基本手当の受給資格要件については、さまざまな要件があるので社労士試験では色々な角度から出題されていますね。
覚えることも多くて大変ですが、時系列といいますか、イベントが起きる順番に押さえていくとイメージがつきやすいので効果的に理解できると思います。
たとえば、この受給資格要件は、会社を辞めてハローワークに行って基本手当を受けるための最初のステージになりますので、
スタート地点に立っているというわけです。
そんな感じで最初の問題を見てみましょう。
基本手当を受けるためには被保険者期間が一定以上あることが必要ですが、それはどのように規定されているのでしょうか。
基本手当の受給資格を得るための条件
(平成23年問2A)
被保険者が失業したとき、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して14か月ある者は、倒産・解雇等による離職者や特定理由離職者でなくても、基本手当の受給資格を有する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
基本手当を受給するために必要な被保険者期間は、離職日以前2年間(算定対象期間)の中に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが必要です。
倒産・解雇等によって離職した者や特定理由離職者の場合は、離職日以前1年間の算定対象期間中に6ヶ月以上の被保険者期間があれば受給資格を得ることができます。
では、1ヶ月分の被保険者期間としてカウントされるためにはどんな要件があるのでしょうか。
1ヶ月の中で働いた日数がどれだけあれば被保険者期間として見てもらえるのか確認しましょう。
1ヶ月分の被保険者期間として認められるには
(平成23年問2B)
被保険者が平成23年7月31日に離職し、同年7月1日から7月31日までの期間に賃金支払の基礎になった日数が13日あった場合、当該期間は1か月として被保険者期間に算入される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
1ヶ月分の被保険者期間として認められるには、所定の期間で区切った1ヶ月のうち、賃金支払の基礎になった日数(賃金支払基礎日数)が11日以上あることが条件になります。
この、所定の期間で区切った1ヶ月というのは、資格を喪失した日を基準にして1ヶ月ごとに区切っていく形になります。
たとえば、問題文の場合、7月31日に離職しているので、資格喪失日は8月1日になります。
なので、喪失日の前日の7月31日から7月1日(=喪失応答日)が1ヶ月として区切られ、6月30日から6月1日(=喪失応答日)が次の1ヶ月となります。
問題文では、賃金支払の基礎になった日が13日あったということなので、この月は1ヶ月分の被保険者期間としてカウントされます。
で、もし被保険者期間12ヶ月ない場合は、先ほどの11日以上の要件に加えて、
賃金支払の基礎になった時間が80時間以上あれば1ヶ月の被保険者期間として見てもらえるようになりました。
これは、アルバイトなどの場合で、日数だけの要件で見た場合に、働いた日数が足りなくて被保険者期間としてカウントされないケースもあったりするので、日数だけでなく時間数でもカウントできるようにしたわけです。
このようにして被保険者期間を見ていくわけですが、そもそも被保険者期間として見てもらえない要件もあったりします。
それはどういうことなのか、次の問題で確かめましょう。
被保険者期間に含まれないケースって?
(平成26年問1B)
最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が高年齢受給資格を取得したことがある場合には、当該高年齢受給資格に係る離職の日以前における被保険者であった期間は、被保険者期間に含まれない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
被保険者期間を見ていくときに、最後に被保険者になった日よりも前に、
受給資格や高年齢受給資格、特例受給資格を取得したことがある場合は、
その資格取得にかかる離職日以前の被保険者だった期間は被保険者期間に含まれません。
どういうことかというと、ハローワークに行って求職の申込をして受給資格などの決定がなされると、
被保険者期間はこの時点で消化されてしまい、後の算定には使えないということですね。
言い換えると、離職をしても、ハローワークに行って求職の申込をしなければ大丈夫ということです。
さて、次は別の視点で被保険者期間の要件を見てみましょう。
次の問題では、年次有給休暇を取って休んだ日が、被保険者期間を算定するのに必要な賃金支払の基礎になる日(賃金支払基礎日数)に該当するのか、というのが論点になっています。
有給休暇で休んだ日は賃金支払基礎日数に含まれる?
(平成29年問2E)
一般被保険者が離職の日以前1か月において、報酬を受けて8日労働し、14日の年次有給休暇を取得した場合、賃金の支払の基礎となった日数が11日に満たないので、当該離職の日以前1か月は被保険者期間として算入されない。
解説
解答:誤り
年次有給休暇を取って休んだ日は、賃金支払基礎日数に含まれます。
賃金支払基礎日数としてカウントされる日は、実際に働いた日だけではありません。
年次有給休暇で休んだといっても、その分の賃金は支払われるわけですから、賃金支払基礎日数に入れてもらえるんですね。
というか、有休を取って休んで、賃金支払基礎日数に入れて貰えないとなると、おちおち有休を取れないですよね。苦笑
それでは、今度は休業手当を受けて休んだ日がどうなるのか最後に確認しましょう。
休業手当は労働基準法の規定で、事業主の責に帰すべき事由による休業に対して支払われるものですが、
こちらの場合も賃金支払基礎日数に入れてもらえるのでしょうか?
労基法上の休業手当を受けた日も、、、?
(令和元年問1D)
一般被保険者である日給者が離職の日以前1か月のうち10日間は報酬を受けて労働し、7日間は労働基準法第26条の規定による休業手当を受けて現実に労働していないときは、当該離職の日以前1か月は被保険者期間として算入しない。
解説
解答:誤り
労基法第26条に基づいて支払われる休業手当を受けた日も賃金支払基礎日数として参入されます。
休業手当は、労基法でも賃金として扱われますので、それに準じているということになりますね。
そういうことでいうと、先ほどの年次有給休暇についても、休暇を取って休んでも「賃金が支払われる」という趣旨ですから、
有休を取って休んだ日は働いているのと同じ扱いになる、と考えれば納得できますね。
今回のポイント
- 基本手当を受給するために必要な被保険者期間は、離職日以前2年間(算定対象期間)の中に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが必要です。
- 倒産・解雇等によって離職した者や特定理由離職者の場合は、離職日以前1年間の算定対象期間中に6ヶ月以上の被保険者期間があれば受給資格を得ることができます。
- 1ヶ月分の被保険者期間として認められるには、所定の期間で区切った1ヶ月のうち、賃金支払の基礎になった日数(賃金支払基礎日数)が11日以上あることが条件になります。
- 被保険者期間を見ていくときに、最後に被保険者になった日よりも前に、受給資格や高年齢受給資格、特例受給資格を取得したことがある場合は、その資格取得にかかる離職日以前の被保険者だった期間は被保険者期間に含まれません。
- 年次有給休暇を取って休んだ日は、賃金支払基礎日数に含まれます。
- 労基法第26条に基づいて支払われる休業手当を受けた日も賃金支払基礎日数として参入されます。
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