「社労士試験 厚生年金法 遺族厚生年金の失権のツボはこれ!」過去問・厚-62

今回は、遺族厚生年金の失権が論点になった過去問を集めてみました。

遺族基礎年金にない要件もあったりするので、比較しながら見ていくといいですね。

最初の問題は、胎児だった子が出生した場合の他の遺族の受給権の取り扱いが論点になっています。

遺族基礎年金と違って遺族の範囲が広いですからどのように規定されているのか見てみましょう。

 

胎児だった子が出生した場合、他の遺族の受給権はどうなる?

(令和2年問2E)

被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、父母、孫又は祖父母の有する遺族厚生年金の受給権は消滅する。一方、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときでも、妻の有する遺族厚生年金の受給権は消滅しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

遺族厚生年金の遺族の順位は、

  1. 配偶者 子
  2. 父母
  3. 祖父母

となっています。

被保険者または被保険者であった者が死亡した当時に胎児であった子が出生した場合、

それまで父母や孫、祖父母にあった遺族厚生年金の受給権は消滅し、出生した子に遺族厚生年金が支給されることになります。

胎児であった子が出生したときには、子の遺族厚生年金の受給権が将来に向かって発生しますので、筆頭順位である子に遺族厚生年金が支給されることになるわけです。

さて、子と同じく遺族厚生年金の筆頭順位である配偶者ですが、

夫の場合は55歳以上でなければ受給権はなく、仮に受給権があったとしても60歳まで支給停止になります。

一方、妻の方には夫のような規定はありませんが、妻は妻で、年齢が若いと遺族厚生年金を失権することがあります。

これがどういうケースなのか見ていきましょう。

 

妻が遺族厚生年金の受給権を失権するとき

(平成26年問10B)

遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない場合、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したときに、その受給権は消滅する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

キーワードは、

妻:30歳未満

です。

どういうことかというと、の遺族厚生年金の受給権は、

  • 遺族厚生年金の受給権を取得した当時 → 妻が30歳未満
  • 遺族基礎年金の受給権を取得しない(生計を同じくする子がいない)
  • 遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したとき

消滅します。

つまり、養育する子もいないし若いのであれば自分の力で生活してください、ということなんでしょうね。

実は、妻が遺族厚生年金の受給権が消滅するのは上記だけではありません。

次の問題を見てみましょう。

 

妻が遺族厚生年金の受給権を失権するとき その2

(平成29年問10A)

遺族厚生年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得した妻について、当該受給権の取得から1年後に子の死亡により当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合であって、当該消滅した日において妻が30歳に到達する日前であった場合は、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに当該遺族厚生年金の受給権は消滅する。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、遺族厚生年金の受給権を取得した日ではなく、

「遺族基礎年金の受給権が消滅した日」から起算して5年を経過したときに妻の遺族厚生年金の受給権は消滅します。

この問題の場合は、先ほどとは違い遺族基礎年金の受給権はあったのですが、30歳に到達する日前に遺族基礎年金の受給権が消滅してしまいました。

そのときは、遺族基礎年金の受給権が消滅した日から5年を経過したとき遺族厚生年金の受給権が消滅することになります。

さて、次は「」の失権事由を確認しましょう。

子の遺族厚生年金の受給権は、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するか、20歳に達した時に消滅します

また、一定の障害の状態にある場合には失権の条件が色々と出てきます。

まずは下の問題を見てみましょう。

 

障害等級と失権の関係とは

(平成27年問7D)

老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより、子が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、その子が障害等級3級に該当する障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに、子の有する遺族厚生年金の受給権は消滅する。(この老齢厚生年金の受給権者は保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間とを合算した期間が25年以上である者とする。)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

障害等級が1級または2級の場合は、20歳まで遺族厚生年金の受給権がありますが、

3級の場合は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までで消滅します。

これは「子」だけでなく、「孫」も同様です。

ただ、障害等級が1級・2級であっても、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に障害等級に該当しなくなった場合は、

18歳に達する日以後の最初の3月31日までで受給権もなくなります。

つまり、子や孫の受給権は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までは保証され、障害等級が1級・2級の状態が続けば20歳まで続くことになります。

では最後に、遺族厚生年金の共通の失権事由である「養子」について見ておきましょう。

ある条件に該当した場合の養子は、遺族厚生年金を失権することになりますが、どういう規定になっているのか確認しましょう。

 

遺族厚生年金と養子

(平成26年問1E)

遺族厚生年金の受給権は、受給権発生後に直系姻族の養子となった場合であっても、消滅しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

規定では、

「直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき」

に遺族厚生年金の受給権は消滅します。

ちなみに、直系血族というのは、父母、祖父母、子、孫のように自分から見て上下まっすぐにつながっている家系を指します。

直系姻族は、平たくいうと自分の配偶者側の直系血族のことを言います。

なので、遺族厚生年金を受給している人が祖父の養子になっても失権しませんが、

叔父の養子になった場合は遺族厚生年金の受給権が消滅する形になります。

ちなみに、遺族厚生年金の共通の失権事由は、

  • 死亡したとき
  • 婚姻したとき(事実婚含む)
  • 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき
  • 離縁したとき

となっています。

 

今回のポイント

  • 遺族厚生年金の遺族の順位は、
    1. 配偶者 子
    2. 父母
    3. 祖父母

    となっています。

  • 被保険者または被保険者であった者が死亡した当時に胎児であった子が出生した場合、それまで父母や孫、祖父母にあった遺族厚生年金の受給権は消滅し、出生した子に遺族厚生年金が支給されることになります。
  • の遺族厚生年金の受給権は、
    • 遺族厚生年金の受給権を取得した当時 → 妻が30歳未満
    • 遺族基礎年金の受給権を取得しない(生計を同じくする子がいない)
    • 遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したとき

    消滅します。

  • 遺族基礎年金の受給権があっても、30歳に到達する日前に遺族基礎年金の受給権が消滅した場合、遺族基礎年金の受給権が消滅した日から5年を経過したとき遺族厚生年金の受給権が消滅することになります。
  • 障害等級が1級または2級の場合は、20歳まで遺族厚生年金の受給権がありますが、3級の場合は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までで消滅します。
  • 遺族厚生年金の共通の失権事由は、
    • 死亡したとき
    • 婚姻したとき(事実婚含む)
    • 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき
    • 離縁したとき

    となっています。

 

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