過去問

「社労士試験 安衛法 ズバリ!事業者や注文者などが講ずべき措置はこれ!」過去問・安衛-32

安衛法は、どちらかというと、知ってるか知らないかで判断するものが多いですが、

それでもどうにかして正答を導き出せないかということで、今回は「事業者や注文者などが講ずべき措置」を取り扱った過去問で考えていきたいと思います。

この記事を読んでいただいて、「これってどうなん?」と思われるかもしれませんが、

過去問演習をしているときに、「感情(所感)を持つ」ことは非常に大切になりますので、

あなたなりの感想を持ってご覧になっていただければ幸いです。

それでは最初の問題に進みましょう。

これは、回転する工作機械の安全対策が論点になっています。

あなたは、この問題文を読んでどんな風に思うでしょうか。

 

回転する工作機械に対する安全対策

(平成28年問8A)

事業者は、回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆いを設けなければならない。ただし、直径が50ミリメートル未満の研削といしについては、この限りでない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

事業者の講ずべき措置として、回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆いを設けるのが原則です。

つまり、手などが回転物に当たるとケガしてしまいますから、危険防止の措置を取ってねということですね。

ただし、直径が50ミリメートル未満の研削といしは対象外です。

直系50ミリメートルということは5センチですから、覆いをつけちゃうと作業ができなくなってしまうかもしれませんね。

さて、先ほどは回転物に手が当たらないように危険防止策を講じる、というお話でしたが、下の問題の場合はどうなるのでしょう。

手袋が論点になっているのですが、問題文を読んだら少しイメージしてみましょう。

 

回転する刃物に手袋は大丈夫??

(平成28年問8D)

事業者は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が接触するおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させなければならない。

 

解説

解答:誤り

ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が接触するおそれのある場合、

事業者は労働者に手袋を使用させなければならない、ではなく、手袋を使用させてはなりません

上の写真をご覧いただきたいのですが、たしかに回転する刃物に手が当たるとケガをしてしまいそうですね。

でも手袋をしていたら、刃物に手袋が引っかかって、手が巻き込まれてしまい、骨折どころの騒ぎでなくなってしまうかもしれません。

なので、上記の場合は手袋をしてはいけないんですね。

ちなみに、事業者が手袋の使用を禁じたときは、労働者もそれに従うよう規定されています

ではもし、労働者側が決められたルールを守らなかったとしたら、果たして罰則はあるのでしょうか。

 

労働者がルールを守らなかった場合、罰則はある?

(平成28年問9E)

労働者は、労働安全衛生法第26条により、事業者が同法の規定に基づき講ずる危険又は健康障害を防止するための措置に応じて、必要な事項を守らなければならないが、その違反に対する罰則の規定は設けられていない。

 

解説

解答:誤り

事業者が危険や健康障害を防止するために講じた措置を、労働者が守らなかった場合、その違反について罰則が設けられています。

上記に違反したときは、50万円以下の罰金に処せられます。

事業主が安衛法を守って講じた措置は、労働者も守らないと事故をなくすことにつながりませんので、労働者側にも責任を負わせている形になりますね。

では、次は機械のリース業者について問われている過去問を見てみましょう。

クレーンやブルドーザーなどの機会を貸し出しをする(リースする)場合、

ただ貸し出すだけでなく、事故をなくすために必要な措置があるのでしょうか?

 

機械のリース業者にも必要な措置が?

(平成24年問10B)

不整地運搬車を相当の対価を得て業として他の事業者に貸与する者は、所定の除外事由に該当する場合を除き、当該不整地運搬車の貸与を受けた事業者の事業場における当該不整地運搬車による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

不整地運搬車やクレーン、ブルドーザーなどの機械を貸与する者は、

借り受けた事業者の事業場で労働災害が起こらないように、必要な措置を講じる必要があります。

貸しっぱなしではダメよ、ということですね。

この、不整地運搬車がどんな乗り物なのかあまり見たことがないかもしれませんから、

コマツ教習所さんのWEBページに動画がありましたのでリンクを貼らせていただきますね。

ご参考になれば幸いです。

 

参考記事:不整地運搬車運転技能講習(コマツ教習所)

 

ということで最後に、重量表示義務について出題されているものがありますので見ておきましょう。

事業者などが講ずべき措置に関する過去問で、めずらしく数字が論点になっていますのであげてみました。

 

重量表示義務の基準は?

(平成24年問10E)

重量が1つで0.5トンである貨物を発送しようとする者は、所定の除外事由に該当する場合を除き、当該貨物に見やすく、かつ、容易に消滅しない方法でその重量を表示しなければならない。

 

解説

解答:誤り

重量表示については、重量が1つで0.5トンではなく、「1トン」以上の貨物を発送しようとする者は、

見やすく、かつ、容易に消滅しない方法で、その貨物にその重量を表示する必要があります。

ただし、その貨物が包装されていなくて、一目で貨物の重量が明らかな場合は対象外です。

つまり、中身が重いのか軽いのか分からないものについては、「これは重いよ」という意味で重量を表示しなさい、ということですね。

 

今回のポイント

  • 事業者の講ずべき措置として、回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆いを設けるのが原則ですが、直径が50ミリメートル未満の研削といしは対象外です。
  • ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が接触するおそれのある場合、事業者は労働者に手袋を使用させてはなりません
  • 事業者が危険や健康障害を防止するために講じた措置を、労働者が守らなかった場合、その違反について罰則が設けられています。
  • 不整地運搬車やクレーン、ブルドーザーなどの機械を貸与する者は、借り受けた事業者の事業場で労働災害が起こらないように、必要な措置を講じる必要があります。
  • 重量表示については、重量が1つで「1トン」以上の貨物を発送しようとする者は、見やすく、かつ、容易に消滅しない方法で、その貨物にその重量を表示する必要があります。

 

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