概算保険料は、原則は一度で納付するものなのですが、いっぺんに数十万円といったお金を納付するのは大変ということで、分割払ができます。
これが「延納」なのですが、色々と要件があります。
過去問でどのように問われているのか見ていきましょう。
いつまでに保険関係が成立していればいいの?
(令和元年労災問8E)
政府は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、その者が労働保険徴収法第15条の規定により納付すべき概算保険料を延納させることができるが、有期事業以外の事業にあっては、当該保険年度において9月1日以降に保険関係が成立した事業はその対象から除かれる。
解説
解答:誤
「9月1日以降」ではなく、「10月1日以降」です。
保険料は年度ごとに区切られるのですが、年度の最後は3月末です。
10月1日以降に保険関係が成立したのであれば分割するほどの金額じゃないでしょ?ってことなんですかね?
では、延納するための条件はどうなっているのでしょう。
労働保険事務組合に委託されていれば??
(平成29年労災問10オ)
労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている事業についての事業主は、納付すべき概算保険料の額が20万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、10万円)以上(当該保険年度において10月1日以降に保険関係が成立したものを除く。)となる場合であれば、労働保険徴収法に定める申請をすることにより、その概算保険料を延納することができる。
解説
解答:誤
労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている事業については、概算保険料の額は関係ありません。
継続事業が延納するためには、
①納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、20万円)以上のもの、又は、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの
②当該保険年度において9月30日までに保険関係が成立したものであること
になります。
ですから、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されていれば、概算保険料の額は問われないのですね。
ちなみに、有期事業の場合は、
①概算保険料の額が75万円以上であること、又は、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの
②事業の全期間が6か月を超えていること
最後に、延納は何回に分割できるのか見ておきましょう。
延納の納期限てどうなってるの?
(平成22年労災問8D)
労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している継続事業の事業主が、概算保険料の延納の申請をし、当該概算保険料を3期に分けて納付する場合には、各期分の概算保険料の納期限は、最初の期分は7月14日、第2の期分は11月14日、第3の期分は翌年2月14日となる。
解説
解答:誤
「7月14日」ではなく、「7月10日」です。
継続事業の延納は3分割されるのですが、以下のように分けられます。
期間 |
納期限 |
|
第1期 | 4月1日〜7月31日 |
7月10日 |
第2期 | 8月1日〜11月30日 |
10月31日 |
第3期 | 12月1日〜翌3月31日 |
翌1月31日 |
※労働保険事務組合に委託している場合は、第2期は11月14日、第3期は翌2月14日が納期限になります。
ちなみに、有期事業(一括有期事業を除く)の場合、第1期の納期限は3月31日になり、労働保険事務組合に委託していても納期限の延長はありません。
今回のポイント
-
継続事業の延納は、
①納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、20万円)以上のもの、又は、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの
②当該保険年度において9月30日までに保険関係が成立したものであること
- 有期事業の場合は、
①概算保険料の額が75万円以上であること、又は、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの
②事業の全期間が6か月を超えていること
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