今回は、厚生年金法から「保険料」について取り扱った過去問を集めてみました。
保険料の徴収が発生するのはいつなのか、保険料を滞納するとどうなるのかまで色々と論点がありますので一つ一つ確認していくことにしましょう。
それでは最初の問題へ進みましょう。
保険料の徴収の対象となるのはいつまでなのか、が問われていますので、まずはそこからスタートすることにしましょう。
保険料が徴収される月とは
(令和2年問3A)
厚生年金保険の保険料は、被保険者の資格を取得した月についてはその期間が1日でもあれば徴収されるが、資格を喪失した月については徴収されない。よって月末日で退職したときは退職した日が属する月の保険料は徴収されない。
解説
解答:誤
問題文の場合は、退職した月の保険料を徴収されます。
保険料は、1ヶ月単位での計算され、被保険者期間の各月について保険料が発生することになります。
保険料が発生するタイミングとしては、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までというルールになっています。
問題文は、資格喪失についてのお話になっていますので、「被保険者期間は資格喪失の前月まで」がキーワードになりますね。
ということは、
- 「資格を喪失した月については徴収されない → 正しい
- 「月末日で退職したときは退職した日が属する月の保険料は徴収
されない→ 徴収される
ということになりますね。
さて毎月の保険料は、翌月末までに事業主が被保険者分と会社負担分をまとめて納付するわけですが、いつでも正しい保険料の額を納めているとは限りません。
ひょっとしたら必要以上の額を納付している可能性もあるわけです。
その時にどのような処理になるのか、次の過去問で見てみましょう。
保険料を多めに払っていた時の取り扱い
(平成25年問7B)
厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から1年以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。
解説
解答:誤
厚生労働大臣は、
- 納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったとき または
- 納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったときは、
- そのこえている部分に関する納入の告知又は納付を、
- その納入の告知又は納付の日の翌日から1年以内ではなく、「6箇月」以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる
ということになっています。
つまり、厚生労働大臣は、納付するべき保険料の額が必要以上に多いことを知ったときは、納入の告知や納付の日の翌日から「6ヶ月」以内に納付予定の保険料を繰り上げて納付したことにすることができるのです。
なので、保険料を多く支払うことになっていた場合に、返金作業などの手間を省くために余分に支払った保険料を将来の保険料にあてるということですね。
では逆に、保険料を滞納してしまった場合はどうなるのでしょうか。
行政側の対応について問われている過去問がありますので見てみましょう。
保険料を滞納したらどうなる?
(平成25年問4A)
保険料等を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、保険料の繰上徴収の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
厚生年金法では、保険料を滞納する者がいるときは、厚生労働大臣は期限を指定して「督促しなければなりません」。
ちなみに、国民年金法では、「督促することができる」という規定になっています。
なんでこのような違いがあるというと、厚生年金の保険料を納めるのは事業主、国民年金の場合は個人であるところですね。
個人個人に対して督促をするのは大変ですが、事業主が相手であればなんとか可能ですよね。
保険料の額も国民年金保険料と比較したら高いですし。苦笑
で、厚生労働大臣が督促をしたときは延滞金も徴収することになるのですが、どのように延滞金がかかるのかを見ておきましょう。
延滞金を課すときのルール
(令和元年問1B)
厚生年金保険法第86条第2項の規定により厚生労働大臣が保険料の滞納者に対して督促をしたときは、保険料額に所定の割合を乗じて計算した延滞金を徴収するが、当該保険料額が1,000円未満の場合には、延滞金を徴収しない。また、当該保険料額に所定の割合を乗じて計算した延滞金が100円未満であるときも、延滞金を徴収しない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
滞納した保険料が1000円未満の場合や、延滞金の額が100円未満のときは延滞金を徴収しません。
延滞金を課すことができないケースをまとめると、
- 保険料額が1,000円未満であるとき
- 納期を繰り上げて徴収するとき
- 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によって督促したとき
- 督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき。
- 計算した延滞金の金額が100円未満であるとき。
となっていますので、キーワードを押さえておくようにしましょう。
では最後に、督促をしても滞納を続けていると、厚生労働大臣が国税滞納処分の例によって処分することができるのですが、
厚生労働大臣は、あるところに助っ人を頼むことができます。
それは一体、、、?
滞納処分をする時には、、、
(平成25年問4D)改正
厚生労働大臣は、督促を受けた納付義務者が指定の期限までに保険料等を納付しないとき、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法に規定される指定都市にあっては区又は総合区とする。)に対して、その処分を請求することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
厚生労働大臣は、期限までに保険料の納付をしない者に対して滞納処分を行うことができますが、その際、滞納者の居住地や財産の所在地の市町村に対して、滞納処分を請求することができます。
今回のポイント
- 保険料は、被保険者期間の各月について保険料が発生することになりますが、タイミングとしては、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までというルールになっています。
- 厚生労働大臣は、
- 納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったとき または
- 納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったときは、
- そのこえている部分に関する納入の告知又は納付を、
- その納入の告知又は納付の日の翌日から1年以内ではなく、「6箇月」以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなす
ことができます。
- 厚生年金法では、保険料を滞納する者がいるときは、厚生労働大臣は期限を指定して「督促しなければなりません」。
- 延滞金を課すことができないケースをまとめると、
- 保険料額が1,000円未満であるとき
- 納期を繰り上げて徴収するとき
- 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によって督促したとき
- 督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき。
- 計算した延滞金の金額が100円未満であるとき。
となっています。
- 厚生労働大臣は、期限までに保険料の納付をしない者に対して滞納処分を行うことができますが、その際、滞納者の居住地や財産の所在地の市町村に対して、滞納処分を請求することができます。
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