3人目以降は「74,900円×改定率」になるので、問題文のように3倍にはなりません。
ちなみに、配偶者も「224,700円×改定率」です。
子どもについての額の計算は、国民年金法の障害基礎年金や遺族基礎年金の加算額と同じ考え方です。
最後に、子どもについての過去問でもう一問確認しておきましょう。
赤ちゃんが生まれました
(平成24年問10E)
老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間が240月以上であるものとする。)の受給権を取得した当時胎児であった子が出生したときは、受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していた子とみなし、その出生の月の翌月から年金額を改定する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
原則としては、老齢厚生年金の受給権を取得(被保険者期間が240月以上)したときに、所定の要件に該当した生計を維持する配偶者や子がいなければ加給年金額が加算されませんが、受給権取得時に胎児であった子が生まれたときは、出生の翌月から加給年金額が加算されます。
今回のポイント
- 退職時改定:受給権取得後の受給権者の被保険者であった期間については、被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとします。
- 子については、1人目と2人目については、それぞれ「224,700円×改定率」ですが、3人目以降は「74,900円×改定率」になるので、問題文のように3倍にはなりません。
- 老齢厚生年金の受給権を取得(被保険者期間が240月以上)したときに、所定の要件に該当した生計を維持する配偶者や子がいなければ加給年金額が加算されませんが、受給権取得時に胎児であった子が生まれたときは、出生の翌月から加給年金額が加算されます。
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