過去問

「社労士試験 徴収法 請負事業の一括の攻略法とは」過去問・徴-68

今回は、徴収法の請負事業の一括について取り上げたいと思います。

「一括」については、有期事業の一括や継続事業の一括もあったりして、知識がごちゃごちゃになるかもしれませんが、

もし、「一括」の攻略に苦労している場合は、簡単な表でまとめてみると良いかもしれませんね。

意外にスッキリと整理できる可能性がありますから試してみてくださいね。

それでは過去問を見ていくことにしましょう。

1問目は、請負事業の一括が適用される業種が何なのかが問われています。

他の一括の要件と混同しないよう気をつけていきましょう。

 

請負事業の一括が適用される業種は?

(平成26年労災問9A)

立木の伐採の事業が数次の請負によって行われる場合には、労働保険徴収法の規定の適用については、それらの事業は一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる。

 

解説

解答:誤り

請負事業の一括が行われるのは、立木の伐採の事業ではなく、「建設の事業」ですので誤りです。

有期事業の一括は、建設と立木の伐採の両方が対象ですが、それと混同しないように気をつけたいですね。

ちなみに、請負事業の一括も、有期事業の一括と同様、法律上当然に行われ、継続事業の一括のように厚生労働大臣の認可は必要ないですね。

では次の問題を見てみましょう。

この過去問では、請負事業が一括されることでどのような効果があるのかが問われていますので読んでみてくださいね。

 

請負事業の一括の効果とは

(令和2年労災問8E)

請負事業の一括が行われると、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付等の義務を負わなければならないが、元請負人がこれを納付しないとき、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、下請負人に対して、その請負金額に応じた保険料を納付するよう請求することができる。

 

解説

解答:誤り

請負事業の一括では、下請負の分も元請負人が保険料の納付の義務を負いますが、

問題文の後半のように、歳入徴収官が下請負人に対して請求することはありません。

また、問題文には保険料とありますが、その対象は労災保険の保険料のことを指していて、雇用保険は対象外です。

では、請負事業の一括の効果についてもう少し見ておきましょう。

請負事業の一括が行われて、元請負人が下請負人の保険料の納付以上の責任を負うことがあるのでしょうか。

下の問題で確認しましょう。

 

請負事業の一括の効果とは その2

(令和2年労災問8D)

請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付の義務を負い、更に労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となる。

 

解説

解答:誤り

請負事業が一括された場合の元請負人は、下請負人やその労働者に対して使用者になることはありません。

徴収法は、あくまで労働保険料の徴収について規定した法律ですので、労基法のような労働関係の当事者としての「使用者」ということを元請負人にさせるわけではありません。

とはいっても、元請負人は下請負人の分の保険料を納付するわけですから、それはそれで負担があるでしょう。

なので、所定の要件を満たせば下請負事業を分離することができるのですが、その手続きについて次の問題で確認しましょう。

 

下請負事業を分離するには

(平成26年労災問9E)

厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合であって、労働保険徴収法の規定の適用については、元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合においても、元請負人の諾否にかかわらず、下請負人の申請に基づき厚生労働大臣の認可を受けることによって、当該下請負人が元請負人とみなされる。

 

解説

解答:誤り

下請負事業の分離をするときは、元請負人の諾否にかかわらず、ではなく、「元請負人及び下請負人が共同で」申請して厚生労働大臣の認可を受ける必要があります。

ちなみに、申請期限は保険関係が成立した日の翌日から10日以内となっていて、申請先は所轄都道府県労働局長です。

では、下請負事業が分離するとどうなるのかを最後に見ておきましょう。

下の問題文を読んでいると、先ほど元請負人のところでやったような言い回しになっていますので思い出してみてくださいね。

 

下請負事業が分離すると?

(平成27年労災問10E)

厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合の元請負人及び下請負人が、下請負事業の分離の認可を受けた場合、当該下請負人の請負に係る事業を一の事業とみなし、当該下請負人のみが当該事業の事業主とされ、当該下請負人以外の下請負人及びその使用する労働者に対して、労働関係の当事者としての使用者となる。

 

解説

解答:誤り

下請負事業の分離をすると、徴収法上の事業主になりますが、労働関係の当事者としての使用者となるわけではありません。

やはり、ここでも労基法上の使用者の定義は否定されるわけですね。

 

今回のポイント

  • 請負事業の一括が行われるのは、「建設の事業」のみです。
  • 請負事業の一括がなされると、下請負の分も元請負人が保険料の納付の義務を負います。
  • 請負事業が一括された場合の元請負人は、下請負人やその労働者に対して、労働関係の当事者としての使用者になることはありません。
  • 下請負事業の分離をするときは、「元請負人及び下請負人が共同で」申請して厚生労働大臣の認可を受ける必要があります。
  • 下請負事業の分離をすると、徴収法上の事業主になりますが、労働関係の当事者としての使用者となるわけではありません。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

テキストを通読するときは、読む前にどんな内容だったか思い出してから読み進めましょう。

そうすると、読んでて自分が思い出せたところ、そうでないところが浮かび上がり、

メリハリをつけることができるので最後まで緊張感を持って読むことができますよ(^^)

 

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