第3号被保険者の届出について、社労士試験では資格取得や喪失に関する届出ばかりではなく、時効消滅不整合期間といった被保険者期間に関するものも出題されています。
どこに、何日以内に提出するのかという知識に加えて、被保険者期間の取り扱いの論点も加わり大変ですが、
なぜそのような処置をするのか自分なりのイメージを付け加えると記憶に残りやすいのでお試しの価値ありです。
それでは最初の問題から見ていくことにしましょう。
20歳になった時に第2号被保険者の配偶者だった場合、所定の要件を満たせば第3号被保険者になるのですが、その際の届出についての論点になっています。
20歳になって第3号被保険者になるときは
(令和2年問3B)
20歳に達したことにより、第3号被保険者の資格を取得する場合であって、厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により当該第3号被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることにより20歳に達した事実を確認できるときは、資格取得の届出を要しないものとされている。
解説
解答:誤
20歳に達したことで資格を取得するときに、機構保存本人確認情報の提供を受けることができる場合に資格取得の届出が要らないのは「第1号被保険者」です。
第3号被保険者の場合は届出が必要なのです。
ただ、「氏名変更」や「住所変更」の場合、機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、第3号被保険者も変更届を提出する必要はありません。
で、第1号被保険者が資格を取得した場合は、14日以内に市町村長に届け出るのですが、第3号被保険者の場合はどうだったでしょうか。
次の問題で確認してみましょう。
第3号被保険者の届出はどこへ?
(令和2年問6B)
第3号被保険者の資格の取得の届出は市町村長に提出することによって行わなければならない。
解説
解答:誤
第3号被保険者の資格取得の届出は、「市町村長」ではなく「日本年金機構」へ提出することにより、厚生労働大臣に届け出ることになっています。
日数の点で言えば第1号被保険者と同じく「14日以内」に行います。
さて、第3号被保険者は第2号被保険者の配偶者がなれるものですが、もし配偶者が会社を辞めたりして第2号被保険者でなくなった場合、第3号被保険者はどうすればいいのでしょう。
やっぱり、「第3号被保険者じゃなくなりました」という届出が要るのでしょうか。
配偶者が第2号被保険者でなくなったら第3号被保険者はどうすれば?
(令和2年問5E)
第3号被保険者であった者が、その配偶者である第2号被保険者が退職し第2号被保険者でなくなったことにより第3号被保険者でなくなったときは、その事実があった日から14日以内に、当該被扶養配偶者でなくなった旨の届書を、提出しなければならない。
解説
解答:誤
配偶者である第2号被保険者が退職して第2号被保険者でなくなった場合、第3号被保険者でなくなったという「被扶養配偶者非該当届」の提出は要りません。
そもそも被扶養配偶者非該当届というのは、第3号被保険者の収入が基準額以上に増加して扶養から外れた場合や離婚したときに、事業主等を経由して提出するものです。
ですが、問題文にあるように、配偶者である第2号被保険者が退職などによって第2号被保険者でなくなったことで第3号被保険者でなくなった場合や、
第3号被保険者が会社員になって第2号被保険者になったり、死亡したことにより第3号被保険者でなくなったときは別に届出があるので、「被扶養配偶者非該当届」の提出は必要ありません。
では反対に、届出しないといけないのにしなかった場合、たとえば第3号被保険者の資格取得の届出が遅れてしまった時の取り扱いについて見てみることにしましょう。
第3号被保険者であれば、保険料を納めなくても保険料納付済期間に参入されるわけですから、少しでも被保険者期間をゲットしておきたいところですよね。
第3号被保険者の届出が遅れた時の取り扱い
(平成29年問1E)
平成26年4月1日を資格取得日とし、引き続き第3号被保険者である者の資格取得の届出が平成29年4月13日に行われた。この場合、平成27年3月以降の各月が保険料納付済期間に算入されるが、平成26年4月から平成27年2月までの期間に係る届出の遅滞についてやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨を届け出ることによって、届出日以後、当該期間の各月についても保険料納付済期間に算入される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
第3号被保険者の資格取得の届出が行われた場合、
届出が行われた日の属する月の前々月までの2年間(問題文の場合、平成27年3月から平成29年2月までの2年間)は保険料納付済期間に参入されますが、
「平成17年4月1日以後」で保険料納付済期間に参入されない期間(問題文の場合、平成26年4月から平成27年2月まで)については、
届出の遅滞についてやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨を届け出ることで、届出日以後、その期間の各月(問題文の場合、平成26年4月から平成27年2月まで)についても保険料納付済期間に算入されることになります。
ちなみに、「平成17年4月1日前」に第3号被保険者期間があって保険料納付済期間に参入されない期間があるときは、「やむをえない事由の有無に関わらず」、厚生労働大臣に特例の届出ができることになっています。
しかし、第3号被保険者だった期間に、実は第1号被保険者だった期間があって被保険者期間の種類を訂正されたケース(不整合期間)もあります。
その場合、保険料を徴収することは時効が成立しているので、保険料を納付することができません(時効消滅不整合期間)。
となると、保険料未納付の期間になってしまい将来の老齢高瀬年金の額に影響が出てしまいます。
そんな時、厚生労働大臣に届出をすれば、その期間がある種類の被保険者期間に変化するのですが、どのように変化するのか最後に見ておきましょう。
時効消滅不整合期間について届出をしたらどうなる?
(平成26年問7D)
被保険者が、第3号被保険者としての被保険者期間の特例による時効消滅不整合期間について厚生労働大臣に届出を行ったときは、当該届出に係る時効消滅不整合期間については、届出が行われた日以後、国民年金法第90条第1項の規定による保険料の全額免除期間とみなす。
解説
解答:誤
被保険者が時効消滅不整合期間について厚生労働大臣に届出を行った場合、「保険料の全額免除期間」ではなく、「学生納付特例期間」にみなされることになります。
保険料を払っていないのに全額免除期間にしてしまっては、国庫負担がついてしまいますので、ちゃんと保険料を払っている人からしたら不公平ですよね。
なので、学生納付特例期間にしておけば老齢基礎年金の額には反映されないけど受給資格期間にはなるので、そこで手を打ちましょうというところでしょうか。
今回のポイント
- 「第1号被保険者は、20歳に達したことで資格を取得することになった場合、機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは資格取得の届出が要りません。(第3号被保険者は必要です)
- 第3号被保険者の資格取得の届出は、「日本年金機構」へ「14日以内」に提出することにより、厚生労働大臣に届け出ることになっています。
- 配偶者である第2号被保険者が退職して第2号被保険者でなくなった場合、第3号被保険者でなくなったという「被扶養配偶者非該当届」の提出は要りません。
- 第3号被保険者の資格取得の届出が行われた場合、届出が行われた日の属する月の前々月までの2年間は保険料納付済期間に参入されますが、平成17年4月1日以後で保険料納付済期間に参入されない期間については、届出の遅滞についてやむを得ない事由があると認められるときは、厚生労働大臣にその旨を届け出ることで、届出日以後、その期間の各月についても保険料納付済期間に算入されることになります。
- 被保険者が時効消滅不整合期間について厚生労働大臣に届出を行った場合、「学生納付特例期間」にみなされることになります。
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