過去問

「社労士試験 徴収法 継続事業の一括」過去問・徴-69

継続事業の一括は、有期事業の一括や請負事業の一括と違うところに意識しておくと知識の整理がしやすいです。

たとえば、継続事業の一括は、他の一括と違って法律上当然に一括されるものではないので認可が必要、という具合ですね。

過去問を見てみても、他の論点とすり替えられているものもあるのでしっかりと押さえていきましょう。

それでは過去問を見ていきましょう。

最初の問題は、継続事業の一括をするための申請方法です。

「どこに」申請をするのかが論点になっていますので確認していきましょう。

 

継続事業の一括の申請方法

(平成23年雇用問9D)

継続事業の一括の申請は、一元適用事業の場合は、それぞれの保険に係る保険関係ごとに個別に所轄都道府県労働局長に対して行わなければならない。

 

解説

解答:誤り

継続事業の一括の申請は、それぞれの保険関係ごとに個別にするのではなく、指定事業(一括する側の事業)の所轄都道府県労働局長に対して行うことになります。

なので、一括される側の事業で申請するわけではないということですね。

では、継続事業の一括申請を受けた場合、誰が認可するのかを次の問題で確認しましょう。

 

継続事業の認可は誰がする?

(平成28年雇用問8E)

一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するものに関する継続事業の一括の認可に関する事務は、所轄公共職業安定所長が行う。

 

解説

解答:誤り

継続事業の一括の認可は、厚生労働大臣が行うのですが、所轄公共職業安定所長ではなく、「所轄都道府県労働局長」に委任されています。

問題文は、保険関係成立届を提出する場合の論点にすり替えられていますね。

知識があやふやだと、このようなひっかけ問題に悩まされることになるので、しっかりと知識を固めていきましょう。

ちなみに、継続事業の一括が行われると、一括される方の事業は徴収法上においては消滅することになりますので、

確定保険料の申告による精算が必要になります。

さて、次は継続事業の一括による効果について見てみましょう。

一括された方の事業の労働者はどのような扱いになるのでしょうか。

 

継続事業の一括の効果

(平成26年雇用問8E)

継続事業の一括に関する厚生労働大臣の認可があったときは、労働保険徴収法の規定の適用については、当該認可にかかる二以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち厚生労働大臣が指定するいずれか一の事業に使用される労働者とみなされる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

継続事業の一括がなされた場合、一括された方の事業の労働者は、徴収法上においては指定事業の労働者とみなされることになります。

なので、概算保険料の計算などをするときは、その算定に入るということになりますね。

ここで気をつけなければならないのは、継続事業の一括は、「徴収法上において」労働者を一括するということになっていますが、

雇用保険の資格取得届などの事務はどうなるのでしょうか。

下の問題で確認しましょう。

 

請負事業の一括と労災保険や雇用保険の事務

(平成30年労災問8B)

継続事業の一括について都道府県労働局長の認可があったときは、被一括事業の労働者に係る労災保険給付(二次健康診断等給付を除く。)の事務や雇用保険の被保険者資格の確認の事務等は、その労働者の所属する被一括事業の所在地を管轄する労働基準監督署長又は公共職業安定所長がそれぞれの事務所掌に応じて行う。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

継続事業の一括は、あくまで徴収法でのお話なので、労災保険や雇用保険の事務については、被一括事業(一括された方の事業)を管轄する行政庁が行うことになります。

では最後に、一括されている事業の種類が変更になった場合の手続きについて見ておきましょう。

そもそも、継続事業を一括するには、「事業主が同一人であること」、「継続事業であること」、「それぞれの事業が労災保険率表における事業の種類が同じであること」が必要です。

その事業の種類が変わってしまうということが、どんな意味を持つのか確認しましょう。

 

一括されている事業の種類が変更になったら?

(平成30年労災問8E)

一括されている継続事業のうち指定事業以外の事業の全部又は一部の事業の種類が変更されたときは、事業の種類が変更された事業について保険関係成立の手続をとらせ、指定事業を含む残りの事業については、指定事業の労働者数又は賃金総額の減少とみなして確定保険料報告の際に精算することとされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

一括されている方の事業の種類が変わったということは、継続事業の一括の要件が外れることになるので、

  • 事業の種類が変わった被一括事業について保険関係成立届の提出
  • 指定事業と残りの被一括事業は労働者数と賃金額が減るので、確定保険料の申告時に精算

をすることになります。

つまり、1個の独立した事業になるということですね。

 

今回のポイント

  • 継続事業の一括の申請は、指定事業(一括する側の事業)の所轄都道府県労働局長に対して行うことになります。
  • 継続事業の一括の認可は、厚生労働大臣が行うのですが、所轄都道府県労働局長に委任されています。
  • 継続事業の一括がなされた場合、一括された方の事業の労働者は、徴収法上においては指定事業の労働者とみなされることになります。
  • 継続事業の一括は、あくまで徴収法でのお話なので、労災保険や雇用保険の事務については、被一括事業(一括された方の事業)を管轄する行政庁が行うことになります。
  • 一括されている方の事業の種類が変わったということは、継続事業の一括の要件が外れることになるので、
    • 事業の種類が変わった被一括事業について保険関係成立届の提出
    • 指定事業と残りの被一括事業は労働者数と賃金額が減るので、確定保険料の申告時に精算

    をすることになります。

 

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