このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、労災保険法から「支給制限」について見てみたいと思います。
労働者側が起こした行為によって、本来受けられるはずの保険給付が全額支給されなかったり、一部減額されて支給されることを支給制限といいます。
この支給制限は、どのような場合に適用されるのか、過去問を通して確認しましょう。
故意に事故を起こした場合の給付制限
(平成26年問3A)
業務遂行中の災害であっても、労働者が故意に自らの負傷を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
業務災害であっても、その災害の原因の事故が、労働者の故意によるものである場合は、保険給付は行われません。
これは、「全部または一部を支給しない」ではなく、「行われない」という絶対的支給制限になっています。
で、絶対的支給制限があるということは、相対的支給制限があるわけですが、
こちらの制限の仕方は、「全部または一部」を支給しないということになっています。
では、相対的支給制限はどのような状態に適用されるのか下の問題を見てみましょう。
労働者に過失があると支給制限が??
(平成26年問3B)
業務遂行中の災害であっても、労働者が過失により自らの死亡を生じさせた場合は、その過失が重大なものではないとしても、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
解説
解答:誤り
相対的支給制限は、「重大な過失」によって負傷などの原因となった事故を生じさせた場合に、保険給付の全部または一部を行わないことができるとされています。
なので、少しでも過失があれば相対的支給制限になるわけではありません。
さて、相対的支給制限は、「重大な過失」以外にも適用される場合があります。
それは何なのか、次の問題文を読んでみましょう。
故意の犯罪行為の場合はどうなる?
(令和2年問1B)
業務遂行中の負傷であれば、負傷の原因となった事故が、負傷した労働者の故意の犯罪行為によって生じた場合であっても、政府は保険給付の全部又は一部を行わないとすることはできない。
解説
解答:誤り
相対的支給制限は、「故意の犯罪行為」にも適用されます。
たとえば、トラックの運転手さんが、業務としての運転中に、スピード違反をして事故を起こし、ケガをしてしまった場合などが考えられますね。
制限速度を守って運転していれば事故を起こさなかったということであれば、
運転手さんに対して故意の犯罪行為が適用されて、相対的支給制限になる可能性があるということですね。
ちなみに、相対的支給制限には、あと「正当な理由なく療養に関する指示に従わない」ときにも適用されます。
療養に関する指示に従わないために、ケガなどの状態が重くなり労働者の回復を妨げた場合が考えられますね。
今回のポイント
- 業務災害であっても、その災害の原因の事故が、労働者の故意によるものである場合は、保険給付は行われません(絶対的支給制限)。
- 相対的支給制限は、「重大な過失」によって負傷などの原因となった事故を生じさせた場合に、保険給付の全部または一部を行わないことができるとされています。
- また、相対的支給制限は、「故意の犯罪行為」や、「正当な理由なく療養に関する指示に従わない」場合も対象となっています。
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