このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、徴収法から「請負事業の一括」について見ていきたいと思います。
徴収法に出てくる一括は、ほかにも有期事業の一括や継続事業の一括がありますので、
それぞれの違いを意識できるようになるといいですね。
最初の過去問は、請負事業の一括が適用される業種がテーマになっています。
どの業種が対象になるのか見てみましょう。
請負事業の一括が適用される業種
(令和2年労災問8A)
請負事業の一括は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業又は立木の伐採の事業が数次の請負によって行われるものについて適用される。
解説
解答:誤り
請負事業の一括の対象となる業種は、数次の請負によって行われる建設の事業だけです。
立木の伐採の事業は対象外です。
建設の事業と立木の伐採の事業が対象になっているのは、有期事業の一括ですね。
で、有期事業の一括では法律上当然に行われますが、
請負事業の一括の場合はどうなのでしょうか。
請負事業が一括されるには
(令和2年労災問8B)
請負事業の一括は、元請負人が、請負事業の一括を受けることにつき所轄労働基準監督署長に届け出ることによって行われる。
解説
解答:誤り
請負事業の一括も、有期事業の一括と同じく法律上当然に行われます。
なので、請負事業の一括が行われると、その事業が一つの事業とみなされ、元請負人だけがその事業の事業主となります。
では、請負事業の一括が行われ、元請負人が事業主になると、どのようなことが起こるのか、次の問題で確認しましょう。
請負事業の一括の効果
(令和2年労災問8D)
請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付の義務を負い、更に労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となる。
解説
解答:誤り
請負事業の一括が行われると、元請負人はその事業の事業主となります。
なので、下請負人の使用する労働者を含めて保険料の納付や保険関係についての義務を負うことになります。
ですが、労働者に対しての使用者となるわけではありませんので、たとえば労基法上の使用者にも該当しません。
また、雇用保険については一括の対象にはなっていないので、労災保険についてだけの事業主ということですね。
さて、請負事業の一括は法律上当然に行われますが、一定の要件を満たすと、下請負事業を分離することができます。
その要件とは、一体どういうものなのでしょうか。
下請負事業を分離するには
(平成27年労災問10B)
厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合の元請負人及び下請負人が、下請負事業の分離の認可を受けるためには、当該下請負人の請負に係る事業が建設の事業である場合は、その事業の規模が、概算保険料を算定することとした場合における概算保険料の額に相当する額が160万円未満、かつ、請負金額が1億8,000万円未満でなければならない。
解説
解答:誤り
元請負人と下請負人が下請負事業の分離をするためには厚生労働大臣の認可が必要です。
ただ、事業の規模が一定以上でなければならず、
- 概算保険料の額に相当する額が160万円「以上」 かつ
- 請負金額が1億8,000万円「以上」
である必要があります。
で、下請負事業の分離の認可ですが、
認可を受ける方法について最後に確認しておきましょう。
下請負事業の分離の認可を受ける方法
(平成26年労災問9E)
厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合であって、労働保険徴収法の規定の適用については、元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合においても、元請負人の諾否にかかわらず、下請負人の申請に基づき厚生労働大臣の認可を受けることによって、当該下請負人が元請負人とみなされる。
解説
解答:誤り
下請負事業の分離の認可申請は、元請負人及び下請負人が共同で行いますので、問題文にあるように「元請負人の諾否にかかわらず」ということではありません。
ちなみに、この申請は、原則として保険関係成立の日の翌日から10日以内に行う必要があります。
今回のポイント
- 請負事業の一括の対象となる業種は、数次の請負によって行われる建設の事業だけです。
- 請負事業の一括も、有期事業の一括と同じく法律上当然に行われます。
- 請負事業の一括が行われると、元請負人はその事業の事業主となりますので、下請負人の使用する労働者を含めて保険料の納付や保険関係についての義務を負うことになりますが、労働者に対しての使用者となるわけではありません。
- 下請負事業の分離をするためには
- 概算保険料の額に相当する額が160万円「以上」 かつ
- 請負金額が1億8,000万円「以上」
である必要があります。
- 下請負事業の分離の認可申請は、元請負人及び下請負人が共同で行います。
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