労基法も雑則や罰則まで来るとホッとするところもあるでしょうか。笑
変形労働時間や年次有給休暇などに比べるとボリュームが少ないですしね。
ただ、思わぬところに知識の落とし穴が隠れているかもしれませんので、この記事で確認していただけましたら幸いです。
それでは過去問を見ていきましょう。
最初の問題は、労使協定などの「周知」について問われています。
この周知の対象になる労働者の範囲はどうなっているのでしょうか?
労使協定や労使委員会の決議は周知が必要?
(令和2年問2B)
使用者は、労働基準法第36条第1項(時間外及び休日の労働)に規定する協定及び同法第41条の2第1項(いわゆる高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会)に規定する決議を労働者に周知させなければならないが、その周知は、対象労働者に対してのみ義務付けられている。
解説
解答:誤り
「対象労働者に対してのみ」というところが誤りです。
36協定などに限らず、労働基準法や就業規則といった法令などの周知は、
「労働者に周知させなければならない」と法106条に規定されているので、
労働者を限定して周知するのではなく、すべての労働者に対して周知する必要があります。
ちなみに、労働基準法などの法令について要旨を周知すれば大丈夫ですが、
就業規則や労使協定、高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会などの決議は、全文を周知する必要があります。
会社の中には、退職金規定だけ労働者に周知しないなんてところもあったりしますが、それは許されないということになります。
さて、次は周知の方法について見ていきましょう。
労働基準法では、どのような手段で周知をすれば法令に沿ったものになるのでしょうか。
就業規則の周知方法とは
(令和元年問7B)
使用者は、就業規則を、(1)常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、(2)書面を交付すること、(3)磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することのいずれかの方法により、労働者に周知させなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
就業規則に限らず、法令などは、
- 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
- 書面を交付すること
- 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
で労働者に周知する必要があります。
ちなみに、労働契約法では労働基準法ほど厳密に定義されているわけではなく、
労働者が知ろうと思えばいつでも見ることができる環境であればいい、ということになっています。
さて、次は賃金台帳に関する規定を見てみましょう。
次の問題は、長い文章になっていますが書いてあることは普通のことですので、気軽に読んでみましょう。
賃金台帳への記入事項
(平成26年問3イ)
労働基準法第108条に定める賃金台帳に関し、同法施行規則第54条第1項においては、使用者は、同法第33条若しくは同法第36条第1項の規定によって労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数を、労働者各人別に、賃金台帳に記入しなければならず、また、同様に、基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額も賃金台帳に記入しなければならないこととされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
問題文に書いてあるのは、労働時間を延長した時間数と休日労働、深夜労働の時間数を各労働者ごとに賃金台帳に記入するということです。
賃金台帳に記入しなければならない事項をまとめると、
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
- 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
- 賃金の一部を控除した場合には、その額
となっています。
ちなみに、賃金台帳は、労働者名簿と違って、日日雇い入れられる者についても作成する必要があります。
では、ここからは罰則について見ていきますが、
次の問題では、労働契約を結ぶときに労働者に対して明示した労働条件と実際の労働条件が違っていた場合に罰則があるか、というものになっていますので確認しましょう。
明示した労働条件が実際と違っていたら罰則がある?
(平成27年問3C)
労働基準法第15条は、使用者が労働契約の締結に際し労働者に明示した労働条件が実際の労働条件と相違することを、同法第120条に定める罰則付きで禁止している。
解説
解答:誤り
問題文のように、明示した労働条件と実際の労働条件が違っていたことに対しての罰則はありません。
労基法で規定されている罰則は、そもそも労働条件を明示していない場合と、
明示された労働条件が相違していたことで労働者が労働契約を解除した場合に帰郷旅費を負担しなかった場合に、
30万円以下の罰金に処せられます。
なので、法律上では、労働条件の相違について罰則が規定されているわけではなく、労働者が即時に労働契約を解除できることを保証しているということですね。
では最後にもう一つ罰則について問われている過去問を見ておきましょう。
この問題では就業規則の周知義務について違反した場合の罰則が論点になっていますので見てみましょう。
就業規則の周知義務に違反した場合は、、、
(平成24年問7D)
労働基準法第106条に定める就業規則の周知義務については、労働契約の効力にかかわる民事的な定めであり、それに違反しても罰則が科されることはない。
解説
解答:誤り
労基法106条に定められている法令や就業規則などの周知義務に違反すると、30万円以下の罰金に処せられます。
これは、社労士試験の勉強に限らず、一般的にあまり知られていないですね。
就業規則が総務担当の机にしまってある、なんてこともありますから注意が必要です。苦笑
今回のポイント
- 労働基準法や就業規則といった法令などの周知は、すべての労働者に対して周知する必要があります。
- 法令や就業規則などは、
- 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
- 書面を交付すること
- 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
で労働者に周知する必要があります。
- 賃金台帳に記入しなければならない事項をまとめると、
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
- 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
- 賃金の一部を控除した場合には、その額
となっています。
- 明示した労働条件と実際の労働条件が違っていたことに対しての罰則はありませんが、そもそも労働条件を明示していない場合と、帰郷旅費を負担しなかった場合に、30万円以下の罰金に処せられます。
- 労基法106条に定められている法令や就業規則などの周知義務に違反すると、30万円以下の罰金に処せられます。
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