雇用保険での国庫負担は、給付の種類によって割合が違うので覚えるのに苦労するところですよね。
大まかにですが、立場の弱い人に適用する給付ほど国庫負担の割合が高いイメージです。
たとえば、職業訓練受講給付金は特定求職者向けの職業訓練なので国庫負担は2分の1で一番高い割合です。
特定求職者は、雇用保険の被保険者でもなければ受給資格者でもないわけですから、一番立場が弱いですよね。
逆に、雇用継続給付の国庫負担は8分の1で一番低い割合です。
雇用継続給付といえば、介護休業給付がありますが、こちらは「被保険者が対象」で職についている人ばかりですから、ある意味最強なわけです。
(注)令和2年4月1日の法改正により、育児休業給付は失業等給付(雇用継続給付)から分離されました。
それにしても、雇用保険の国庫負担割合については、後述しますが
「高年齢」と名のつく給付はことごとく国庫負担から外されています。
もう意図的に仲間外れにしているように思ってしまいます。
では、過去問をチェックしていくことにしましょう。
雇用継続給付の国庫負担割合は?
(平成28年問7エ)
国庫は、雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金を除く。)に要する費用の8分の1の額に100分の55(平成29年度から令和元年度までの各年度においては、100分の10)を乗じて得た額を負担する。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:正
雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金を除く。)の国庫負担の原則は、雇用継続給付に要する費用の8分の1です。
ただ、当分の間、上記の国庫の負担額の100分の55(平成29年度から令和元年度までの各年度においては、100分の10)に相当する額を負担することとされています。
その他の国庫負担の割合を確認しましょう。
- 求職者給付(高年齢求職者給付金を除く)→日雇労働求職者給付金:3分の1。日雇労働求職者給付金以外:4分の1。
- 雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金を除く)→8分の1
- 職業訓練受講給付金→2分の1
それにしても、見事に「高年齢〜」がことごとく国庫負担から外されていますね。
次は、教育訓練給付について国庫負担があるのかどうか、についての過去問です。
教育訓練給付についての国庫負担はもちろん??
(平成22年問7A)
教育訓練給付に要する費用については、原則として、その8分の1を国庫が負担するものとされている。
解説
解答:誤
教育訓練給付についての国庫負担はありません。
ちなみに、就職促進給付についても国庫負担がありません。
では最後に、事務の執行などについての国庫負担です。
事務の執行とくれば、、、?
(令和元年問7E)
国庫は、毎年度、予算の範囲内において、就職支援法事業に要する費用(雇用保険法第66条第1項第4号に規定する費用を除く。)及び雇用保険事業の事務の執行に要する経費を負担する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
「雇用保険法第66条第1項第4号」というのは、「職業訓練受講給付金」のことです。
つまり、
「国庫は、毎年度、予算の範囲内において、就職支援法事業に要する費用(職業訓練受講給付金に要する費用を除く。)及び雇用保険事業の事務の執行に要する経費を負担する。」
となります。
職業訓練受講給付金については、上記のように国庫負担が「2分の1」と規定されていますので、ここでは外されているわけですね。(「予算の範囲内」ではないですから。)
ちなみに、
「事務の執行」とくればだいたい、国庫負担は「予算の範囲内で」となります。(一部違うのもありますが)
横断学習の際に確認しておきましょう。
今回のポイント
雇用保険の国庫負担の割合は、
- 求職者給付(高年齢求職者給付金を除く)→日雇労働求職者給付金:3分の1。日雇労働求職者給付金以外:4分の1。
- 雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金を除く)→8分の1
- 職業訓練受講給付金→2分の1
また、就職支援法事業に要する費用(職業訓練受講給付金に要する費用を除く。)及び雇用保険事業の事務の執行に要する経費は、予算の範囲内において負担します。
しかし、教育訓練給付や就職促進給付については国庫負担がありません。
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