過去問

「社労士試験 安衛法 (特定)元方事業者が講ずるべき措置とは」過去問・安衛-40

安全衛生管理体制は、社労士試験の安衛法の中でも重要項目になりますが、

今回は元方事業者特定元方事業者が論点になった大問を取り上げたいと思います。

そもそも元方事業者とはなんなのか、その中で特定元方事業者は何の業種に適用されるのかなど、

体系的に押さえていくようにすると理解が進みやすくなると思いますので見ていきましょう。

 

問題文:平成24年問8

労働安全衛生法に関する次の記述のうち、造船業を除く製造業の元方事業者がその労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われる場合に、法令の規定により講じることが義務付けられている措置として、正しいものはどれか。

 

「協議組織の設置及び運営」とくれば?

(選択肢:A)

元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織の設置及び運営を行うこと。

 

解説

解答:誤り

協議組織の設置及び運営」は、特定元方事業者が行いますので、この選択肢は誤りです。

まず、元方事業者というのは、どういう事業者なのかというと、

1つの場所で行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせている者のことで、数次の請負関係がある場合には、その最も先次の注文者のことを指します。

さらに、元方事業者は、その最も先次の注文者とその請負人の仕事が同一の場所で行われており、注文者自身もその仕事の一部を行っているのです。

で、この元方事業者の中でも、建設業や造船業を行う者を特定元方事業者といいます。

問題文にある、「協議組織の設置及び運営」は、製造業の元方事業者には義務付けられておらず、特定元方事業者が行うことになっています。

では、次の選択肢は、労働者の安全や衛生のための「教育」に関する論点になっています。

これは製造業の元方事業者に課せられている措置なのでしょうか。

 

「教育に対する指導及び援助」が義務付けられているのは、、、

(選択肢:B)

関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育を行う場所の提供、当該教育に使用する資料の提供等を行うこと。

 

解説

解答:誤り

関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助も、特定元方事業者が行うことになっており、

製造業の元方事業者には義務付けられていません。

ここで、特定元方事業者が講じる措置についてまとめておきましょう。

  • 協議組織の設置及び運営を行うこと
  • 作業間の連絡及び調整を行うこと
  • 作業場所を巡視すること
  • 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと

などとなっています。

ちなみに、教育に対する指導及び援助については、教育を行なう場所の提供や、教育に使用する資料の提供などの措置を講じる必要があります。

さて、次の選択肢は統括安全衛生責任者がテーマになっています。

まず、総括安全衛生管理者と混同しないようにしましょう

どれがどの役割を担っているのか不安な方は、テキストで確認しておきましょう。

このように、ややこしい名称の統括安全衛生責任者は、製造業の元方事業者に必要な役職なのか見てみましょう。

 

「統括安全衛生責任者」の選任義務があるのは?

(選択肢:C)

統括安全衛生責任者を選任すること。

 

解説

解答:誤り

統括安全衛生責任者は、製造業の元方事業者には選任の義務はなく、こちらも特定元方事業者の方に選任義務があります。

ちなみに、統括安全衛生責任者は、建設業に選任義務のある元方安全衛生管理者の指揮を行うことになっています。

統括安全衛生責任者の選任要件としては、

  • ずい道(トンネル)の建設 → 常時30人以上
  • 橋梁の建設(作業場所が狭いなど所定の場合) → 常時30人以上
  • 圧気工法(地中や水中で、地上よりも高い圧力をかける工法)での作業 → 常時30人以上
  • 上記以外の建設業や造船業 → 常時50人以上

となっています。

次の問題はクレーンを運転する時の合図について問われています。

クレーンを運転する時は、一人で操作すると危ないので、クレーンの巻き上げや停止などの合図を出す人が付いています。

合図を出す人は、安全を確保するために運転者へ指示を出すわけですね。

この、クレーンの運転の合図については、製造業の元方事業者に規定されているのか、次の選択肢を見てみましょう。

 

「クレーン」の運転についての合図を決めることは?

(選択肢:D)

つり上げ荷重が1トンのクレーンを用いて行う作業であるときは、当該クレーンの運転についての合図を統一的に定めること。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

クレーンの運転についての合図については、内容がバラバラでは事故の元になるので統一することが求められており、製造業などの元方事業者や特定元方事業者でも講ずべき措置となっています。

では最後の選択肢は、元方安全衛生管理者がテーマになっているのですが、

先程の統括安全衛生責任者のところでも触れていますので、おさらいしておきましょう。

 

「元方安全衛生管理者」の選任義務があるのは

(選択肢:E)

元方安全衛生管理者を選任すること。

 

解説

解答:誤り

元方安全衛生管理者を選任は、製造業の元方事業者には義務付けられておらず、建設業の特定元方事業者が選任を行い、統括安全衛生責任者の指揮を受けます。

もう、色々と役職の名前が出てきて、ゴチャゴチャになりそうですが、図などを書いてみて整理するようにしてみると良いですね。

 

今回のポイント

  • 協議組織の設置及び運営」は、特定元方事業者が行います。
  • 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための「教育に対する指導及び援助も、特定元方事業者が行うことになっています。
  • 統括安全衛生責任者は、特定元方事業者の方に選任義務があります。
  • クレーンの運転についての合図については、統一することが求められており、製造業などの元方事業者や特定元方事業者でも講ずべき措置となっています。
  • 元方安全衛生管理者を選任は、建設業の特定元方事業者が選任を行い、統括安全衛生責任者の指揮を受けます。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

勉強のゴールは本試験日ですが、模試も一つのゴールと捉えて勉強を進めるようにすると、

弱点が明確になるので直前期の過ごし方を決めることができます。

間違っても一喜一憂せず、客観的に見ていきましょう(^^)

 

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