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「社労士試験・健康保険法 出産手当金に関する要件で押さえておきたいポイント」健保-58

社労士試験で健康保険法の出産手当金が出題されるときは、支給要件、金額、支給調整あたりがよく問われていますね。

ややこしい要件は少ないと思いますが、それだけに油断をしてしまい問題文を読み飛ばしてしまうのが怖いですね。

どんな引っかけがひそんでいるか分かりませんので、本試験では一語一語しっかり読むようにしたいですね。

それでは過去問を見ていくことにしましょう。

最初の問題は、出産手当金の支給要件について問われています。

出産手当金が支給されるためには、被保険者がどんな状態であることが必要なのでしょうか。

 

出産手当金の支給要件とは

(令和2年問10E)

被保険者(任意継続被保険者を除く。)が出産の日以前42日から出産の日後56日までの間において、通常の労務に服している期間があった場合は、その間に支給される賃金額が出産手当金の額に満たない場合に限り、その差額が出産手当金として支給される。

 

解説

解答:誤り

出産手当金の支給要件は、

「被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。」

となっています。

キーワードは、「労務に服さなかった期間」です。

問題文の場合、「通常の労務に服している期間」とありますので、労務に服さなかったことにならないため出産手当金は支給されません。

ちなみに、規定に「出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日」とありますが、出産予定日と実際の出産日が必ずしも一致するわけではありません。

もし、出産日が予定日よりも遅くなった場合、出産前の42日の起算日は「出産予定日」となります。

産前休業に入るときは出産予定日を基準にしてお休みに入るわけですから、出産日が予定日よりも遅れたからといって、ずれ込んだ分の出産手当金支給しないよ、となると困りますよね。

なので、出産日が予定日よりも遅れた場合は、そのまま出産予定日以前42日から出産の日後56日までが出産手当金の支給対象になるんですね。

逆にいうと、出産日が予定日よりも早かった場合は、そのまま出産日以前42日となるわけですね。

では、次の問題の場合はどうでしょう。

お仕事はしていないようですが会社から手当が出ているケースですね。

 

出産手当金の支給要件とは その2

(平成23年問3C)

出産手当金について、出産した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、出産手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、出産手当金の額より少ないときは、その差額を支給する。

 

解説

解答:正

報酬を受けることができる場合は、その期間は出産手当金は支給されませんが、報酬の額が出産手当金より少ない場合は、差額が支給されます。

この問題では、先ほどの問題と違って「労務に服している」とは書いていないので、出産のために仕事を休んでいる間、何かの手当が出ているのでしょうね。

出産手当金は、労務に服していなければ支給されますが、報酬が出ているときは、その額が出産手当金より少ない場合だけですね。

では次の問題のように、出産手当金と介護休業手当(報酬)の両方を受けることができるときに、どのように調整されるのかを次の問題で確認しましょう。

 

出産手当金と介護休業手当の調整

(平成27年問4オ)

被保険者が介護休業期間中に出産手当金の支給を受ける場合、その期間内に事業主から介護休業手当で報酬と認められるものが支給されているときは、その額が本来の報酬と出産手当金との差額よりも少なくとも、出産手当金の支給額について介護休業手当との調整が行われる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

介護休業期間中でも出産手当金は支給されますが、事業主から介護休業手当が支給されるときは出産手当金の額は調整されることになります。

さて、肝心の出産手当金の額がどのように計算されるのか気になりますね。

次の問題で確認してみましょう。

 

出産手当金の額は?

(平成24年問7A)

被保険者(任意継続被保険者を除く。)が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金として、一日につき、原則として、出産手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額が支給される。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

出産の日以前42日から出産の日後56日までの間というのは先ほどの問題のとおりで、その間、労務に服さなかった日について、

出産手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額」

が支給されます。

平たくいうと、

「過去1年間の標準報酬月額の平均額×1/30×2/3」

ということになりますね。

ちなみに、一円未満の端数が出たときは四捨五入することになります。

では最後に、12か月間も働いていなくて1年分の標準報酬月額の平均額が出ないときはどうなるのか確認しておきましょう。

なにか他に算定する要件があるのでしょうか。

 

もし12か月分の標準報酬月額の平均を取れない場合は、、、

(平成28年問9イ)

出産手当金の額は、1日につき、出産手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額とする。ただし、その期間が12か月に満たない場合は、出産手当金の支給を始める日の属する月の標準報酬月額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額とする。

 

解説

解答:誤り

平均する標準報酬月額の期間が12か月に満たない場合は、「出産手当金の支給を始める日の属する月の標準報酬月額の30分の1に相当する額」の3分の2に相当する金額とするのではありません。

平均する標準報酬月額の期間が12か月ない場合

  • 出産手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額
  • 出産手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額の30分の1に相当する額

いずれか少ない額3分の2に相当する金額が出産手当金となります。

 

今回のポイント

  • 出産手当金の支給要件は、「被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。」となっています。
  • 報酬を受けることができる場合は、その期間は出産手当金は支給されませんが、報酬の額が出産手当金より少ない場合は、差額が支給されます。
  • 介護休業期間中でも出産手当金は支給されますが、事業主から介護休業手当が支給されるときは出産手当金の額は調整されることになります。
  • 出産手当金の額は、出産の日以前42日から出産の日後56日までの間、労務に服さなかった日について、「出産手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額」が支給されます。
  • 出産手当金の額を計算するときに、平均する標準報酬月額の期間が12か月ない場合、
    • 出産手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額
    • 出産手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額の30分の1に相当する額

    いずれか少ない額3分の2に相当する金額が出産手当金となります。

 

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