健康保険組合は、法人で、適用事業主の事業主と被保険者、任意継続被保険者で組織されていますが、
1または2以上の適用事業所について、常時700人(共同設立時:3000人)以上の被保険者を使用する事業主の場合は、任意設立をすることができます。
その際、被保険者の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣の認可を得ることが必要です。
任意接続があるということは、強制的に健康保険組合を設立させられるケースもあって、厚生労働大臣が健康保険組合の設立を命じることができることになっています。
で、健康保険組合には組合会があるのですが、組合会は組合会議員がメンバーになっています。
通常、組合会は理事長が招集するのですが、組合会議員も組合会の招集を請求することができます。
ここで最初の過去問に進んでいくわけですが、組合会議員が組合会の招集を請求できる条件が論点になっていますので見ていくことにしましょう。
組合会議員が組合会の招集を請求ための要件
(令和2年問8C)
健康保険組合の組合会は、理事長が招集するが、組合会議員の定数の3分の2以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して組合会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日から30日以内に組合会を招集しなければならない。
解説
解答:誤
組合会議員が組合会の招集を請求するためには、
組合会議員の定数の3分の2以上の者ではなく、「3分の1以上」の者が組合会の招集を理事長に請求する必要があります。
また、組合会の招集を請求された理事長は、請求のあった日から30日以内ではなく、「20日以内」に招集する規定になっています。
さて、健康保険組合は、運営をしていく上で事前に予算を組む必要があるのですが、健康保険組合が予算を作成したら、その年度の開始前に、厚生労働大臣に届け出る必要があります。
では、決算の場合はどうなんでしょうか。
次の過去問で確認しましょう。(数字が主な論点になっています)
健康保険組合が決算をしたら、、、?
(平成24年問4オ)
健康保険組合は、毎年度終了後6か月以内に、厚生労働省令に定めるところにより、事業及び決算に関する報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
健康保険組合は、毎年度終了後「6ヶ月以内」に事業や決算に関する報告書を作成して厚生労働大臣に提出しなければなりません。
また、この報告書は、主たる事務所に備え付ける必要があり、組合員や組合員だった人は「報告書を見せて」と請求することができます。
ちなみに、全国健康保険協会の場合は、5月31日までに決算を完結しなければならず、
事業報告書と決算報告書を決算完結後「2ヶ月」以内に厚生労働大臣に提出した上で承認を受けなければなりません。
健康保険組合の場合、承認までは必要ないところが全国健康保険協会と違うところですね。
さて、健康保険組合を運営していると、資金の調達が必要になってくることもあるでしょう。
その場合、健康保険組合は「組合債」を起こすことができるのですが、この組合債についてのルールが論点になっている過去問がありますので見てみましょう。
健康保険組合の組合債に関するルール
(平成30年問5ア)
健康保険組合は、組合債を起こし、又は起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならないが、厚生労働省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。健康保険組合は、この厚生労働省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、組合債を起こそうとするとき、起債の方法の変更、利率や償還の方法を変更しようとするときは、
厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。
ただ、軽微な変更をするときは認可までは必要なく、遅滞なく厚生労働大臣に届け出れば良いことになっています。
しかし、残念ながら健康保険組合の財政状態がよろしくなく、組合の事業を継続することが難しくなった場合の取り扱いについて、下の過去問で確認しましょう。
健康保険組合の事業を継続することが難しくなった場合、、、
(平成27年問7オ)
健康保険法第28条第2項では、指定健康保険組合は健全化計画に従い、事業を行わなければならないこととされているが、この規定に違反した指定健康保険組合の事業又は財産の状況により、その事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該健康保険組合の解散を命ずることができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
健康保険組合の財政状態が悪くなると、厚生労働大臣はその組合を「指定健康保険組合」として指定することになります。
で、組合の財政を健全化するべく計画(健全化計画)を立てて厚生労働大臣の承認を受けるわけです。
それにも関わらず事業の継続が困難であると認められる場合、厚生労働大臣は健康保険組合の解散を命じることができます。
また、規定に違反したり、求めに応じない場合も解散の対象になり得ます。
では最後に、健康保険組合の解散について見ておきましょう。
健康保険組合の解散にはいくつかの理由があるのですが、下の過去問では「数字」に注目して読んでみてくださいね。
健康保険組合が解散するときの要件
(平成23年問6A)
健康保険組合は、①組合会議員の定数の2分の1以上の組合会の議決、②健康保険組合の事業の継続の不能、③厚生労働大臣による解散の命令、のいずれかの理由により解散する。
解説
解答:誤
健康保険組合が解散するケースとして、
- 組合会議員の定数の2分の1ではなく「4分の3以上」の組合会の議決
- 健康保険組合の事業の継続の不能
- 厚生労働大臣による解散の命令
の3パターンあります。
1つ目の組合会の議決と、2つ目事業の継続の不能の理由で健康保険組合を解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可が必要です。
勝手に解散しちゃダメよ、ということですね。
で、いよいよ組合が解散するときに、組合の財産をもってしても債務を完済することができない場合、
健康保険組合は、設立事業所の事業主に対して、債務を完済するために要する費用の全部または一部を負担することを求めることができます。
ただ、健康保険組合がなくなっても被保険者は残るわけですから、誰かが健康保険事業を引き継がなければなりません。
そこで解散した健康保険組合の権利義務は全国健康保険組合が継承することになっています。
今回のポイント
- 組合会議員が組合会の招集を請求するためには、組合会議員の定数の「3分の1以上」の者が組合会の招集を理事長に請求する必要があり、組合会の招集を請求された理事長は、請求のあった日から「20日以内」に組合会を招集する規定になっています。
- 健康保険組合は、毎年度終了後「6ヶ月以内」に事業や決算に関する報告書を作成して厚生労働大臣に提出しなければなりません。
- 組合債を起こそうとするとき、起債の方法の変更、利率や償還の方法を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。
- 指定健康保険組合は、組合の財政を健全化するべく計画(健全化計画)を立てて厚生労働大臣の承認を受ける必要がありますが、それにも関わらず事業の継続が困難であると認められる場合、厚生労働大臣は健康保険組合の解散を命じることができます。
- 健康保険組合が解散するケースとして、
- 組合会議員の定数の2分の1ではなく「4分の3以上」の組合会の議決
- 健康保険組合の事業の継続の不能
- 厚生労働大臣による解散の命令の3パターンあり、1つ目の組合会の議決と2つ目の事業の継続の不能の理由で健康保険組合を解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可が必要です。
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