過去問

「社労士試験 厚生年金法 できれば避けたい?在職老齢年金(65歳以後)のキモとは」過去問・厚-57

在職老齢年金は、受験勉強をしているときに最後の最後まで手こずった項目です。

私は数字が苦手だったので(今でもそうですが苦笑)、計算式と用語がなかなか覚えられませんでしたね。

今から思えば、すべてを丸暗記しようとせずに、自分が手をつけやすいところから始めて、徐々に範囲を広げていけばよかったと思います。

たとえば、65歳以後の在職老齢年金は、60歳代前半の在職老齢年金と比べると、まだ取っ付きやすいところがあるので、

まずは65歳以後の在職老齢年金から手をつけるなど、優先順位をつけるのが得策かと思います。

なので、もし勉強するのにハードルが高いと思ったときは、自分が一番手をつけやすいところから攻略していくといいですね。

それでは最初の問題に進みますね。

1問目は、用語の定義について問われています。

総報酬月額相当額」はどのように規定されているのか見てみましょう。

 

在職老齢年金の用語の定義

(平成25年問8B)

在職老齢年金の支給停止額を計算する際の「総報酬月額相当額」とは、その者の標準報酬月額と直前の7月1日以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額である。

 

解説

解答:誤り

総報酬月額相当額」は、

在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止額を計算するときに、

標準報酬月額と、標準賞与額の総額を12で割った額(賞与を月割りにした額)を合わせたものですが、

標準賞与額は、「直前の7月1日以前」ではなく『「その月以前」の1年間の総額』となっています。

で、この総報酬月額相当額と基本月額(老齢厚生年金の1月あたりの額)の合計が「一定の額」以下であれば、老齢厚生年金の支給停止は行われませんが、

逆にいうと、総報酬月額相当額と基本月額が「一定の額」を超えると、老齢厚生年金の支給停止が行われていくわけです。

この、「一定の額」がなんなのかというと、それは、「支給停止調整額」です。

では、支給停止調整額はいくらに設定されているのか、次の問題で確認しましょう。

 

65歳以後の在職老齢年金の支給停止調整額はいくら?

(平成23年問2D)

在職老齢年金の支給停止調整額は、法律上、賃金等の変動に応じて改定する仕組みとなっている。平成31年度の在職老齢年金の支給停止調整額については、46万円から47万円に改定された。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

もともとの規定では、支給停止調整額48万円とされているのですが、物価の変動によって1万円単位で改定されます。

で、平成31年以降は「47万円」に改定されています。(令和3年2月現在)

参考用に、日本年金機構のURLを貼っておきますので、よろしければご自由にご参考になさってくださいね。

 

参考記事:在職老齢年金の支給停止基準額が平成31年4月1日より変更になりました

 

ちなみに、この47万円は、65歳以後では「支給停止調整額」ですが、

65歳未満の在職老齢年金の場合の47万円は「支給停止調整変更額」と呼ばれていますので注意が必要ですね。

では、在職老齢年金の制度によって、どのように老齢厚生年金が支給停止されるのかを見ていきましょう。

下の問題で注意するべきは、計算の額が合っているかというよりも、計算の対象外になる項目を意識して読んでみるといいですね。

 

65歳以後の在職老齢年金の計算方法

(平成25年問8E)

60歳台後半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である間の総報酬月額相当額が300,000円であって、老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げによる加算額を除く。)と老齢基礎年金の額との合計額を12で除して得た額が220,000円の場合、総報酬月額相当額と220,000円との合計額が、支給停止調整額(470,000円)を超えているため、その合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額である25,000円に12を乗じて得た額に相当する部分が支給停止される。

 

解説

解答:誤り

60歳台後半(65歳以後)の在職老齢厚生年金の計算をするときには、

  • 老齢厚生年金の額には、「加給年金額」や「繰下げによる加算額」、「経過的加算額」は含まず
  • 老齢基礎年金も計算の対象外

となります。

なので、

支給停止になる老齢厚生年金(支給停止基準額)は、

「(総報酬月額相当額+基本月額-47万円) × 1/2 × 12か月」

ということになります。

ちなみに、加給年金額や繰下げによる加算額、経過的加算を除いた老齢厚生年金の額が、支給停止基準額を超えるときは、

老齢厚生年金のすべてが支給停止になるのですが、このとき、加給年金額は本体の老齢厚生年金と一緒に支給停止になるのに対し、

「繰下げによる加算額」と「経過的加算」は支給停止されません。

では、在職老齢厚生年金による支給停止の金額を計算してみることにしましょう。

原則は、

「(総報酬月額相当額+基本月額-47万円) × 1/2 × 12か月」

ですが、支給停止される一月あたりの額はどのように計算できるでしょうか。

 

支給停止される金額を計算してみましょう

(平成27年問9B)

70歳以上の老齢厚生年金(基本月額150,000円)の受給権者が適用事業所に使用され、その者の標準報酬月額に相当する額が360,000円であり、その月以前1年間に賞与は支給されていない場合、支給停止される月額は20,000円となる。(支給停止調整額は47万円とします)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

「総報酬月額相当額→36万円」で、「基本月額→15万円」ということなので、計算式に当てはめてみると、

(総報酬月額相当額36万円+基本月額15万円-47万円) × 1/2

→(36万円+15万円-47万円)÷2=2万円

ということになり、支給停止される老齢厚生年金の1月あたりの額は2万円ということになります。

では最後に、お給料に変動があって、総報酬月額相当額が改定になったときに、

支給停止になる老齢厚生年金がどのタイミングで計算されるのかを見ておきましょう。

 

総報酬月額相当額が変更になったときは、、、?

(平成27年問8E)

在職老齢年金を受給する者の総報酬月額相当額が改定された場合は、改定が行われた月の翌月から、新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、年金額が改定される。

 

解説

解答:誤り

総報酬月額相当額が改定された場合は、改定が行われた月の翌月からではなく、

「改定が行われた月」から支給停止額が再計算されて、老齢厚生年金の額も改定されます。

原則では、年金を支給停止する事由が生じたときは、その翌月から支給停止されるのですが、

在職老齢年金については、よりタイムリーに改定されるということになりますね。

 

今回のポイント

  • 総報酬月額相当額」は、在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止額を計算するときに、標準報酬月額と、標準賞与額の総額を12で割った額(賞与を月割りにした額)を合わせたものですが、標準賞与額は、「その月以前」の1年間の総額となっています。
  • 支給停止調整額は、原則では48万円とされているのですが、物価の変動によって1万円単位で改定され、平成31年以降は「47万円」となっています。(令和3年2月現在)
  • 65歳以後の在職老齢厚生年金の計算をするときには、
    • 老齢厚生年金の額には、「加給年金額」や「繰下げによる加算額」、「経過的加算額」は含まず
    • 老齢基礎年金も計算の対象外

    となっています。

  • 総報酬月額相当額が改定された場合は、「改定が行われた月」から支給停止額が再計算されて、老齢厚生年金の額も改定されます。

 

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