過去問

「社労士試験 労災保険法 5分で読める!療養(補償)給付のおさらい」過去問・労災-67

ここでは、療養(補償)給付について取り上げたいと思います。

範囲は広くはないのですが、労災保険の給付の入口にあたる項目になりますので、重要項目になりますから社労士試験でもよく出題されています。

療養の給付についての内容は、健康保険法と比較してみると復習になって良いかと思います。

それでは最初の問題を見てみましょう。

この問題は、「療養の給付」が行われる病院が論点になっています。

療養の給付を受けるには、どの病院でも良いというわけではなさそうですが、線引きはどうなっているのでしょうか?

 

療養の給付の対象となる病院とは

(令和元年問5A)

療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(「指定病院等」という。以下本問において同じ。)において行われ、指定病院等に該当しないときは、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院であっても、療養の給付は行われない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

健康保険法に基づいて指定された病院は、療養の給付が行われる病院の対象外です。

ただ、指定病院に行きたくても、その地域に指定病院がない場合もありますので、

「療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給する」ことができます。

療養の給付は現物給付になっていて、現物給付できるのは指定病院ですが、上記の場合は療養の費用を支給するということですね。

では、療養の給付として認められるものにはどんなものがあるのか次の問題で見てみましょう。

 

搬送費用は療養補償給付の対象外?

(令和元年問5D)

被災労働者が、災害現場から医師の治療を受けるために医療機関に搬送される途中で死亡したときは、搬送費用が療養補償給付の対象とはなり得ない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合は、「移送」として療養補償給付の対象となることがあります。

存命の状態で搬送されている分についての費用は、療養補償給付の対象として療養の給付になる、と通達にあります。

ちなみに、問題文では移送費と記載がありますが、通達が出た当時の呼び名となっています。

で、療養の給付にはどんな種類のものがあるのかというと、

  • 診察
  • 薬剤または治療材料の支給
  • 処置、手術その他の治療
  • 居宅における療養上の管理およびその療養に伴う世話その他の看護
  • 病院又は診療所への入院およびその療養に伴う世話その他の看護
  • 移送

となっています。

では、次の問題の場合はどうでしょう。

医師が処置を行っているのですが、本来の仕事ではない場合に、療養の給付となるのでしょうか??

 

葬儀屋が行う処置はどうなる?

(平成28年問4D)

死体のアルコールによる払拭のような本来葬儀屋が行うべき処置であっても、医師が代行した場合は療養補償費の範囲に属する。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合は、療養補償費(現在の療養補償給付)の対象にはなりません。

ポイントは、「本来葬儀屋が行うべき処置」ということなので、葬儀の範囲で行う処置となりますから、葬祭料で支給されることになりそうですね。

さて、次は一部負担金について見ていきたいと思います。

一部負担金は、通勤災害で療養給付を受ける労働者から徴収するもので、金額は200円となっていますが、

健康保険法で規定されている日雇特例被保険者の労働者の場合は100円となっています。

徴収するタイミングは最初に支給される休業給付から控除するのですが、

一部負担金が徴収されない場合もあるのです。

それがどういうことなのか次の問題を見てみましょう。

 

一部負担金を徴収されないケースとは

(平成25年問4イ)

政府は、通勤災害で療養の開始後3日以内に死亡した者からは、一部負担金を徴収する。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:誤り

療養の開始後3日以内に死亡した者からは、一部負担金を徴収「しません」。

規定では、

療養の開始後3日以内に死亡した者その他休業給付を受けない者」

からは一部負担金の徴収を行わないことになっているので、

休業給付を受けないと一部負担金を徴収しないということになります。

ではもう1問、一部負担金が徴収されないものにどんなケースがあるのか、最後に見ておきましょう。

 

一部負担金を徴収されないケースとは その2

(平成25年問4ウ)

政府は、同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した者からは、一部負担金を徴収しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

ここで、一部負担金が徴収されない者についてまとめておきましょう。

  • 第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者
  • 療養の開始後3日以内に死亡した者その他休業給付を受けない者
  • 同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した者

 

今回のポイント

  • 療養の給付は、
  • 社会復帰促進等事業として設置された病院もしくは診療所
  • 都道府県労働局長の指定する病院もしくは診療所、薬局もしくは訪問看護事業者

といった指定病院等で行われます。

  • 療養の給付の内容は、
    • 診察
    • 薬剤または治療材料の支給
    • 処置、手術その他の治療
    • 居宅における療養上の管理およびその療養に伴う世話その他の看護
    • 病院又は診療所への入院およびその療養に伴う世話その他の看護
    • 移送

    となっています。

  • 本来葬儀屋が行うべき処置の場合、医師が代行しても療養補償費の対象になりません。
  • 一部負担金が徴収されない者は、
    • 第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者
    • 療養の開始後3日以内に死亡した者その他休業給付を受けない者
    • 同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した者

となっています。

 

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