過去問

「社労士試験 厚生年金法 脱退一時金の勉強の仕方とは」過去問・厚-63

今回は、厚生年金の脱退一時金について出題された過去問を見ていきたいと思います。

脱退一時金自体は、国民年金法にもあるので、両者の違いを比較しながら見ていくのもいいですね。

たとえば、国民年金の脱退一時金は、被保険者期間によって金額が決まっていますが、

厚生年金の方は平均標準報酬額を使いますね。

このように違いを見ていくことで知識を整理することができますのでお気軽にご参考になさってくださいね。

それでは最初の問題を見てみましょう。

この問題は、脱退一時金を請求するタイムリミットについて問われています。

脱退一時金は、どのタイミングからいつまでに請求しなければならないのでしょうか。

 

脱退一時金のタイムリミットは?

(平成30年問3オ)

脱退一時金は、最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときは、請求することができない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

脱退一時金は、日本国籍のない人が日本で仕事をしたことで被保険者になり6月以上保険料を払ったものの、

日本を離れることになったために保険料の掛け捨て防止の意味で支払われるものですが、

脱退一時金の請求のタイムリミットは、資格を喪失して日本を離れて2年以内に行う必要があります。

では、もし一般の会社員と公務員をしていた時期があって2種類以上の被保険者期間がある場合の脱退一時金の扱いはどうなるのでしょうか。

次の問題で確認しましょう。

 

2以上の数類の被保険者だった場合の脱退一時金は?

(平成29年問8A)

2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の脱退一時金は、それぞれの種別の被保険者であった期間ごとに6か月以上の期間がなければ受給資格を得ることはできない。

 

解説

解答:誤り

脱退手当金は先ほども述べたように6月以上の被保険者期間が必要ですが、

2以上の種別の被保険者期間がある場合は、それぞれの種別で被保険者期間を算定するのではなく、

2以上の種別の被保険者期間を合算して受給資格があるか判定します。

ただ、脱退一時金の額を計算する場合は、それぞれの被保険者期間ごとに計算されることになります。

それでは次に、脱退一時金の不支給事由について見てみましょう。

脱退一時金の請求のタイムリミットは2年以内ですので、2年を経過すると請求できないわけですが、

そのほかに、所定の要件に該当すると脱退一時金は支給されません。

それはどのようなケースなのか確認しましょう。

 

障害厚生年金と脱退一時金の関係

(令和2年問9E)

障害厚生年金の支給を受けたことがある場合でも、障害の状態が軽減し、脱退一時金の請求時に障害厚生年金の支給を受けていなければ脱退一時金の支給を受けることができる。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、脱退一時金の支給を受けることができません。

障害厚生年金の受給権を有したことがある場合は脱退一時金が支給されないのです。

脱退一時金の不支給事由をまとめると、

  • 日本国内住所を有するとき
  • 障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがあるとき
  • 最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあつては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなつた日)から起算して2年を経過しているとき

となっていますが、一言でまとめると、脱退一時金は「日本国籍のない人のための掛け捨て防止」ということになりますね。

さて、日本に6ヶ月以上いる機会というのは1回とは限りません。

数十年単位で見たときに何回も日本に仕事で滞在することもあるでしょう。

そんな場合に、脱退一時金はその都度請求できるのでしょうか。

それとも、上限が設けられているのでしょうか??

 

脱退一時金を受けるのに上限が?

(平成24年問4C)

日本に6か月以上滞在する外国人は、厚生年金保険法附則第29条に定める厚生年金保険の脱退一時金の支給要件を満たす限り、合計して被保険者期間の区分の上限に達するまでは、何度でも出国のつど脱退一時金を受給することができる。(問題文を一部補正しています。)

 

解説

解答;:誤り

問題文のような規定はなく、脱退一時金の支給要件を満たすのであれば、何度でも脱退一時金を請求することができます。

ちなみに、問題文に被保険者期間の区分について触れられていますが、脱退一時金の被保険者期間の区分は、

6月以上から始まり、10区分に分けられており、マックスは60月以上ということになっています。

では最後に、脱退一時金を請求することができるのに、不幸にも亡くなってしまった場合の遺族による未支給の請求について見ておきましょう。

 

脱退一時金に対して遺族は未支給分を請求できるのか

(平成26年問4B)

脱退一時金を請求した者が、当該脱退一時金を受給する前に死亡した場合、一定の遺族は未支給の脱退一時金を請求することができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

脱退一時金の場合も、他の保険給付の規定を準用する形で未支給分の請求をすることができます。

つまり、

「受給権者が死亡した場合に、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、

その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹またはこれらの者以外の3親等内の親族であって、

その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。」

というものです。

脱退一時金は掛け捨て防止の制度ですから、遺族による未支給分の請求ができるというわけですね。

 

今回のポイント

  • 脱退一時金の請求のタイムリミットは、資格を喪失して日本を離れて2年以内に行う必要があります。
  • 脱退手当金は先ほども述べたように6月以上の被保険者期間が必要ですが、2以上の種別の被保険者期間がある場合は、それぞれの種別で被保険者期間を算定するのではなく、2以上の種別の被保険者期間を合算して受給資格があるか判定します。
  • 脱退一時金の不支給事由をまとめると、
    • 日本国内住所を有するとき
    • 障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがあるとき
    • 最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあつては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなつた日)から起算して2年を経過しているとき

    となっています。

  • 脱退一時金の支給要件を満たすのであれば、何度でも脱退一時金を請求することができます。
  • 脱退一時金の場合も、他の保険給付の規定を準用する形で未支給分の請求をすることができます。

 

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