過去問

【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 厚生年金法 適用事業所」過去問・厚-77

このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。

なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。

なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。

今回は、厚生年金法から「適用事業所」について見てみたいと思います。

適用事業所についての要件は、被保険者の要件と並んで重要事項となりますので、ひととおり目を通していただけましたら嬉しいです。

最初の過去問は、理容業が適用業種になるのかどうかが問われています。

業種によっては、強制適用事業所になりませんので、どうなのか確認しましょう。

 

理容業は適用業種?

(平成28年問1ウ)

常時5人の従業員を使用する、個人経営の理容業の事業主が、事業所を適用事業所とするためには任意適用事業所の認可を受けなければならない。(問題文を再構成しています)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

理容業や美容業は、農林水産業、接客娯楽業などと並んで、従業員の数に関係なく適用業種の対象外となっていますので、

適用事業所とするためには、任意適用事業所の認可を受ける必要があります。

では次に学習塾の場合を見てみましょう。

こちらの業種は適用事業となるのでしょうか。

 

学習塾も任意適用事業所の認可が必要?

(平成28年問1オ)

常時5人の従業員を使用する個人経営の学習塾の事業の事業主が、事業所を適用事業所とするためには任意適用事業所の認可を受けなければならない。(問題文を再構成しています)

 

解説

解答:誤り

学習塾については、「教育、研究または調査の事業」に該当し、適用業種となるので、

常時5人以上の労働者を使用している場合は、強制適用事業所に該当しますから、任意適用事業所の認可は必要ありません。

では次に社労士事務所について確認しましょう。

弁護士や社労士、税理士などの士業について、どのような扱いになっているのでしょうか。

 

社労士事務所が適用事業所の認可を受けるには

(平成29年問4D)

常時従業員5人(いずれも70歳未満とする。)を使用する個人経営の社会保険労務士事務所の事業主が、適用事業所の認可を受けようとするときは、当該従業員のうち3人以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。なお、本問の事業所には、厚生年金保険法第12条各号のいずれかに該当し、適用除外となる者又は特定4分の3未満短時間労働者に該当する者はいないものとする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

士業の事務所については、今のところ適用業種の対象外ですが、令和4年10月から適用業種になる予定なので、

この過去問もいずれ補正が行われることになります。笑

ちなみに、任意適用事業所の認可を受けようとするときは、労働者の2分の1以上の同意が必要です。

では逆に、任意適用事業所を適用事業所でなくすための手続きについて見てみましょう。

任意適用事業所の認可を受けるときは労働者の同意が必要でしたが、適用事業所でなくす場合はどうなのでしょう。

 

任意適用事業所を適用事業所でなくするためには

(平成30年問5A)

任意適用事業所を適用事業所でなくするための認可を受けようとするときは、当該事業所に使用される者の3分の2以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請することとされている。なお、当該事業所には厚生年金保険法第12条各号のいずれかに該当し、適用除外となる者又は特定4分の3未満短時間労働者に該当する者はいないものとする。

 

解説

解答:誤り

任意適用事業所を適用事業所でなくすための認可を受けようとするときは、事業所に使用される者の3分の2以上ではなく、「4分の3以上の同意」が必要です。

適用事業所の認可を受ける時よりも要件が厳しくなっていますね。

では最後に、労働者の数が減って適用事業所の要件を満たさなくなった場合にどうなるのかを見てみましょう。

適用事業所であり続けるために申請が必要なのでしょうか。

 

労働者数が減って適用事業所でなくなった時は?

(令和元年問4B)

個人経営の青果商である事業主の事業所は、常時5人以上の従業員を使用していたため、適用事業所となっていたが、その従業員数が4人になった。この場合、適用事業所として継続するためには、任意適用事業所の認可申請を行う必要がある。

 

解説

解答:誤り

青果商は、「物の販売又は配給の事業」に該当するので適用業種ですが、

従業員の数が5人未満になると強制適用事業所ではなくなります。

ただ、強制適用事業所の要件から外れた場合は、任意適用事業所を続けるための申請は必要なく、任意適用事業所の認可があったものとみなされます。

その方が、事業主の負担が減りますし、行政も引き続き社会保険料を徴収できますから都合がいいですよね。

 

今回のポイント

  • 理容業や美容業は、農林水産業、接客娯楽業などと並んで、従業員の数に関係なく適用業種の対象外となっていますので、適用事業所とするためには、任意適用事業所の認可を受ける必要があります。
  • 学習塾については、「教育、研究または調査の事業」に該当し、適用業種となるので、常時5人以上の労働者を使用している場合は、強制適用事業所に該当します。
  • 士業の事務所については、今のところ適用業種の対象外ですが、令和4年10月から適用業種になる予定です。
  • 任意適用事業所を適用事業所でなくすための認可を受けようとするときは、事業所に使用される者の「4分の3以上の同意」が必要です。
  • 強制適用事業所の要件から外れた場合は、任意適用事業所を続けるための申請は必要なく、任意適用事業所の認可があったものとみなされます。

 

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